2011年3月19日土曜日

ソーシャルメディアの定義って一体誰が決めるの?

米国では、ブログやTwitter上でソーシャルメディアの正しい理解とは何なのかという議論がソーシャルメディア界の著名人の間で侃々諤々行われています。Brian Solisも、「Defining Social Media」でソーシャルメディアの定義についてブログ記事を書いています。

ソーシャルメディアの定義
<バージョン1>
social media describes the online tools that people use to share content, profiles, opinions, insights, experiences, perspectives and media itself, thus facilitating conversations and interaction online between groups of people. These tools include blogs, message boards, podcasts, micro blogs, lifestreams, bookmarks, networks, communities, wikis, and vlogs.

<バージョン2>
Social Media is the democratization of content and the understanding of the role people play in the process of not only reading and disseminating information, but also how they share and create content for others to participate. It is the shift from a broadcast mechanism to a many-to-many model, rooted in a conversational format between authors and people.

・・・分からないでもないですが長過ぎますね。私のソーシャルメディアの定義はもっとダイレクトに、「人と人を媒介とするメディア」or「ヒューマンメディア」

これで十分でしょう。

対して、従来のマスメディアは「枠を媒介とするメディア」となるでしょう。

ソーシャルメディアは、人と人とを媒介にしますから、コンテクスト作りが重要となります。また、人を媒介にして、感情なり共感で広がっていく自己創発的な側面を持っていますので、そこをどう引き出せるかも重要でしょう。

2011年3月18日金曜日

ソーシャルマーケティングが既存マーケティングを飲み込む兆し!? 未来の企業マーケッターは社会起業家の資質が必要

震災後、広告業界で変わったことの一つに、AC公共広告機構CMが大量に流され、企業広告がめっきり落ち込んでいることが挙げられる。内容は社会をより良くするための生活者、消費者の啓蒙広告が主になっている。

また、震災後、被災者の方々に何かできないかというイニシアティブがいろいろなところで立ち上がっている

変化の兆し
・企業広告からソーシャルマーケティング広告への流れ
・利益重視のビジネスからソーシャルビジネス化の流れ

この2つの流れは一直線にはいかないだろうが、消費者の心理も含めて、確実に変化しつつあることも確かだ。

予言1
企業広告はより良い社会への変革を目指す、ソーシャルマーケティング要素をますます取り入れていくだろう。企業広告は単に自社の製品を売るだけではなく、社会にどう役に立っているのかを示すことが必要になっていくだろう

予言2
そのソーシャルマーケティングではソーシャルメディアが最良のツールとなるだろう

予言3
企業は製品を売りこむ前に、社会にどう関わって行くのか、ミッション、ビジョン、企業姿勢を打ち出して行くことがますます必要になっていくだろう。自社のミッションに共感してもらうファン作りが、企業にとって最大効果を生むマーケティングとなるだろう


予言4
企業が、その製品が社会にどのように役立っているかを示す証拠を示す指標、メリリックス開発が求められるだろう。企業の利益の追求と社会への課題解決、貢献を両立させる指標が求められていくだろう。

未来のマーケッターは、社会の課題の解決と自分たちのビジネスをどう両立できるかを考える社会起業家の資質がより求められるようになるだろう。

2011年3月17日木曜日

危機管理広報の評価軸:枝野官房長官を危機管理広報としての評価すること自体の誤り

枝野官房長官を危機管理広報としての対応を評価する声があがっている

the Public Returns - 続・広報の視点
枝野官房長官から学べる10のこと:危機管理広報の視点から

 しかしながら、まずはどういう観点から評価すべきなのか、評価軸を考えなくてはいけない。→この教訓が企業の危機管理において最も役立つ教訓になると思う。企業が危機に陥った場合に、自分はどういう観点から評価されるべきなのか?をまず問うこと。

