2011年10月13日木曜日

マーケティングに求められる新たなケイパビリティ(資源、能力)



 企業のマーケティングの主戦場が、マスメディアからソーシャルメディアに移るにつれて、企業に求められるマーケティグのケイパビリティ(資源、能力)にも大きな変化が生まれつつある。

 マスメディアのマーケティングにおいては、資金力、媒体を押さえるネットワーク、資金および人的資源を有効に配分する調整力などが重要であった。

 しかしながら、ソーシャルメディアのマーケティングにおいてはそのようなケイパビリティはもはや必要ではない。

 ソーシャルメディアマーケティングの「7つのステップ」で示したように、魅力的なコンテンツを定期的に発信して、顧客、および顧客間にインタラクションを生み出し、エンゲージメントを高めていくことが基本である。

 そのためのケイパビリティはあたかも雑誌の編集者のようなものである。魅力的なコンテンツを見つけ出したり、自ら作り出したり、それを編集して、発信して、読者の興味を引き、口コミを増やすという流れだ。

 ソーシャルメディア時代は全ての企業がメディアカンパニーの側面を持つようになり、編集者のような振る舞いが求められている。このケイパビリティを自社で養成するのか、外部からの人材を採用して保有することが企業にとっては喫緊の課題になっている。

米国においては、ソーシャルメディアが普及すると、まずコミュニティマネジャーという役職が生まれた。現在、新たなCEOが必要だと言われている。CEOとはChief editorial managerであり、会社が発信するコンテンツを編集するのを統括する人のことだ。これも、ソーシャルメディィア時代に企業がメディアカンパニーとしての側面を持ち始めたことを示唆している。

 現状、日本の企業のソーシャルメディア担当をIT担当者に兼任させているケースが多いが、IT担当者が編集者のような素養、能力をもつケースはそれほど多くはなく、このことも日本企業のソーシャルメディアマーケティングがうまく機能していない一つの要因になっていると推察される。

新たな葡萄酒には新たな革袋が求められるのである。

2011年10月12日水曜日

ソーシャルメディアマーケティングをコストではなく投資とみるべき3つの根拠

マーケティング前提条件の変化
マーケティング費用はコストではなく投資である

 これまでマーケティングに関わる費用はコストとして捉えられることが多かった。売上高に対する比率で予算が決められ、売上高との対比によって事後的に管理される。つまり、これまでのマーケティングの前提はマーケティングの費用とその効果は年度中で完結し、対比できるという前提である。

 しかしながら、ソーシャルメディア時代になり、マーケティング費用をコストと捉えるよりも投資として捉える方がしっくりくるようになっている。いや、それどころか、ソーシャルメディアのマーケティングは投資として見なければまともな意思決定ができなくなっているのだ。

ソーシャルメディアマーケティングに関わる費用はコストよりも投資である。
その理由は3点が挙げられる。

 第一に、その費用の回収は1期間よりももっと長い期間での回収が必要となる。つまり、1期間の売上対比で効果を計ることが難しくなっている。費用はすぐに発生するが、その効果は長期にわたるのである。

 第二に、どのくらいその費用を回収できるかの不確実性が高くなっている。
Facebookのファンを増やしたり、Twitterでフォロアーを増やしたとしても、そこからどれくらいの売上をあげられるかは分かりづらい。このようなソーシャルメディアの指数をどのように売上や利益などの財務的な指標に転換する「方程式」をもっているかどうかが企業に問われるのだ。また、企業によってその投資効果は大きな違いがある。同じ費用をかけたとしても、その効果は企業によって大きく異なる。

 第三に、実は投資効果は顧客がどういうエンゲージメントの段階にあるかによって大きく異なる。

 例えばソーシャルメディアのマーケティングを行い、Facebookファンになってもらったとする。しかし、ファンになってもらっただけでは売上には結びつかず、今後様々な情報やコンテンツを発信して、エンゲージメントを高めることによって、将来的に売上に結びつくかどうかが決まる。その効果は、そのキャンペーンで完結するわけではなく、今後もファンとして維持できる限り生まれる可能性がある。



 図表で示すように、エンゲージメントの段階から、信頼の段階、そしてアクションに結びつくことで、マーケティングの果実を刈り取ることができるのだ。

 エンゲージメントの段階、次に信頼の段階、そしてその次にアクションの段階である。財務的な数値は信頼からアクションに結びついたもののみが効果としてカウントされる。効果の数字に現れなくても、エンゲージメントを作る、エンゲージメントから信頼の階段を作るなど、コンテクストを深めることには実は大きな意味と将来価値があるのだ。

 この顧客の段階を見極めて、顧客が次の段階に移行できる梯子をうまくかけれるかが、実はソーシャルメディアマーケティングの本当の肝にあたる。ソーシャルメディアROIを計る場合にも、この点を理解しないと、正しくROIを計ることはできない。

以上の結果として、ソーシャルメディアのマーケティングを投資として活かせる企業と活かせない企業の差が大きく差が開くことになる。

 ソーシャルメディアのマーケティング効果を長期的に活かせない企業にとっては費用になる。ソーシャルメディアのマーケティングを費用としてしか捉えない会社は過小投資という間違いを犯す可能性が高いと言える。これに対して、その効果を長期的に活かすことができる企業にとっては投資となり、その果実を長期的に刈り取ることが可能となる。

この違いは、ソーシャルメディアに関する費用をコストと捉えるか、投資と捉えるか、そのフレームによる違いが大きく影響することを企業は理解すべきである。

コラボ消費が劇的に増える理由!?

