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2011年11月20日日曜日

パラダイムシフトをデザインする



 
 ブータンのワンチュク国王 は、GDH(国民総生産)<GNH(国民総幸福度指数)を示した。我々が求めているのは経済的豊かさではなくて、その先の幸せだった・・・ことに日本人も気づかされた。経済的豊さはアウトプットであり、我々にとってのアウトカムではないのだ。ブータンでは97%が幸福を実感。日本ではさすがにその逆ではないが、幸せでも不幸でもないと答える層が多いだろう。

 管首相は幸せでなく不幸に注目して、最小不幸社会の実現を掲げたが、あまりに消極的すぎて、全く国民に支持されなかった。技術者らしい間違いである。幸せは定義できないが、不幸なら定義できると考えたのだ。

 シフトすべきタイミングに来ている。「企業:経済的利益の追求」→「企業:社会の幸せの総量を増やすこと」。そうなると、全ての企業がソーシャルビジネスとなる。

 ソーシャルビジネスの価値評価するSROI(社会投資収益率)という指標があるが難しくて使いにくい。そこで、ソーシャルインパクト指数を開発し、それをベースに「CSRソーシャルインパクト指数」を考案した。企業の本業、CSR活動の社会に与える価値を数値化する手法である。ポーターが主張するCSRからCSVへの転換には経済的便益と社会的便益の両方を測定するツールが必要になるだろう。

2011年11月15日火曜日

ソーシャルビジネスの評価

SROIは1990年代後半に米国REFによって開発された、ソーシャルビジネスの社会的価値を定量的に測定する評価手法である。当初は注目を浴びたが、その後は、それほど広く普及してはいない。

 その理由はこの手法にはいくつかの欠点があること。特に、そのプロセスが複雑で、アウトプカムの金銭価値の換算が難しいこと、手間がかかることなどがその理由である。しかしながら、ソーシャルビジネスの社会的価値を算出できること、価値ベースの評価手法であること、数値化による客観性・比較可能性など大きなメリットも有する。

 そこで、(株)ソーシャルインパクト・リサーチは従来型SROIの欠点は補い、より簡便に、より効果的に、ソーシャルビジネスの社会的価値を算出する新たな社会的価値の評価指標「ソーシャルインパクト指数© (Social Impact Indicator©, SII)©」を考案した。

 このソーシャルインパクト指数©は、5つの指標《①社会的課題の深刻さ、②投資対効果(修正SROI)、③地域・産業への波及効果、④スピード、⑤経営基盤・持続性》から構成されている。 これは、日本版SROIと位置づけることができる。

 内閣府地域社会的企業創出事業で助成対象の30社に関して、ソーシャルインパクト指数©を用いた、ソーシャルインパクト分析をおこなった。

その結果、わかったことは、

・ソーシャルビジネスによって、SROIには大きな幅があること、
・SROIとSII©にはかなりの差が生じていた。つまり、従来SROIだけでは十分に社会的価値の大きさを計ることができないことを示唆している。

・また、投資対効果と波及効果を比較すると、この2つのファクターはかなりの差が生じている。これは、現時点の効率性と将来ポテンシャルは異なること、したがって、この2つを明確に区別することが正しい社会的価値の評価につながることを意味する。プロジェクトそのものとソーシャルビジネスを運営する組織の評価は異なる。後者はより波及効果やポテンシャルの価値が大きくなることがわかる。

・また、お金以外のボトルネックの存在が社会的価値に大きく影響することがわかった。つまり、この部分を正しくは把握することが重要である、

 以上を踏まえると、これまで、ソーシャルビジネスや社会的なプロジェクトの評価は、定性ベースで評価者の恣意的によって運用されてきたが、社会的価値の評価手法を、ソーシャルビジネスの中間支援団体や行政が理解し使いこなすことは、評価の客観性、明瞭性、説明責任を果たす上で、何よりも、社会的な価値を増やす上で大切なことであることがわかる。