政治家として本来の役割は何か? 国民の生活、生命を守る、生命に危険が及ぶ事態を未然に防ぐことが政治家の役割である。

誰のエージェントなのか?
明らかに国民をプリンシパル、政治家はエージェントとする、プリンシパルーエージェント関係にある。

東電という利害関係者がいる。
今回の枝野氏の最大の誤りは、東電とういう1利害関係者を全面的に聞き入れ、第三者の意見を取り入れなかったため、あたかも、東電のエージェント、スポークスマンとして機能したことである。

この事態は、本来のプリンシパルである国民の利害を著しく損なう結果となってしまった点が非常に残念な点だ。

この結果、
・退避距離の度重なる変更
・管首相の総合対策本部の設置
・外部アドヴァイザー(東大教授)の採用
という形で、誤りが認識され、修正されることになった。この間に、国民は貴重な時間、そして対応オプションを失った。

パニックを防ぐという機能を果たしたではないかという意見もある。しかしこれは、国民の生命、および生命危機を未然に防ぐという本来の目的を優先させるべきであり、二次的な目標と位置づけられるものである。

企業が危機に陥った場合に、自分はどういう観点から評価されるべきなのか? 本来のプリンシパルは誰なのか? 他の利害関係者との利害をどう調整すべきなのかを考えることが非常に重要であり、今回の教訓とすべき点である。

マス広告/ソーシャルメディア広告をどう配分すべきか? 5つの命題

マス広告/ソーシャルメディア広告をどう配分すべきか? エンゲージメントROI理論から4つの命題を導く

この問題はQuoraをみても誰も正解を出していない難問。不完全ながらトライしてみたい。

現在、様々な企業がソーシャルメディアに興味をもち、実験的な取り組みがなされているが、多くの企業は、「既存マス広告とソーシャルメディアをどう配分していくか」に関して解答をもっていない。非常に悩ましい問題となっている。

 この問題を解く上の前提として、ソーシャルメディア広告を通常の広告のように費用と考えていると、正解を得るのは難しいと思う。ソーシャルメディア広告は投資として扱うべきだからだ。ROIを最大化するという観点でしかこの問題は正解が得られない。

以上を踏まえた上で、5つの命題を提示してみたい。

命題1
ユーザーとのエンゲージメント、関係性を深めことができる企業、業種ほど、ソーシャルメディア広告のウェートを高めるべきである

命題2
顧客生涯価値が高いほど、ソーシャルメディア広告ウェートを高めるべきである

命題3
口コミ効果が期待できるほど、ソーシャルメディア広告ウェートを高めるべきである

命題4
ライトユーザーからヘビーユーザーまでのエンゲージメントデータ(ladder of engagement deta)を取得、判別できる手法をもつ企業ほど、ソーシャルメディア広告のウェートを高めるべきである

命題5
ユーザー価値(willing to pay)とプライシングを一致できるほど、ソーシャルメディア広告のウェートを高めるべきである


この5つの命題で、必要性と十分性を満たしていると思いますが、いかがでしょうか? 逆に言うと、以上の4つのポイントを満たすことがソーシャルメディアをうまく活かせる企業の条件となる!

ソーシャルメディアに流されすぎると・・・バカになる!?

個人でもソーシャルメディアに関わる時間がどんどん増えている。それとともに、このソーシャルメディアをどう賢く使っていくがますます重要になっている。

今週のNewsweek記事では「思考力の低下はツイッターのせい?」という刺激的な記事が載っている。賢い意思決定のためには情報を集めることは必要だが、脳のメカニズムからしても、あまりに情報を集めすぎると、賢い意思決定ができなくなると指摘している。また、創造的な意思決定には無意識の力が必要で、ある程度情報を発酵させる時間も必要だ。

確かに、自分の実感でもTweetの多い人間には2種類いる。ただ情報を右から左に流しているだけの人間と、そこに自分なりのPerspectiveが付け加えられている人間だ。

我々の日常にどんどん、ツイッター、Facebook、Gmail、Skype、YouTubeが入り込み、何か作業をしていても作業を中断することが多くなっている。

このような状態に対応するには、
・自分のゴールを明確にする
・ソーシャルメディアを使う時間、目的を決める
・潜在意識をもっと意図的に活用する
・一定の時間が必要な作業中にはソーシャルメディアに邪魔されない体制を作る
などの工夫が必要だろう。

