2011年11月4日金曜日

政治家のソーシャルメディア活用

政治家のソーシャルメディア活用

政治家のソーシャルメディア活用ということについて考えてみたいと思います。
ソーシャルメディアを活用する政治家養成学校も出来ましたし(笑)

政治家がソーシャルメディアを活用するというのは、
単に、ブログを書いてますよ、演説がうまいですよ、というのとは全く違うと思う。

ソーシャルメディアを活用することで自分の影響力を高められるかどうかがポイントなのだ。これは、企業も個人(政治家)も同じことである。

影響力とは、自らが望む方向に他人を説得したり行動させたりする力、と定義されるかもしれない。オバマの選挙が典型的であったが、その影響力を高めることができたことが、寄付金を集める力に転嫁されたのだ。その逆ではない。

政治家の影響力は土壇場で力を発揮する。
相撲で言えば粘り腰で土俵ぎりぎりで粘る力、土壇場力と言えるかもしれない。
今の、メディアの内閣の支持率はうまくエンゲージメントの深さを反映していないと思う。

野田首相もブログ(かわら番)をやっているが、一方向型な話が多く、対話型ではなく、読者を引き込むことに失敗している。何かを説明しているのだが、それを読んだ読者に、何か考える機会を与えたり、それについてコメントしたくなるようなものではない。

間違いないように、誤解がないように、という配慮はあるが、対話ではない、
これでは、エンゲージメントが深まらない。(企業のソーシャルメディア活用でももよく犯す間違いだ)

エンゲージメントを深める上で、企業でも、その企業が目指すビジョンやミッション、世界観が重要だが、野田首相の演説にはそれがみえない、やるべきことを淡々とやります、俺の背中をみてくれよ、みたいな。この透明性の時代にそれでは駄目だと思う。

自らを、自らの言動をソーシュルオブジェクト化できるかが、野田首相のソーシャルメディアで影響力を高められるかどうかのポイントだと思う。

ソーシャルメディアの6つの評価軸


ソーシャルメディアの6つの評価軸

企業のソーシャルメディアの活動、そしてその成果をどう測定するか、様々なコンサルタントが模索しています。AltimeterのSusan Etlingerさんが1つ参考となるフレームワークを提供してくれていますので、私なりの解釈を加えてご紹介します。

6つの評価軸です。

1番目はブランドの健全度です
一言で言うと、オンラインでどれくらい好意的に口コミされているか、です。オンラインの口コミが購買行動に非常に影響を与えていますから、まずはそこを押さえることが必要です。

2番めは、マーケティングの最適化という観点です
ソーシャルメディアを活用することによって、マーケティング全体の効率性が高まる側面があるわけです。それはソーシャルメディア単独の効率性の良さという側面と、メディアミックスによる効率性が高まる2つの側面があります。

3番目は、売上の貢献度です。
ソーシャルメディアは見込み客を増やすという側面と会話を増やす側面がありますが、最終的に売上にどの程度貢献するか、それも極めて重要な評価の尺度になります。

4番目は、オペレーションを効率的にするという側面です。
カスタマーサービス部門が効率されたり、苦情処理が効率されたりという側面があります。

5つ目はカスタマーの経験を豊かにするという側面です。

企業のコントロールできないタッチポイントが増えていますが、それぞれのタッチポイントでその企業ブランドの経験を豊かにする、一貫した良い印象をもってもらうということが重要になってきています。

6つ目は、イノベーションを引きおこす力です。
カスタマーとの協同によって、新しいアイデアを生むことができるようになっています。

以上の6つの評価軸をもとに、自社のソーシャルメディアの活動を他社と比較したり、時系列でその改善を図ることができると思います。そのためには、この6つの評価軸をどのようなデータで測定していくか、どうデータを解釈すべきかという次の課題を解決する必要がありますね。

この評価軸を、段階と考えることもできますね、日本企業の場合は1段階目、2段階目を模索している企業が多いように思います。

2011年11月2日水曜日

野田首相ってホントにソーシャル向きなの?


