2011年4月15日金曜日

SMM(ソーシャルメディアマーケティング)における米国マーケッターの悩み⑤

SMM(ソーシャルメディアマーケティング)における米国マーケッターの5番目の悩みは「個々のソーシャルメディアプラットフォームの戦術」です。

簡訳(米国マーケッターの悩み)
・それぞれのソーシャルメディアプラットフォームの使い方をどうやってマスターするか?
・マーケッターは、Facebook、Twitter、LinkedIn、YouTube、ブログなどの主要なソーシャルメディアプラットフォームに関して使い方を理解して、どのようにして自分の経験を生かし最適化できるのか?
・ソーシャルネットワークのインタラクションをもっと生み出すTwitterのつぶやき方をないか?
・LinkedInは個人的には役に立つのは理解できるが会社にどうしたら役に立つのか?
・Facebookファンページの新規ファン獲得し、そのファンをクライアントに転換するにはどのようなテクニックを使うべきか?
・Youtubeでバイラルを生み出すための適切な素材は何を使えばいいのか?


私のコメント

・会社として、大きな戦略を考える前に、まずはそれぞぞれの主要なプラットフォーム(ツール)に担当者が慣れて、有効な戦術面(Tactics)をマスターしたいという欲求が強いようです。
・ソーシャルメディアを活用して売上をあげたい、エンゲージしたいという段階の前段階にあたります。
・様々なプラットフォームがあり時間的/リソース面の制約もあるので全てをやることはできません。ですから、その自分たちが選んだプラットフォームが自分たちの目的にあっているのか?自分たちのターゲットオーディエンスはいるのか?という確認は必要になります。
・また、上記のマーケッターの疑問は企業サイドからの話ですから、逆になぜファンになるのか?というファンからの目線が重要になります(この部分が語られなさすぎでは?) 自分たちはどのような価値をファンに提供できるのか? どのような体験、経験を与えることはできるのか?
・そして、上記のファンへの価値を実現するために、どのようなデザイン戦略、コンテンツ戦略、エンゲージメント戦略をとるべきなのか? そしてリスースは?

皆さんはどう思われますか? ご意見、コメントはFacebookページ(ソーシャルメディアIn-Depth Report)まで是非、是非お願いします。

2011年4月14日木曜日

ソーシャルメディアのビジネスモデルの活かし方:4つのポイント

企業経営にソーシャルメディアをどう活用していくのか? また、ソーシャル的な発想をどうビジネスモデルに取り入れていくかが、ますます多くの企業に求められるようになってきている。

ビジネスモデルにソーシャルを組み込むことによって企業価値をどれくらい高められるのか? 逆にソーシャルに乗り遅れることでどのくらいのリスクが生じるのか?

ぐるなびと食べログ(価格コム)をこの1年間の株価チャートを比較してみるとこれが如実にわかる。

ぐるなびの1年間の株価チャート


価格コム(食べログ)の1年間の株価チャート



両社とも、結局のところは収益は加盟飲食店からの月額フィーだ。しかしながら、両者の企業価値(時価総額)の動きはこの1年で大きく異なっている。

直接のお客さん(お金をもらう先)はB2B企業、しかし、その先をみると利用者という生活者・消費者がいる。この利用者の口コミのソーシャルなパワーを味方につけたのが食べログ、ソーシャルな力を味方にできなかったのがぐるなびだ。圧倒的な差は今はその差は縮まりつつある。


ビジネスモデルにソーシャルを取り入れるポイント


①顧客(広い意味で)価値の動きをみる
上記ケースでは価値は2つから生じる、加盟飲食店に対する価値、利用ユーザーに対する価値である。B2Bビジネスでもその先の利用ユーザーでソーシャルなパワーを利用できるケースが多い。

②購買決定プロセス全体を敷衍し、どこにソーシャルインパクトを与えると、顧客価値に大きなインパクトを与えられるかを分析

③生活者・消費者・顧客の情報フロー、インセンティブの設計
 現代はマネタリー経済とボランタリー経済が融合しつつある。このボランタリーの力をどう味方につけられるかが、ソーシャルパワーの活用のポイントになる。金銭の力ではこのボランタリーのパワーを動かすことはできない。

