2010年9月29日水曜日

ソーシャルメディア時代のパラダイム:コンテクストマーケティング

 ソーシャルメディア時代の新しいマーケティングをどう名付けるか? 私はコンテクストマーケティングというのはどうか?と考えている。

 バイラルループ(アダム・ペネンバーグ著)の佐々木氏のまえがきによると、ソーシャルメディアの進化した背景には、例えばツイッターの情報収集には「あの人から流れてきた情報」「その情報についてフォローしている人たちの感想」というコンテクスト(文脈)が付随していることがある。このコンテクストが社会との接続性を生んで、情報に対するある種の安心感をもたらしている。堀江モンが言っている、ソーシャルフィルタリングである。

コンテクストがあって初めて情報、コンテンツが流れるし、そのコンテクストから流れてきた情報ということでそもそもその情報の信頼度が高いわけである。

あらゆる情報が流れるためには、その前に情報通路(これがコンテクストにあたる)がなければならない。その情報通路は検索時代のパラダイムではユーザーが選ぶことができなかったが、ソーシャルメディア時代にはそれを選ぶことができる。これが大きな違いだ。
情報通路がどう形作られているかを見極めた上で情報を流さないとそれがどこにいくかもわからないし、バイラルに広がるかどうかもわからない。

2010年9月28日火曜日

大前研一とソーシャルメディア

 大前研一氏の著作を久しぶりに読んだ。「デフレ不況時代の新・国富論 民の見えざる手」。大学時代はすごく好きだったが、だいぶご無沙汰した。本の中では、ソーシャルメディアやソーシャル的な発想の記述はそれほど多くない。

・以前のネットでは機能的な左脳的な製品が売れていたが、現在のネットでは感性的な右脳製
 品が売れるようになっている
・注目しているのは、ファッションのネット通販サイト「ZOZTOWN」
・左脳的製品ではフルフィルメントを活かしてアマゾンの一人勝ち
・人は選択肢が多くなると選択しなくなるから、価格コムよりも、1日1品しか売らない
 「超1品.COM」
・ ポイントを中心に経済圏ができあがりつつある

 日本を元気にするには、高齢者が気前よく消費できる社会を作るのが大事という思想が基本的に貫かれる。それには合理性よりも、センチメント、感情の方が大事と考える。米国では高齢者のソーシャルメディア利用が急激に増えていることがよく話題になる。日本はまだそれほどではないし、高齢者がソーシャルメディアを使いこなすにはまだ数年は要するだろう。だから、日本では、リアルとバーチャルをどう結びつけて、高齢者の消費を刺激するか、そのビジネスモデルをどう構想するかが問われている。

2010年9月26日日曜日

ソーシャルファイナンス:ソーシャルベンチャーキャピタルが期待される

ソーシャルファイナンス:ソーシャルベンチャーキャピタルが期待される

 今日は、SVP東京のネットワークミーテイングに参加した。農家のこせがれネットワークの宮治さんの話が面白かったし、プラスリジョンの福井さんのプレゼンも短時間であったがうまさを感じた。
 ソーシャルベンチャーにとって周りの人たちをどう巻き込んでいくか、共感を得ていくかは重要。ベースは利己ではなく利他。自分のためではなく世界のため。

 SVP東京はソーシャルベンチャー、NPOに投資する団体という認識であったが、実際には投資ではなく寄付である。仕組みは、10万円払ってパートナーになる。パートナーが参加し投資委員会をひらき投資先を決定する。投資ともにプロボノ支援を2年間おこなう。投資といっても寄付という形でお金を出した見返りはソーシャルリターン(満足感)であって金銭リターンはなし。

 私自身ベンチャーキャピタリスとして働いてきた。VCはIPOを目当てに未公開企業に投資してきたが、現状の国内IPO市場では開店休業状態で、海外IPO に活路を見出そうとしている。国内はソーシャルベンチャーが注目され、今後の成長領域。ここにどういう形でお金を回していくか? 現状は、ファンドレイジングといっても寄付がほとんどで、お金の出し手に金銭リターンはない形が多い。やはり、金銭リターンを見込めないと資金供給のパイプは太くならない。ソーシャルベンチャーに投資するにはどういう形が可能か? これが、私が考えている「ソーシャルベンチャーキャピタル」という概念である。

コーズマーケティング「Volvicの1L for 10L」

 今日はコーズマーケティングの勉強会に参加。日本のコーズで最も有名なのは「Volvicの1L for 10L」。今回はその話を担当者の方から直接聞ける貴重な機会。

 ボルヴィックが売れると、その売上の1部がユニセフに寄付され、ユニセフがアフリカのマリに井戸を作る。売上1L分につき10Lの水が作られるという仕組みだ。

 成功の背景としてポイントは4点。1点目は、ボルヴィック(ダノン)にとっては本業の水にかかわるグローバルプロジェクトである点。2点目は持続性を重視した支援内容となっている点。3点目は消費者が参加しやすい支援の仕組みになっている点。4点目はプログラムを効果的に広める認知活動をおこない支援している点など。

 キャンペーンも既に5年目に入り、今後どうやって消費者の賛同を得続けていくべきかをグループワークで話し合い会社側に提案した。

 私(およびグループ)の提案は、より消費者参加型のプロジェクトに変更していく方向。例えばNPOにマリに水を増やすためにどうすればいいかを提案してもらい、消費者に投票してもらい、その上位プロジェクトに寄付を分配するなど。
 また、水は低関与製品なので、いかに消費者側の関与を増やしていけるかがポイントでもある。キャンペーン期間中3ヶ月はペットボトルの色をピンクにしたり、リボンをつけたりするなど。ソーシャルメディアを活用する方法性も考えられる。例えば、ボルヴィックを飲むと、携帯でチェックインし、飲んでいる者同士の交流を増やすなどして、新しいソーシャルグラフを生み出すなど。

 このキャンペーンはグローバルにおこなわれているが日本のキャンペーンが一番反応がいいらしい。寄付やコーズがメジャーな国よりも、それがまだ根付いていない日本の方が、手軽に参加でき、しかも目立つということか。