2011年3月16日水曜日

ソーシャルメディアマーケティングの成功の秘密はエンゲージメントデータの活かし方

セスゴーディンのthe domino projectという新しい出版を作るアプローチでpoking the boxという本を販売した。アマゾンでタイトル、著者名なしで売るという点も面白いが、私が興味深かったのは先行販売では本を1ドルと格安で販売した点である。

従来の情報財の販売は鮮度が高い段階で値段を高く、鮮度が落ちるにつれてユーザー価値の低下とともに価格を下げて行くパターンが一般的。

これに対して、先行販売を買いたいと思う、価値を評価する人たちにまず安く販売するという逆のアプローチをとっている点が興味深い。

マーケティングのプロ、セスゴーディンならではの周到な計算があってのこと。先行販売を購入する本当のファンが知り合いに10人、100人と口コミしてくれれば採算はあうはずだ。

これはエンゲージメントの違いを利用したマーケティングのである。ソーシャルメディアマーケティングはエンゲージメントデータを活用してそれをマーケティングにどう活かせるかが成功のポイントなのである。また、そのエンゲージメントの違いをどうユーザーに表明させ、プライシングに反映させるかがもう一つのポイントなのだ。

2011年3月15日火曜日

ソーシャルメディア時代の最高のアドヴァイス:Be youself(自分自身たれ)

ソーシャルメディア時代の最高のアドヴァイス:Be youself(自分自身たれ)

ソーシャルメディア時代でBe yourself(自分自身たれ) は最高のアドヴァイスの1つだ。その理由は?

理由1
ソーシャルメディアは増幅器、拡声器であって、もと(本質)あっての増幅器。まずは自分自身の本質を磨くべし。

理由2
ソーシャルメディアのスーパー透明性の時代には、自分自身を偽ってもウソがすぐにばれる。したがって、自分自身の本質で勝負するしかない。

理由3
自分自身の本質をオープンに示すことで、いろいろな人が気づいて見つけてくれる。引き寄せの法則が働く。

理由4
コーピーにはオリジナルほどの魅力がない。自分自身の本質、オリジナリティこそがキングとなる。人がつながる理由、つながりたい理由はオリジナルな部分があるからこそだ。企業で言えばそれはカルチャーだ。

経済理論で、企業とは「契約の束」と捉える理論がある。私は、ソーシャルメディア時代には企業とはコンテクストの束(ハブ)と捉える。このハブたることでつながっているメンバーにバリューを提供できるのだ。

ソーシャルメディア時代の危機管理(東京電力のケース)

 今回の東京電力の福島原発の対応をみて深く考えされられた。ソーシャルメディア時代に企業は危機にどう対応していくべきか?

教訓1
自分の会社がソーシャルメディアをやろうがやるまいが、国民はソーシャルメディアでこの福島原発の危機を活発に話し続けている。→このことをまず認識すべし

教訓2
会社がソーシャルメディアをどう使うという発想よりも、ソーシャルメディアに自分の会社をあわせるという大胆な発想転換が必要となっている→リアルタイムクライシスマネジメントの必要性

教訓3
オープンさと誠実性をベースに、お客さん(国民)の聞きたいことを深く傾聴し、対話をしていく姿が基本だ→企業の素の部分、向き合う姿勢そのものが最も重要(doよりbe)

教訓4
ソーシャルメディアを使いこなせない会社の特徴(自分の会社はどうか?という視点でみてほしい、反面教師は東京電力)

•階層型組織で上意下達。現場とスタッフのコミュニケーションが悪い
•メッセージが一方通行で双方的な対話になっていない
•整合性(つじつま)を期そうし、迅速なコミュニケーションができない
•組織の論理/しがらみから、お客さんからウソをついている、何か隠していると思われてしまう
•リアルタイム対応ができていない
•自分たちの取り巻くステークホルダー、その利害関係を正確に把握していない
•お客さんのニーズ、聞きたいことのプライオリテイがわかっていない
•専門用語を多く使い、お客さんに専門的であることを偉いという誤った考えを持っている
•国民のニーズよりも組織論理を優先する!