レイチェル・ボッツマンがTedの中でコラボ消費について説明している。

通常、コラボ消費というと、消費者同士のシェアリング、消費者同士のコラボレーションのことを意味している。

私はもう少し概念を拡張して
生産者と消費者のコラボレーションも含めて考えている。

私なりのコラボ消費の定義
消費者同士、および生産者と消費者との情報交換、コミュニケーションによって、全体の消費がより効率的されたり、より楽しくなったりする。

ゲーム理論的に、生産者と消費者のモデルを考えると、
生産者は2つの選択肢がある。<協力する、協力しない>
消費者も2つの選択肢がある。<協力する、協力しない>

生産者と消費者がお互いに協力した場合に全体最適が達成できる一方で、お互いに協力しないと「囚人のジレンマ」に陥り、低い値、低い満足しか達成できない。

では、どうしたら生産者と消費者がお互いに協力し、お互いに賢い選択肢をとることができるのか?

その一つの答えが、消費者同士、及び生産者と消費者が情報のやりとり、コミュニケーションを活発化し、コラボ消費することである。

コラボ消費は楽しいだけでなく、賢い選択肢となるのだ。

今後、ますますコラボ消費が進んでいくと思う。
不況により、合理的な選択、賢い選択が促進されるとともに、何より楽しいから。

我々は消費に機能的な価値を置くとともに、経験的な価値を置く。経験的価値は他人との経験の共有によって、消費に新たな「意味」が付加されるからである。

2011年10月11日火曜日

マーケティング前提条件の変化 「顧客とは何か」の前提条件の変化



 第2に、ソーシャルメディア時代には、顧客とは何かという前提条件も大きく変化している。これまでのマーケティグでは、顧客は自社の製品サービスを購入する人を意味していた。図表で示すように、顧客を2つのセグメントで捉えていた。いかに見込み客を顧客にするかという観点からマーケティングは捉えられてきたのだ。



 しかしながら、ソーシャルメディア時代の顧客は、製品サービスを購入する人であるとともに、他の人に推奨してくれる人であり、アドバイザーであり、アイデアを一緒に生み出してくれる人であり、ネット上で影響力を及ぼしてくれる人である。

 このようにソーシャルメディア時代には顧客は単に製品サービスを購入していくれる以外にも、多彩な顔を持っているのである。また、この多彩な顔を引き出せるかどうかがソーシャルマーケティングでは極めて重要な意味を持っているのだ。

 顧客がこの多彩な顔をもつようになった背景にはソーシャルメディアの普及がある。簡単に自分の購入した製品サービスの感想をTwitterでつぶやいたり、Facebookでいいね!というボタンを押すことで自分の意見を表明できるようになっている。

 広告の信頼性は企業が発する情報が低下しつつある。自分の友達や知り合いの影響力はどんどんあがっている。したがって、顧客に自分の製品サービスのポジティブな感想や意見をソーシャルメディアで発信してもらうことは企業の広告以上に購買に影響力をもつようになりつつあるのだ。

2011年10月8日土曜日

企業パラダイムの変化、外部性を企業内にどう取り込むか?

企業パラダイムの変化、外部性を企業内にどう取り込むか?

震災後、日本の主力銘柄の1角が暴落している。
東京電力然り、
トヨタ、野村証券、第一生命、ソニー、任天堂・・・・

これまでの企業パラダイムが明らかに変化したのだと思う。

これまでのパラダイム
企業→市場メカニズム
市場メカニズムで対応できない外部性がある→公共セクター
という役割分担。その間をNPOやソーシャルベンチャーがわずかに埋めてきた。

その企業も、負の外部性に対応することを社会から要求される。それが企業の社会的な責任として課せられるようになってきた。

そうすると、企業の境界も組み直しが必要にある、
これはまた、営利企業と非営利企業の境界が曖昧になりつつあることにも通じる話だ。

そうすると、新しい公式が必要となる、
震災前の時価総額 – 負の外部性=震災後の時価総額

また、逆にこれはチャンスでもある。企業によっては、
震災前の時価総額+正の外部性=震災後の時価総額

正の外部性をどうやったら企業の境界内に取り込むことができるかは、
今後の企業戦略の中でも最上の戦略の一つになるだろう。