④ソーシャルのビジネスモデルの作り方の2つの原則に従う
ソーシャル化によって顧客価値を高める→②高めた顧客価値から最適なプライシングにより、できるだけ多くの富の分配を得る

ご意見、コメントはFacebookページ(ソーシャルメディアIn-Depth Report)まで是非、是非お願いします。

SMM(ソーシャルメディアマーケティング)における米国マーケッターの悩み④

米国マーケッターのSMMにおける4番目の悩みはエンゲージメントです。

SMMにおけるカスタマーエンゲージメントをどうしたら改善できるのか?
多くのマーケッターはSMMでクライアントや見込み客にどうつながるかまだ確信がないようです。

簡訳(米国マーケッターの悩み)

・SMMで熱狂的なファンベースをどのように構築できるのか?
・SMMでフォロワーをオンラインで積極的にエンゲージしてもらうにはどうしたらいいのか?
・カスタマーに興味をもってもらい続け、友達にも紹介してもらうためのベストな方法は何か?

私のコメント
・SMMでエンゲージメントが重要という一言ではとても語れませんね、実際にやってみると。ケースバイケース、いろいろな条件に左右されますから。
・エンゲージメントとは一体何なのか? どうすれば、企業は、消費者・生活者・顧客とのエンゲージメントを深めることができるのか?はSMMの重要なテーマになります。この問題にマーケティング領域の知識だけで正解に到達するのは正直難しい。
・ここが、まさに、一方向型の宣伝型モデルと双方向の対話型モデルの違いが際立って出るところになります。単に自分たちの伝えたいメッセージを一方的に流せばいいというのではなく、1人1人のコンテクストを踏えてパーソナライズされた対話が求められます。企業のマインドセットを変えることも含めて。経験と方法論確立が必要でしょう。

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2011年4月13日水曜日

そろそろ、ソーシャルメディアの定義を正すべき時がきた!?



国内において、ソーシャルメディアの定義があまりに混乱している。

mixiが(おそらく意図的に)ソーシャルメディアの定義を誤り、(株)ライバルメディアハウスがその誤った定義に追従したことから、さらなる混乱を生んでいると思う。

トライバルメディアの池田社長の考え方をみてみよう。
通常は、まず概念の定義→その満たすべき条件を挙げる→具体的な適用という順番になる。

池田社長の論拠

定義の根拠
mixiの原田副社長は、Gプレスのインタビュー「mixiにしかないもの。」の中で、CGMは「みんなが閲覧できる公開された場」であり「知らない人たち同士の意見の集約の場」、ソーシャルメディアは「内輪でしか閲覧できない公開されてない場」であり「実際の友人や知り合いとの雑談の場」と語る。

条件
「ソーシャルグラフの形成や反映がサポートされているか否か」が、ソーシャルメディアの一番重要な要素。もう一つの条件はアイデンティティを保持したまま、情報を発信できる(情報が可視化される)

具体的な適用
ブログ、2チャンネルは狭義ソーシャルメディアではないという論理展開をする。

果たしてこれが正しいか?

私の考え
もともとのソーシャルメディアの定義がmixiがモバゲー、グリーとの違いを強調するために、mixiの独自性を打ち出すための定義であって、この定義がまずコモンセンスとはほど遠いのだ。

その定義をもとに、ソーシャルメディアの条件を出しても、これはまたコモンセンスとはほど遠い。

その結果、具体的に、ブログも、Q&Aサイト、2チャンネルはソーシャルメディアの定義からは外れてしまう。

Wikipediaの定義をみてみよう
What is Social Media?
“Social media is an umbrella term that defines the various activities that integrate technology, social interaction, and the construction of words and pictures.”

HubspotのMike Volpeの定義
“It’s media (content that is published) with a social (anyone can add to it) component.”

