2010年9月12日日曜日

プロボノという働き方の選択

プロボノという働き方の選択

 自分がプロジェクトマネジャーとして関わるプロボノ活動が一段落ついたので、自分なりの考え方をまとめておきたいと思います。

 自分はこれまでVCで成長企業の調査は何千社とやってきましたが、社会的起業のリサーチは初めての体験でした。いろいろと学びがありました。VCの調査では、その企業がIPOまで成長できるかが判断基準ですが、社会的起業の場合は成長至上主義ではないのでミッションが最初に重要になってきます。

 実はここでいきなり難題がふりかかります。そのミッションも、経営者の、その団体の価値観に基づき、何が社会にとって重要な課題なのかという主観的考えに基づくもので、必ずしもプロボノ支援側の価値観と同じというわけではありません。ここにあまりにギャップが大きい場合はプロボノを行うことが難しくなると思います。

 また、社会的な課題の解決方法も様々です。起業家が考えているアプローチがミッションに対して有効性が高いかも冷静にもう一度考えてみる必要があります。

 今回は3名のリサーチャーで社会起業家をサポートする体制でした。プロボノのプラス面は、バックグランドの違う人とコーワークし、新鮮な情報や刺激を受けられる点が挙げられます。逆に、問題点は、グループワークの常ですが、特定の人に極度に負担が生じるケースがあり、それをどうプロマネするかとバッファリングをどうするかは考えたほうがいいです(中間組織側に負担がかかるケースもあります。穴をあけると、プロボノとは言え、起業家に迷惑をかけてしまうリスクが生じてしまいます。

 目的や期間が限定されている方がやりやすい面がありますが、先ほど言った負担が短期的に特定の人に生じるリスクも高くなります。プロボノ中間支援組織は、各リサーチャーのスキル、起業家のビジネスプランの課題をうまくマッチングされることが必要になります。

 経営資源の少ない社会起業家にとっては、多くの人の共感を得て、組織外の人に応援してもらうことは必要となります。そういう意味で、うまくプロボノを活用できることは社会起業にプラスになると思います。

 ただし、通常のプロボノは、支援対象をNPOに限定したり、まだまだ使い勝手がよくありません。社会起業側とプロボノ支援者側の両方の満足度を高める方法はまだたくさんあると思います。今回のプロボノ体験を踏まえて、今後、世の中に新しいプロボノ体系を提示したいと思います。プロボノが、日本の文化に根ざした、社会起業の不可欠なインフラになる可能性は十分にあると思います。

 日本に寄付の文化を立ち上げるよりもプロボノの文化を立ち上げる方がよっぽど現実的というが私の率直な感想です。

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