 今後、東日本大震災もあり、財政が逼迫する中で、NPOや社会的企業へ回ってくるお金も細っていくことが予想される。お金のムダ使いを減らすという観点もそれなりには重要であるが、社会的価値を増やすという観点から、より効果的に資金が使われることが豊かな社会の実現には不可欠となる。その意味で、最終価値ベースで社会にとって価値があるプロジェクトを採択していくことの重要性が今後ますます高まることが予想される。

 今後、ソーシャルインパクト指数©を、社会的価値を組み込んだ公契約においても活用できるかどうかを研究していきたい。また、通常の営利企業においても、社会的価値を考慮した上で事業を展開すること、意思決定をおこなうことの必要性がますます高まっているので、その方面での研究も続けたい。

2010年11月8日月曜日

ソーシャルベンチャーのステークホルダー

 今日は、「ワールドカフェで学び合う「いろどり」モデル。最新ソーシャルビジネス研究会」開催。http://tweetvite.com/event/2of3

私が考えた事前質問は3つ。
事前質問1)いろどりは、どのようなステークホルダーをもっているか? そのステークホルダーにどのような価値を提供しているだろうか?

 ソーシャルベンチャーでは必ずしも株主が最優先されるわけではない。まずどのようなステークホルダーがいるかを考えて、それぞれのステークホルダーはどのような期待をもっているのか、その期待に十分に応えているのかを振り返ることは極めて重要なことだと思います。

 また、各ステークホルダーの期待に応える過程で、ステークホルダーの利害対立やコンフリクトが起きる可能性もあり、そのコンフリクトをどういうメカニズムによって解決していくのか? この辺りを皆さんと議論できれば面白いのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

2010年10月13日水曜日

企業がソーシャルベンチャーから学ぶ点

 フローレンスのケースを勉強したときに、ソーシャルベンチャーを通常の企業と同じフレームワークで分析していいのか迷ったことがあった。私はやっぱり異なるフレームワークを採用すべきだと感じた。

 ソーシャルベンチャーと営利企業とどう違うのか? 明確に答えることは難しいが、単純化すると組織の目的関数が異なるのだと思う。営利企業の場合は株主利益の最大化が基本原理である。最終目的関数が株主利益だとしても必ずしも顧客利益や従業員利益が切り捨てられるわけではない。あくまで株主の残余利益を最大化を図るということである。この過程で社会的な損失が生じてもそれは最大化する目的の中には含まれていない。

 ソーシャルベンチャーの場合はどうか? 社会利益を含めたステークホルダー全体の利益の最大化を図る。

 この目的関数の違いによって、2つの組織の振る舞い方はだいぶ異なる。民間の会社と役所が異なるように、企業の制約条件と目的関数の違いによって、行動は全く異なるものになる。
現在ソーシャルベンチャーが注目されるのは、サステナブルな社会を作る上で、ソーシャルベンチャーのあり方は通常の会社にも参考になる点があるのだと思う。

2010年10月6日水曜日

ソーシャルビジネス:ブームの背景?

 事前質問を考えた張本人が自分の考え方がないのもどうかと思いますので、今日は、自分の質問に対する自分の考え方をまとめたいと思います。

社会起業ケーススタディ勉強会の事前質問の1つ。
「現在、社会起業家ブームとなっているが、社会起業家を押し上げている社会的背景はどこにあるのか? それは単なるブームで終わらないか? フローレンスはどういう時代の文脈にマッチしたのか?」

 基本的には、f(ミッション実現)←(機会、能力、コミットメント)と思います。現在、フローレンスが注目されるのはミッションを実現してきたから。そのミッションがうまく時代の機会を捉え、それに対する組織内部の能力とコミットメントを高めることができた。