コモンセンスとなっているソーシャルメディアの定義では、ソーシャルインタラクションを有む仕組みをサポートするかどうかが一番のポイントだ。これにより、多対多のコミュニケーション形態、および発信者と受信者の両面性を有する点(双方向性)という条件が導かれる。

実際には、モバゲー、グリーともに、mixiに負けずにソーシャルインタラクションは活発に行われているのだ。

また、定義の有効性でも、上記の定義の方が有用度が高いだろう。

SMM(ソーシャルメディアマーケティング)における米国マーケッターの悩み③

SMM(ソーシャルメディアマーケティング)において米国マーケッターの3番目の悩みは、短刀直入に「SMMで売るためのベストな方法は何か?です。

多くのマッケターは、Facebookファン、フォロワーをいかにお金を払ってくれるカスターマーにするか、その方法を知りたがっています。


簡訳(米国マーケッターの悩み)

・コミュニティの暗黙のルールを破らずに、ソーシャルであることから、いかにして売上などの成果につなげていくべきか?
・本当にSMMでお金を生むことができるのか? それとも単に認知を高めロイヤリテイを高めるだけと割り切るべきなのか?
・もっと売上をあげるメッセージをどうしたら書くことができるのか?
・SMMで生んだリード(見込み客)をお金を生むカスターマに転換する確立された方法はないのか?


私のコメント

・これが三番目にくるあたり、まだSMMで売上などの経営成果を生んでいない会社も多いようです。ソーシャルであること、コミュニティを維持・育成するなどの、ある意味で企業からみると利他的な部分と、販売などの利己的な部分をどう統合するかについては悩みが多いようです。企業経営のロジックとは異なったところがありますからね。

・参考になる考え方として、Jeremiah OwyangがFacebookページマーケティングの8段階のマイルストーンを提案しています。

8段階の成功基準
①コミュニティの期待を定義する(Set Community Expectations)
② 一貫したブランディングを提供する(Proviode Cohesive Branding)
③日々更新する(Be Up To Date)④人間味を出す(Live Authenticity)⑤会話に参加する(Participate in Dailog)
⑥ ファン同士のインタラクションを活性化する(Enable Peer-To-Peer Interactions)
⑦クチコミを育てる(Foster Advocacy)⑧販売につながるアクション作り(Solicit A Call To Action)

ポイントは、①数を集めるだけでなく本当のコミュニティになっているのかどうか? ②コミュニティはどの段階、ステージにあるのか? ③当初の期待の設定と最終の販売につながるアクション作りの結び方には無理がないか、ではないかと思います。

遅かれ早かれ、日本企業もこの問題に直面すると思いますが(笑)、みなさんは、どう思われるでしょうか?

ご意見、コメントはFacebookページ(ソーシャルメディアIn-Depth Report)まで是非、是非お願いします。

2011年4月12日火曜日

米国企業のソーシャルメディア業務のアウトシーシング動向は?

米国企業のアンケート(Social MediaExaminer)をみると、ソーシャルメディア業務のアウトシーシングは2010年14%から、2011年には28%に上昇している。現状では大部分の企業はアウトソーシングしていないが、大企業ほどアウトソーシングする比率が高いのも特徴だ。

アウトソーシングの分野
Design/development(デザイン/開発分野) 17%
Content creation(コンテンツ作り)10%
Analytics(分析)10%
Monitoring(モニタリング)7%
Strategy(戦略)6%
Community management(コミュニティマネジメント)4%
Live tweeting of events.(ライブイベント関係)3%

現在は専門度が高い分野で、社内に人材コンピタンスがない部分をアウトソーシングという形で、ベンダーにサポートしてもらっているというのが現状のようですね。

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企業のソーシャルメディア業務のアウトシーシング動向は?

米国アンケート(Social MediaExaminer)をみると、ソーシャルメディア業務のアウトシーシングは2010年14%から、2011年には28%に上昇している。現状では大部分の企業はアウトソーシングしていないが、大企業ほどアウトソーシングする比率が高いのも特徴だ。

アウトソーシングの分野
Design/development(デザイン/開発分野) 17%
Content creation(コンテンツ作り)10%
Analytics(分析)10%
Monitoring(モニタリング)7%
Strategy(戦略)6%
Community management(コミュニティマネジメント)4%
Live tweeting of events.(ライブイベント関係)3%

