企業マーケティングとソーシャルマーケティングとの融合

企業が利益追求中心のマーケティングであるのに対して、ソーシャルマーケティングは社会との関わりを重視するマーケティングの考え方であり、これまでは、公共機関や非営利企業のためのマーケティングとして位置づけられてきた。
公共機関や非営利企業は、ソーシャルマーケティングによって、解決を図ろうとする社会的な課題を世の中に啓蒙したり、その団体の目指すビジョンやミッションに対する共感を喚起するために用いてきた。
しかしながら、ソーシャルメディア普及により、企業のマーケティングも、社会とのかかわりが重要性を増しソーシャルマーケティングの色彩が濃くなってきた。
また、ソーシャルメディアにより、企業の活動が赤裸々に世間の目にさらされるようになったこともこのこのことを後押ししている。企業の活動に一貫性がないと、信頼感を得られなくなったからである。
ソーシャルメディアの果たす意味を考えるには以下の2つを比較してみるといい。製品を購入することと、人に知らせた上でその製品を購入することである。後者は、前者よりも、購入に社会的な側面が加わるので、その企業に対する応援や共感、支持の表明という色彩を持つようになり、どの製品を購入するかが自分自身のアイデンティティを示すという意味合いが強くなる。
ソーシャルメディアのこのような側面が企業マーケティングのあり方も変えていくのだ。
企業と消費者を3つにつながりのレベル、コンテクストで分類することができる(図表●)。
第1層は、企業と消費者は製品レベルのつながりである。この第1層では消費者は機能面の違い、コストパフォーマンスの違いによって簡単に他社製品に乗り換える。
第2層は、その製品を提供する企業への情感、感情的なつながりである。この第2層は第1層よりも消費者と企業とのコンテクストは深まる。例えば、その企業の製品を購入した時に、きちんとサポート対応してくれたから、もう一度買おうとか、そういうレベルである。この第2層では人的なサービスが差別化要素となる。
第3層は、その企業の目指すミッションやビジョン、企業文化に対する敬意、その企業の世界観に対する共感によるつながりである。この第3層になると、消費者は他社製品にスイッチしなくなる。また、他人にもその製品の良さや、その企業の良さを推奨するようになる。
当然、企業は、第1層から第2層へ、そして第2層から第3層にコンテクストを移行することが望ましい。そのためには、企業は自らのミッションやビジョン、企業文化、その企業が目指している世界観などを人々に理解してもらうことが重要となり、営利企業もソーシャルマーケティングが必要となってきたのだ。
第3層とのコンテクストの割合が高い企業には、ユニクロ、ソフトバンク、ソニー、アップル、スターバックス、ザッポスなどが挙げられるだろう。
以下、ザッポスのCEOのトニー・シェイの言葉を引用しよう。
「我たちは、企業の文化と会社のブランドは本質的1枚のコインの表と裏だと信じているのです。ブランドは初めは文化に遅れを取るかもしれませんが、いつかは追いつきます。企業文化こそがブランドなのです」