パラダイムのシフト
価値観/  オーナー、株主IPO →より広い、社会全体の価値の重視
既成概念/ 行政がやる仕事、補助金でやる事業→民間がやる、民間の方がうまくやれる
NPOのあり方/ ミッション重視、弱い持続可能性→自助努力、マネジメントも重要に
ミッションの時代適応性/ 男が働き、女性が支える社会→働く女性を応援する社会
社会的問題の解決/ 単純、行政が解決 → 複雑化、単一の企業だけでは解決が難しい
行政への認識/ お役所の安心感→行政は非効率、ニーズ対応力が弱い、多様なニーズに対応できない

 民間企業でも、NPOでも、ソーシャルベンチャーでも、成功する割合は低位、一定率しかありませんが、多くの人がソーシャルベンチャーという方向で事業をおこなっていけば、数としてはどんどん成功事例も生まれてくるんではないでしょうか? 昔のIT,ネットバブルと同じです。

ソーシャルビジネス:成功の基準は?

社会起業ケーススタディの事前質問の1つ。
「フローレンスの成功要因は何か? フローレンスは成功していると考えられるか? 何をもって成功を評価すべきか?」

 社会起業の成功の基準を何と考えるか? これがいつも議論の混乱を生む原因の一つともなる。以前、ダイヤモンドの特集でビジネス側の人たちが社会起業家に否定的な見解をしたことがあった。その原因も実はここにある。

ビジネス側の人たちの成功基準は業績、売上、利益、ROI、成長率など。目に見えるもの、測定可能なもの、比較可能性があるものとなる。売上が1億〜2億円で成功と評価されるのが、ビジネス側の人たちには到底理解できないのだ。

 それに対して、社会起業は社会の問題解決とビジネス性の両立を目指すとはいえ、全てがビジネス性で判断されるわけではない。より重要なのはミッションの実現可能性を高めることである。そのミッションはその社会起業組織固有のものであるとすると、他社と比較可能なのか、比較すべきかが実は難しい問題となる。

 また、「成功を考える範囲の違い」と言う問題もある。ビジネスの場合は極論すれば株主が儲かるかが成功の判断基準となる。最近はさらに修正されたステークホルダー全体という考え方も出てきてはいる。社会起業の場合は、その組織と社会を含む範囲を成功を考える範囲として捉えている。したがって、組織だけ、株主に還元する利益だけでは成功の判断はできないのだ。

2010年10月5日火曜日

ソーシャルビジネス:生き残る組織アーキテクチャーは?

フローレンスのケーススタディ勉強会で考えた事前質問の紹介。
「フローレンスはNPOという組織形態を採用していますが、NPOである必要性があるのか? 株式会社では駄目なのか? 組織形態のメリット、デメリットを考えてみてください。」

 この問いに対して、正直、自分自身明確な答をもっているわけではない。評価の基準をまず何にするかが問題となる。それぞれの組織形態によって目的が異なり、それにともない評価基準も異なるはず。

 通常のビジネスを考える場合は、環境と戦略に基づき、組織アーキテクチャー(意思決定の権利、評価システム、報酬システム)を、最適に決めていくアプローチをとる。組織アーキテクチャーは組織形態(NPO or 株式会社)によって異なるものになる。

 環境が異なれれば、戦略が異なれば、最適な組織アーキテクチャー、そして最適な組織形態も異なるものとなる。

 時代を通じて、競争を通じて、生き残っていく形態が適者生存の理となる。今後を考えると、ソーシャルベンチャーも株式会社形態がドミナントになると私は予想しています。

2010年10月4日月曜日

ソーシャルビジネス:ミッション、ビジョンの設定

「社会的起業ケーススタディ勉強会」を主催している。第1回は10月7日でフローレンスのケースだがすぐに30名以上が参加希望者が集まる。ソーシャルベンチャー周りは熱い。

ケースの事前質問を考えてみた。
「フローレンスのミッション、ビジョンを評価してください。フローレンスがおこなっている事業は彼らのミッション実現の方法として適当かどうか評価してみてください。」