現在は専門度が高い分野で、社内に人材コンピタンスがない部分をアウトソーシングという形で、ベンダーにサポートしてもらっているというのが現状のようですね。

SMM(ソーシャルメディアマーケティング)における米国マーケッターの悩みどころ②

SMM(ソーシャルメディアマーケティング)における米国マーケッターの悩みどころシリーズを続けてみたいと思います。米国は日本よりも約2年進んでいますが、それだけに今後の日本企業にとって参考になる視点や必要な考え方が含まれていると思うからです。

米国マーケッターのSMMの悩みどころの2番目は「SMMを企業の全体戦略にどう統合していか」です。

簡約(米国マーケッターの悩み)
・いかにソーシャルメディアに関わる活動をマーケティング全体プランの中にベストな形でと統合していくことができるか?
・どのようにしてソーシャルメディアのすべての側面を結びつけてマネージメントしていけるのか?
・全体マーケティングプランにソーシャルメディアをいかにうまく統合していくことができるのか?
・すべてのSMアカウントをマネージしていくためのベストなツールは何か?
・SMM戦略を発展させるためのベストな公式は何か? いかに成功するように従業員をエンパワーできるのか?
・SMMを自社の事業プランと戦略に統合するためのコスト効果が高い方法は何か?

私のコメント
・SMMの重要性が高まるにつれて、企業の全体戦略の中にSMMをどう位置づけるかがますます重要になっています。
・SMMでは企業は一方的な発信型から対話型に変わる必要があり、その過程で。企業と消費者、顧客を隔てていた壁や障害が低くなることで、企業のあり方も根本的に変わる必要が出てきます。対話で得た有意義な見解や洞察をどう組織にフィードバックして活かしていくか?
・当然そこには、マーケティングのみならず、広報PR、CS、技術サポート、製品開発、販売などの部門が関わる問題になります。
・組織内のどの部署で管理するのか? いろいろな部署をまたがる問題も多いため、組織戦略上もどこが誰がイニシアティブをとっていくべきなのか?を決めていく必要が出てきます。
・ソーシャルメディアと組織をどう統合していくか?この過程で企業文化との衝突がおこるケースもあるようです。

今後の日本企業に参考になる点は、SMMはマーケティングのみならず、最終的には企業全体の戦略、組織構造に影響を与えるということです。逆に、そうしないとソーシャルメディアのポテンシャルを十分に活かすことは難しいでしょう。この点を踏まえて、今後のSMMのマイルストーンを定める必要性があるでしょう。

2011年4月11日月曜日

ソーシャルメディアマーケティング(SMM)における米国マーケッターの一番の悩みどころはどこか?




 Social Media Examinerが 「2011年のソーシャルメディア業界レポート」を発表した。米国3300人のマーケッターがソーシャルメディアマーケティング(SMM)において、どのような点で悩んでいるのか、どのような問題に取り組んでいるのかがオープンエンド形式のアンケートで示されており、非常に参考になる。既に3年間実施されており、時系列の変化も興味深い点が多い。

米国マーケッターの現在の一番の悩みは・・・・じゃじゃーーーん。
「SMMの効果測定、ROIをどう測定するか」です。実はこれは昨年と同じ結果になりました。この部分ではまだまだ模索が続いています。

以下、簡訳
・いかにして、ビジネスにおけるSMMの効果を計ることができるか?
・いかにSMM活動のROI効果をモニターし、測定し、トラッキングしていくか?
・費やす時間とリソースという観点からSMMの明確なROIを示すことができるか?
・エンゲージメント、売上、ブランドロイヤリティという観点からROIを計るためのキーとなる評価指標は何なのか?
・どのようなソーシャルメディア測定ツールが、多数のSMのプラットフォームをまたがる場合やビジネスがまたがる場合に有効なのか?
・FBの友達やファンの価値は私のビジネスの場合一体どれくらいなのか?

コメント、意見
・日本ではまだSMMの初期段階にありまだ成果が問われる段階にないということと、SMM の投資金額自体がまだ小さいことからROIという発想はまだ薄いですが、今後1〜2年したら問われるようになっていくでしょう。
・ちなみに、2009年は「SMMにおいてどういうやり方がベストプラクティスなのか?SMMで戦術ではどのようなやり方が有効なのか」がトップでした。まだ、日本はSMMにおいては米国の2009年段階にあるようです。

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2011年4月10日日曜日

ソーシャルメディアの2つのレバレッジポイントを活かせ!?