野田首相ってホントにソーシャル向きなの?

ループスの斉藤さんが、野田さんは演説もうまいですし、ソーシャル向きっぽい方だなと思います、と発言している。
http://news.livedoor.com/article/detail/5990292/?p=1

これってあっている?

ソーシャルメディアを選挙で活用した事例でよく挙げられるオバマと比較すると、まったく真逆ではないかと思う。

オバマ チェンジという行動を呼びかけるわかりやすいメッセージを発信

対して、野田首相は自らをどじょうと称した点ではその点だけは話題にはなったが、増税、震災復興、福島原発問題などの政策も、感情をよびおこさせるメッセージにはほど遠い。


情報発信力 ×

行動や言動が人のうわさになる ×

感情をよびおこさせるメッセージや行動をよびかかけるメッセージ ×

透明性 ×

つまり、国民にとって野田首相は(低関与、論理性)のセグメントに位置しており、ループスの斉藤さんが言うソーシャルに向く領域(高関与 感情)領域には全く入っていない。

歌手でソーシャル向きは言えばレデイガガだ。自らをソーシャルオブジェクトに徹して、情報発信、インタラクションを生み出す姿はまさにソーシャル向き。


野田首相は冷えたピザと称された小渕元首相に近く、とっても、彼の、言動や行動がソーシャルメディアを通じて様々なソーシャルグラフで伝播するという形になっていないのだ。これはTwitterの引用件数を検索してみるとはっきりわかる。

ソーシャル化の本質は自らが発信するよりも、それが多くの人によってシェアされるかどうかが本質なのだ。

結論:演説がうまいのとソーシャルに向くかは関係ないのだ。
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クラウドファンディングの本質③

クラウドファンディング(CF)が注目される理由として以下の点が挙げられる。


アイデア段階で個人がお金を集めることができる

プロジェクトは芸術、クリエイティブ、製品の制作、何かのチャレンジでも何でも構わない。その資金をアイデア段階でお金を集めることができる。

お金の出し手が意思決定者と一致するのでスピーディにお金集めを実現できる
銀行や機関投資家のような資金仲介者ではなく、お金の出し手と意思決定者は一致している。プロジェクトとP2P型で結ばれ、スピーディに意思決定することができる。

お金の出し手に対するリターンを柔軟に設計することができる

お金を出した人に対するリターンの種類として3つある。
「寄付型」 : リターンを一切求めないタイプ(提供者に見返りなし)。
「購入型」 : 金銭以外のリターンがあるタイプ(作品やイベント招待など)。
「投資型」 : 金銭的リターンを想定するタイプ

お金の出し手はお金を出すことによってそのプロジェクトの支持・支援を社会的に表明できる。

多くのCFはソーシャルメディアと連動しており、そのプロジェクトに支援することがソーシャルグラフでつながった人などに明らかにすることができる。

集合知によってプロジェクトが実行される。

個人のお金を出すかどうかの判断の結集によってプロジェクトが実行されるかどうかが決まる。それを決めるのは個人の判断とともに集合知だ。

プロジェクトのファンディングを通じて、これまでになかったつながり、結びつき、キズナを作ることができる、
リアルなイベントなどとも組み合わせることができ、プロジェクトを通じて、コミュニティが形成される。逆にそういうコミュニティが形成されるかどうかが資金を集められるかどうかのポイントにもなる。

このようなCFで共感によってお金を集めることができるようになると、資本主義もまた別の道を歩んでいると言わざるを得ない。

共産主義は生産手段を資本家が独占することによって貧富の差が拡大することによって崩壊すると予言した。それに対して、クラウドファンディングは共感=マネーの新しいパラダイムだ。この共感は誰によって独占されるものではなく、誰でも生み出すことができるものだ。つまり、はじめて資本が市民に解放されたということができるかもしれない。

