ソーシャルインパクト・リサーチのお仕事
最近、どんなお仕事をしているのですか?、どんなきっかけで会社を始められたのですか?と聞かれることが多い。
もともとはベンチャーキャピタルで投資をしてきました。総額で800億円ぐらいベンチャー投資に関わってきました。自分自身は経済合理性の非常に強い人間です。しかしながら、リーマンショックを経て、資本主義は、ひいては自分がやってきたベンチャーキャピタルという仕事は人間、人類を本当に幸せにしているのか?という疑問を持つようになりました。
投資家は儲けが第一優先、企業は利益のみを考えて行動すると、環境や社会への影響(=ソーシャルインパクト)が生じています。
これまでの経済学は、
企業価値=株主に対する利益と算定してきたが、
本当の企業価値=株主に対する利益+社会や環境への影響(=ソーシャルインパクト)
と定義すべきではないかと改宗しました(笑)。
そこでベンチャーキャピタルを辞めて、ソーシャルインパクトの測定方法をいろいろと研究してみました。会社名はソーシャルインパクト・リサーチとつけました。
ソーシャルインパクトの評価測定コンサルを、企業向け、中間支援組織、NPO、行政向けに提供しているのが一つの仕事となっています。
実際、一番大きな仕事は大企業向けで、社会的価値の評価、そのソーシャルインパクトをどうすれば事業価値、企業価値全体を高めることができるかをコンサルしています。
例えば、最近はブラック企業がメディアで批判されています。利益を最優先して従業員は使い捨て。それが中長期的に持続可能かどうか? その会社の社会的価値が低いと、短期的に利益をあげても、評判が下がり、ゆくゆくは応募数も下がり、従業員の質・モチベーションも低下し、最後には利益もあげられなくなる。
では、どうすれば、社会的価値を高めるとともに、それを事業価値を高めることにつなげることができるか等が考えるべきテーマになります。この辺りは超大企業でもまだ解答をもっていないのが現状です。
他にも、環境価値をどう評価すべきか、企業の活動の環境への影響を会計システムにどう統合できるかなどアカデミック的にもチャレンジングなテーマにも取り組んでいます。
難しい言い方をすると、外部性の内部化です。これが資本主義を後100年間、持続可能にする上では必要だと考えていて、それを金融メカニズムを通じて解決する処方箋を出すのが私のミッションです。