2011年1月5日水曜日

新しい取引モードのソーシャルデザイン

 大学院時代にかなり研究したのが、2人ともノーベル賞をとったが、ロナルド・コースやオリバー・ウィリアムソンの取引費用論である。「なぜ、企業という組織が生まれたのか? なぜ市場取引ではダメなのか?」という根本的な問題をうまく説明しているように思えた。「それは市場取引にはコストが生じるから」というコロンブスの卵的な考え方である。一見単純だが、いろいろな取引モードがなぜ生じているのかを考えるのは非常に応用範囲が広い考え方である。

 今、自分が興味をもっているのは、市場取引以外の取引モードをいかにデザインするのか社会にとって最適になるかという問題である。
 市場取引であれば、AとBの間で商品サービスの提供と、その対価としてのお金というやりとりが生じている取引形態である。
 これが寄付の場合は、AとBの間では商品サービスやお金を一方的に提供し、その代金のお金のやりとりは生じていない。プロボノもそうである。また、そのAとBの間のやりとりを第三者がみえない場合と、第三者がみえる場合でも条件、インセンティブが異なる。

うまくこの取引モードをデザインできた場合のソーシャルインパクトははかり知れないくらい大きいと思う。一つのカギはソーシャル性をどう組み込むかである。

2011年1月4日火曜日

新年の抱負を書きながら考えてみます(笑)

あけましておめでとうございます。

 今年の抱負を考えてみたいと思います。まだ考えていないのかとお叱りを受けるかもしれませんが、書きながら考えてみたいと思います。

ビジョンは、「ボランタリー経済とマネタリー経済の連結器となり、世の中を変革するパワーとなるソーシャルデザインを世の中に提供する」でどうでしょう? お客さんよりも、世の中に対して提供するという点にこだわってみたいと思います。会社名が(株)ソーシャルインパクト・リサーチですから。

 昨年、社会人になってから慣れ親しんだベンチャーキャピタル業界から足を洗いました。当初はVCの抱える問題点を解決すべく、セカンダリーファンドビジネスをやろうと考えていました。IPO市場が低調なためどのVCも不良資産を大量に抱え込んでいるので、その流動化はビジネスチャンスがあると思っています。

 しかしながら、世の中のソーシャル化の勢いに流されて、結果として、当初やろうと思ったこととやっていることが全く乖離するという事態になっています(笑)。おそらく今年もこの傾向は続くのではないかと思っています。したがって、明確な目標設定するよりも、もう少しこの流れに身を任せて流されたいと思っています。当初のセカンダリービジネスもソーシャル化という観点から新しい解決方法を考えてみたいと思います。

 また、今年は、昨年以上に、ソーシャル化がいろいろな業界、分野に影響を及ぼすとともに、その破壊力が増して行くのだと思います。任天堂が当初ソーシャルゲームの影響を甘くみて結果として壊滅的な事態に陥っています。広い意味では、人と人との関係で成り立つビジネスのほとんどがソーシャル化の影響を受けますから。

 その中でほぼ確実な方向もまた見えてきた部分もあります。
一つは、匿名から実名の流れです。信用の基盤としてやはり実名性のメリットは大きいです。これから、maneoさんとワールドカフェをやった時に非常に感じました。お金を出す側からの信頼度が匿名と実名では全く異なります。この辺りのソーシャルデザインを考えないとプラットフォームとしてうまく機能させるのは難しくなります。

 また、信用の基盤が企業から個人に移りつつあると思います。パーソナルブランディングということが良く言われますが、それ以上に信用の基盤が変化してきていると思います。パーソナルブランディングの本当の意味は、個人が信用の単位として正式に認められたということなんです。想定的に、会社という枠組みが使いづらくなっているかもしれません。こういう観点から、これまでのベンチャーキャピタルの枠組みでの投資がうまく機能する前提が失われつつあると思います。ここで、やはり、新しく信用を流す仕組みが求められていると思います。そのようなソーシャルデザインにもトライできればいいなと思います。