米国の著名ソーシャルメディアストラジストBrian Solis氏は「Engage or Die」をキャッチフレーズにソーシャルメディア業界の啓蒙を行なっている。

私は、「Maximize the power of Engagement Data or Die」を提唱していきたい。ソーシャルメディアのポテンシャルを活かす上で、エンゲージメントデータの戦略的な活用が不可欠だからだ。
 
この事実を簡単な思考実験で確認してみたい。
 
ソーシャルメディアでキャンペーン2000万円を費やすとする。
 
例1
例1では、エンゲージメントデータを企業は入手していないと想定する。ただし、顧客エンゲージメントの違いによって5等分に分割にし、各セグメント400万円の投資を行なうと想定する。それぞれ、リーチできる顧客数は20人と変わらないが、顧客になる確率はそれぞれ、5%、10%、20%、30%、80%と想定する。この結果、顧客数は29名、顧客価値を5万円とすると、ROIは7%となる。
 
例2
次に、例2では、企業はエンゲージメントデータを入手できたと想定する。この場合、顧客になる確率が30%、80%と高いセグメントにだけ広告を出したとすると、同じ2000万円の広告金額を投下しても顧客数は70名に増えてROIは18%に上昇する。
 
実に、ROIが7%から18%に飛躍的に高めることが可能になる。
 
この違いの意味がお分かりだろうか? ここには、2つのレバレッジポイントが存在する。

1つは、実際の購買行動と相関が強いエンゲージメントデータを入手するレバレッジポイントである。このエンゲージメントデータが正確であればあるほど全体レバレッジが高まり、ROIを高めることが可能となる。

2つ目は、そのエンゲージメントデータにマッチするターゲットに広告をリーチできるかどうかというレバレッジポイントである。
  
この2つのレバレッジポイントがあわさり、最大限に活かすことによって、ソーシャルメディアで高いROIが実現できるのだ。
 
実際に、この2つのレバレッジを活かし高いROIを実現しているのが、モバゲーとグルーポンである。その秘密は、顧客がどの程度、自社の製品サービスに価値を感じているかを表明させる仕組みがあるからである。

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トリプルメデイア再考 メディアをプロセスで捉えるべし!?




トリプルメディア理論は、メディアを3つ(①ペイドメディア(Paid Media)、②オウンドメディア(Owned Media)、③アーンドメディア(Earned Media)に分類する。この分類の基準はコミュニケーション主体、もしくは企業がお金を支払う必要があるかどうかである。

このトリプルメディア分類が時代にそぐわなくなってきたという認識が広がり、様々な修正の試み(マッキンゼー、高広氏)がなされている。

しかしながら、そもそも時代にそぐわなってきたものに、新たな分類を付け加えても、その有用性が高まるわけではない。むしろ理解の混乱を招くだけだろう。

そこで、私は、メディアの評価軸として、消費者・生活者の満足度と関連が深い2軸(リアルタイム VS 非リアルタイム)、(一方向型 VS 双方型)でメディアポートフォリオを分類することを提唱した。

また一方、現代という時代を考えると、メディアをその特性だけで固定的にとらえるべきではないとも考えられる。例えば、テレビで人気となったコンテンツが、ソーシャルメディアで拡散するといったケースが往々にみられる。

メディアを固定的なものではなく、一連のプロセスとして考える必要があるのだ。

私は「情報のソーシャライズ」というプロセスで捉えるのが有用と考えている。情報は、多くの人の評価、批判、コメント(ソーシャライズ化)によって、その情報の信頼性、価値が多くの人によって認められるという考え方である。

マス広告の効果が低下した根本的な原因は、消費者からの信頼性の低下、およびその信頼性を補完・代替する新しいメディア(ソーシャルメディア)が生まれたということがある。


リアルタイム・マーケティングパラダイム

 以上まとめると、企業としては、メディアポートフォリオの管理に加えて、情報のソーシャライズ化というメディアプロセスによって消費者からの情報の信頼性をどう高めていくか? という観点から、自社のメディア戦略を位置づける必要があるだろう。

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