2011年12月13日火曜日

SROIの問題点

今回は、あえてSROIの分析の批判をしてみたいと思います。

マイクロソフトのSROI分析のレポートが出ましたが、

今回の分析は、マイクロソフトがおこなった IT教育が就業を可能にしたというロジックに基づいてSROIは計算されています。

しかしながら、就業(アウトプット、アウトカム)を可能にした(に投入されたインプットはこのITプログラムだけではないはずです。

例えば、小中高の教育だったり、日頃のコミュニケーション活動だったり、本を読んだり、など、様々な教育投資がおこなわています。

ITプログラムの費用だけをインプットとしているので、明らかにインプットを過小評価してますね。そうすると、必然的に、SROI倍率は非常に高く出ることになります。

つまり、SROIの数値自体の信頼性はかなり低いものであることも、実際に計算してみた人はすぐにわかると思います。数値自体は事実というよりも、算定者側のオピニオンに過ぎないのです。

他のIT教育支援プログラムとも比較してますが、5%程度の差はそれほど決定的な違いとは言えないものです。

また、このプログラムのどういう点が(企業側から)評価されて、個々の就業に結びついたかのロジックはブラックボックスのままです。この点は、実際に、プログラムの質を高める上でも、この算出結果の信頼性を担保する上でも、この点は必要なことですね、

分子と分母の比率をとるということは、効率性の指標ですが、効果性の指標ではない点も、残念ながら、多くの人が理解できていません。この点は効率性と効果性の両面で、投資の効果を測定することが必要です。例えば、就労支援であれば、就業者を増やすという効果性を高めていくことが社会の目標で、効率性はその制約条件と考えた方がわかりやすいでしょう。

以上のような問題点を指摘できるとは言っても、
ソーシャルビジネスの社会的な価値を算出する重要性はますます高まっていると思います!社会に対する投資という視点が重要ですね、