2010年10月23日土曜日

同志的結合?

 今日は楽しみにしていた孫泰蔵さんの講演会。今日は起業の話だった。最澄の「一隅を照らす人物こそ国の宝である」という言葉を紹介して下さった。私の信条として言葉に、アシジの聖フランチェスコの「自分を捨てて、永遠の命を頂くのですから」という言葉がある。この2つの言葉は本質的には同じことを言っていると思う。

 坂本龍馬も、ヤフーの創業者も、自分のエゴを捨てて大義に身を捧げたから大きな仕事や人を感動させる仕事が出来たのだと思う。

 利己ではダメで利他の力。これを根本的に資本主義のエンジンに埋め込む必要がある。ボランティア、本当の仲間、大義に身を捧げる同志。起業家の周りの利害を超えたな仲間達の励まし。世の中の共感など。

 大上段に構えると、ボランタリー経済と貨幣経済の連結するところに、今後の資本主義の未来の姿があると思う。自分の会社のビジネスモデルに共感して頂き、自分勝手に、同志的な結合がはかれたのではないかと思っている。

2010年10月21日木曜日

ソーシャルベンチャーの新しいフレームワーク

 ソーシャルベンチャーのための分析フレームワークを考えたいと思っています。来月の社会起業ケーススタディ研究会は11月8日(月)に予定。そのためにケースを読み質問を考えているところ。やっぱり通常の会社とは違う面もある。

1つは目ステークホルダー全体の把握と提供する価値を考えなくてはいけない。特に、無償のボランティアや寄付者は彼らの期待に対して価値を提供しないとすぐ離れしまう。

2つ目は、通常の会社でよく使うポーターの5フォースなどはあまり役立たない。規模が大きくないということもあるが、ソーシャルな分野は概して競争、囲い込みにはなじまないものだだ。

3つ目としては、通常の組織図やバリューチェーンに収まらない部分がある。だから、ソーシャルベンチャーのダイナミックなオーガニックグラフみたいなものを考えたいと思っている。

4つ目としては、ケイパビリティ、資源アプローチが分析ツールとしては有効性が高いという感じがしている。これまでにない新しいニーズを探すケイパビリテイ、それをどう満たすかという組み立て・設計のケイパビリティ。変わりゆくニーズや規制の変更に対応する能力など。経営資源がほとんどない状態から、上記のようなケイパビリティを生み出すためにどう経営資源を蓄積し、進化していくかがポイントとなる。

分析フレームワークは、ソーシャルベンチャーのビジネスプランを作る際にも有効になるわけなので、早速開発に取りかかりたい。

2010年10月20日水曜日

NPO/ソーシャルベンチャー:寄付の前にマーケティングの視点

コーズマーケティングの専門の方にお話を伺った。印象に残ったのは、コーズマーケティングにおいて、企業とNPO/NGOの「対等の価値の交換」という視点である。企業からは、人、モノ、金(寄付)の支援をNPO/NGOに与える代わりに、NPO/NGOから企業には、消費者に対するアピール力、そのコーズに対するブランドイメージや公益性などが与えられる。

 したがって、それだけNPO/NGOにはミッションオリエンテッドなポジショニング、ブランドがなければならない。そういう意味では、日頃からマーケティングができているかどうかが問われることになる。NPO/NGOもピラミッド構造になり、ごく一部の会社しか明確なブランディングができていない。企業側がパートナーに選ぶのはそういう企業に限定されがちである。

 国民の寄付に対する意識が低い、税制の問題から寄付が集まらないというのは事実だけれども、NPO/ソーシャルベンチャーにとって、まず第一に自社のマーケティングを見直して、ミッション、ポジショニング、ブランディングを再確認する必要がある。

2010年10月19日火曜日

ソーシャルマーケティング:コーズ・ブランディング

 慈善事業を自社事業と関連づけたブランド戦略「コーズ・ブランディング」が広がりつつある気配。株主だけでなく、顧客、社員、地域社会、政府、サプライヤーなど様々なステークホルダーに向けて有意義な方法でコーポレイトブランドを売り込みたいというニーズが高まっているからだ。

 どの分野を対象とするか? よくあるテーマを支援対象としても市場での差別化にはつながりにくい。ニッチを狙うと目立つが、それには、それなりの主張、理論武装、ステークホルダーに対する説得力を必要とする。目的は、あの活動といえば自分の会社を想起させることを狙うのだ。

 かつてないほど社会貢献が注目される今、それを完全に無視していくことは難しい。では、どのレベルで行って行くべきか? 消極的な慈善活動〜コーズ・ブランディング〜ポーターの競争優位を狙うアプローチ。コーズはスペクトラムの中間に属するため比較的取り組みやすいというメリットをもっている。自分たちが課された、もしくは自分が自ら課した責任を、どう価値ある資産に転換していくかという発想と戦略が必要になる。

2010年10月18日月曜日

ソーシャルベンチャーのもたらす価値 ソーシャルインパクト

 ソーシャルベンチャーに対する批判の一つに、民間企業と比較すると大した売上、利益になっていないじゃないかというものがある。確かに、ソーシャルベンチャーで有名なフローレンス、(株)いとどりにしても売上は2億円程度だ。民間企業ではこの数字だけでは胸を張って成功とは言い難い。

 ただし、ソーシャルベンチャーのもたらした価値を論じる場合に、金銭的な価値以外に、ソーシャルな価値、ソーシャルインパクトがあり、それをどのように測定するかが問題となる。

 葉っぱビジネスで有名な「いろどり」のケーススタディを読んでみた。この会社のソーシャルインパクトは、高齢者が生き甲斐をもって働けたことによる健康増進効果、Uターン者が増えた効果、地域コミュニティの活性化、見学者が増えたことによる宿泊施設の潤いなどがある。
つまり、株主以外のステークホルダーが受け取るソーシャルインパクトある。
 
 また、このビジネスを参考にして他の高齢化・過疎化地域でも新しいビジネスにチャレンジするなどのスピルオーバー効果も期待できる。

 このような主張もソーシャルインパクトをより具体的数値で説明した方が説得力がますので、私はそのようなチャンレジ、ソーシャルインパクトの可視化に取り組んで行きたいと考えている。