2011年3月14日月曜日

デジタル・ハイコンテクスト社会の到来

デジタル・ハイコンテクスト社会の到来:デジタル・フリーエージェントの台頭とその果たす新機能についての考察

•コミュニケーション理論で、コンテントは内容/中身を意味し、コンテクストは文脈/状況を意味する。ここ数年、Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアが普及し、デジタル上でコンテクスト共有が容易に、かつ急速に行われるようになってきた。

•このような中で、「デジタル・フリーエージェント」が新しいクリエイティブクラスとして台頭しつつある。

•彼らは、ノード(様々な個人、企業)とデジタルネットワーク上で結ばれ、自らはそのハブ機能となることで、ノード全体に経済的な価値をもたらす。

•例えば、ノードに属する会社が何か新しいことをやろうと相談すると、ノード上の別の会社を紹介したり、ノード同士の動きから新しい事業ヒントを得て、それを別の会社に売り込んだりする。

•彼らの関心は、報酬、安定よりも、自らの信念にあった形で自由に働くこと。選択権の多さ、自由度が彼らの最大の報酬なのである。

・このような動きは、別の観点からは、戦後一貫して職場コミュニティが形成され、バブル崩壊とともに、職場コミュニティは分断、崩壊したが、新しい形のコミュニティとその形成過程とみることもできる。

2011年3月13日日曜日

新デジタル文化論:今起こっている重大な変化

日本社会は急速に《デジタル・ハイコンテクスト社会》に変貌しつつある

デジタル・ハイコンテクスト社会

コミュニティ:戦後の日本は職場コミュニティの形成が進んだ。1993 年ごろから、バブルの崩壊、少子高齢化の進行、団塊世代の退職、職場リストラなど、職場Community分裂、崩壊が進んだ。ここ数年で新たなデジタルのつながり(デジタルコミュニティ)が生まれつつある

経済主体:プロジェクト(デジタル・フリーエージェントの集合体)が経済主体。ここ数年、スマートフォン普及、ソーシャルメディアが普及し、新たな結びつきが生まれつつある。このデジタルで結びつけたコンテクスト蓄積が進みつつあり、日本は若者層を中心に急速にデジタル・ハイコンテクスト社会へ転換しつつある

報酬:デジタル・ハイコンテクスト社会の価値基準はお金をいくら持っているか、稼いでいるかではなく、生き方の選択できる自由度を獲得できるというものです

経済手段:質の高い多様なノード(個人、企業)との結びつき(コンテクスト)が経済手段。自らがコンテクスト

価値の源泉:このデジタル・フリーエージェトは質の高い、多様なコンテクストを有しており、ノード(個人、企業)のハブ的な存在となる。自分につながっているノード(個人、企業)に、別のノードを結びつけたり、組み替えることで、組織に属さずともノード全体に価値をつくり出すことが可能となっている。

社会基盤:スマートフォン、Twitter,Facebook

mixiの生き残る唯一の道を示したい

mixiの生き残る唯一の道

前回のレポートでSNSトラフィックを活発化する上で、エッジランクがメトカーフの法則よりも強力なであることが示された。

この事実は、mixiにとっては一つの朗報である。これまで多くの論者は「mixiは匿名だからFacebookにいずれは抜かれるだろう」という誤った議論が横行しているからである。

まず前提として以下のエッジランクの3つの要素は実名でなくても実現できるものであることを確認されたい。
1.どれだけ頻繁にファンページでユーザーが交流したか?
2.交流の種類(コメントの方が高く評価される)
3.ファンページで発信したことが最近かどうか?

ではmixiは何をしたらいいのか?
一つは、現在のFacebookのエッジランクを超える、ユーザーを活発化させる、もっと強力なアルゴリズムを開発することである。

現在匿名であってもユーザーが多いというのは明らかな先行メリットがある。これを更に活発化させるアルゴリズム開発によってFacebookを撃退することは十分に可能と思われる。