 営利企業でもそうだが、非営利企業はとりわけミッションの設定が重要である。ミッションとビジョンはよくこんがらがるが、ミッションは、その組織が現在の活動をなぜ行っているかという理由、組織の存在価値、目的である。ドラッカーは「何をなしたことをもって人々の記憶に残ることを願っているのか」に答えなさいと教えてくれている。ビジョンは組織のとって望ましい未来図。

フローレンスの場合は、
ビジョン「子育てと仕事そして自己実現の全てに、誰もが挑戦できる、しなやかで躍動的な社会」
ミッションは「こどもの熱や軽い病気の時に、安心して預けられる場所が圧倒的に少ないという「病児保育問題」を解決する。」

どういうミッションがいいミッションなのか? 判断するにはその評価基準が必要である。
ミッションの実現がビジョンの実現にスムーズにつながるか? ミッションは短く、焦点が絞られているか? そのミッションは外部の機会、組織の能力、コミットメントのバランスはとれているか?

また、そこから、顧客が明確になるか? 成果が明確になるか? 組織の人材が正しい仕事をするように動機づけられているか? 顧客にどういう価値を提供するかが明確化されるか?
などなど。

参加される方々の解答が楽しみです。

2010年9月9日木曜日

ポータル系サイトのグルーポン型サービスの参入が増えるか?

 宿泊予約の(株)一休が、プレミアムクーポン共同購入サイトを今秋オープンすることを発表した。いわゆるグルーポン型サービスの参入である。発表後、株価の上昇が続いている。ポータルサイトとグルーポン型サービスの潜在的な価値獲得の可能性を評価している。

ぐるなびはピクメディアとの提携という形をとったが、今回は直接参入型。今後、ポータル系の会社が独自サービスとして、グルーポン型サービスの参入が増えていくと思われる。私も1社コンサルティング中である。ポータルに登録している個々の会社にはできないことでポータル系の会社で実現できることが実はたくさんある。

購買フェーズを購買検討段階〜お試し〜購入と考えると、ポータル系の役割は前半の比較検討に情報的価値が高い。そのような価値をグルーピング化して、パッケージ化することで、クーポンとしてまとめることも可能である。また、リアルタイム性をどう引き出すかもサービス設計のポイントとなるところで、設計者の腕の見せ所である。

2010年9月6日月曜日

社会起業家の競争って何だろう?

 1ヶ月余りにわたる公共未来塾(プログラム)が終わり、めでたく卒業。社会起業家の目的すべきものは何かということを考えてみたい。

 資本主義の競争は、その目的は株主価値の最大化である。要は株主を儲けさせるための競争。それに対して、社会起業家の競争は、様々な社会に関わる方々をよりハッピーにするための競争と言えるかもしれない。単一の経済主体のためというよりも、より大きな社会的な大義(コーズ)のための競争。
 
 どちらが経済のエンジンとして強いか? 働く人たちにパワーを与えるか? 資本主義の競争は、その目的は明確である。所有権、強いインセンティブがエンジン。ただし、所有と経営の分離によってだいぶ効率が低下した。いわゆるエージェンシーコストの発生である。経営者に一生懸命働いてもらうために多額のストックオプションを発行したり、モニタリングするために多額の監査報酬を出したり。本来、所有者=経営者の場合には存在しなかったコストである。社会起業の場合、大きな大義ということが働く人たちに大きな力を与える場合もある。また、金銭的報酬を支払わなくても、共感してくれた方々が手伝ってくれたりと、効率性が高まる要素ももっている。大義、ミッションからぶれない経営をするかがパワーの源泉となる。
 
「会社は誰のものか?」は問われ続けている問題だが、いまでもやっぱり、所有権は株主といっていいと思う。問題は、会社は誰のためにあるのかが重要となっている。地域、社会、みんなのため。

 自分を含むみんなのためであれば競争は論理的にはありえないので、「みんなのための協調、協力」ということになるだろう。この部分が本質的なところでもあり、逆に利害関係者の調整が難しいところでもある。健全なコミュニティをどう形成するか? という問題につながる。