2011年11月1日火曜日

クラウドファンディング②




クラウドファンディングの面白い点を考えてみたい。

舞台裏を見せる効果

お金が何にかかるか、制作過程を見せる、透明に、ミッションオリエンテッド型で何をやりたいのかを示して共感を集める。

お金の出し手に対するリターンをカスタマイズできる
リターンは別にそのプロジェクトの生産物でなくても構わない。エンゲージメントの階段を多様にもうけることで、お金の出し手のニーズに応えることができる。

ゲーミフィケーション
期限を決める、all or nothingでハラハラドキドキ、そのプロジェクト成立に対する関心を高める

広告とお金集めを同時に、一体型でできる
クラウドファンディングではお金を集めをしつつ、その一方で、そのプロジェクトの認知度を高める、広告宣伝に役立っている。

アイデア段階、制作過程でお金を出すことによって、プロシューマー的
生活者がお金を出すことで制作過程に関与し、生産者の役割の一端を担う。

お金を出した人同士のつながりをつくり出すことができる
ソーシャルメディアで誰がどのプロジェクトにお金を出したかが可視化され、お金を出した人同士のコミュニティを形成できる

目標を共有、ビジョン、世界観を共有できる?
大成功したプロジェクトでは単にお金を集めることができたという以上に、プロジェクト側とお金の出し手が目標、ビジョン、世界観を共有できたケースが生まれる。

ニーズがないと作られないことによるムダの排除

お金が集まらないと制作はおこなわれない、そういう意味ではムダの排除が自動的に行われる。

プロジェクト側のリスクの低下
ムダの排除はプロジェクト側からみるとリスクの低下につながっている。ニーズがないものは作られないからだ。

広告モデルの変化

一般の製品は大衆向けに広く広告宣伝をして、そのわずかな一定割合が購入することで、採算があっていたが、クラウドファンディングはその興味をもつ一定割合をダイレクトにアクセスして支援してもらう形である。

2011年10月31日月曜日

クラウドファンディング①



クラウドファンディング①

ソーシャルマーケティングについてはだいたいまとまったので、
次は、クラウドファンディングについて考えていきたいと思います。

日本でも、ソーシャルメディアが人々の購買行動、ライフスタイルに大きな影響を与えつつあります。その一方で、クラウドファンディングという金融イノベーションが静かに進みつつあると思います。

クラウドファンディングを考えることで、さらにソーシャルメディア時代のマーケティングについて深い理解が得られると思います。なぜなら、後述するように、クラウドファンディングは単なる資金調達ではないからです。人を参加(引き込ませる)させる高度なメカニズムデザイン、舞台装置と考えればより近いのではないでしょうか?

 クラウドファンディング(以下、CF)はプロジェクトに関わる資金を、ネットを通じて多数の支援者から集め、プロジェクトを実現する方法のことを言います。アメリカのKicksterが有名で、日本でもReady for? 、Campfireなど類似のサービスを開始し始めた段階です。

クラウドファンディングをソーシャルメディア時代の新しい購買の形と位置づけることもできるのではないでしょうか?

CFという舞台にたつことによって、

購買という見えない行為がみんなに見える行為に変わり、
購買者は支援者に変わり、
独立した購買が、みんなの購買に変わり、
購買者同士のつながりが作り出され、
機能便益を得るための購買が、そのミッションや目指す世界観への応援支援となり、
生産側と消費者の融合(プロシューマー化)が起こり、

つまり、クラウドファンディングは単なる資金調達ではないということです。
つまり、クラウドファンディングは単なる購買行為ではないということです。

ですから、プロジェクト側も、この点を十分に考えて設計する必要があると思います。

新たな関係性を作り、コミュニティを作り出す、
そのことを、より劇的に、イベント化、劇場舞台化、非日常化したという方が近いのではないでしょうか?

このCFを可能としているのが、
ソーシャルメディアによる購買(支援?)の可視化、インタラクティブ性、リアルタイム性です。

企業側も、モノを売る際に、以上のような発想をもつことが、ソーシャルメディア時代には必要なのではないでしょうか?

ということで、今後、いろいろと考えていきたいと思います。