2010年8月21日土曜日

ソシャルメディアポリシー:コダックの例

ソーシャルメディアポリシーを考える上で参考例としてよく挙げられるのは、海外ではコダックとコカコーラである。コダックはSOCIAL MEDIA TIPSという小冊子16ページにまとめられた中にソーシャルメディアポリシーが含まれている。
これを読んだ方は自分の会社でも同様のものをまとめたくなるのではないか?という代物である。

コダックで参考になるのが中身の内容もさることながら項目の構成、流れである。

最初にChief Marketing Officerからソーシャルメディアがコダックにとってなぜ重要なのかを簡潔に示す。

2番目は「The social media landscape」でソーシャルメディアのなどの普及率、利用ユーザー層などの現状を最新数値とともに示される。

3番目はソーシャルメディアにまつわる誤解を事実で否定。

4番目は「10 Social media Tips」で従業員がソーシャルメディアを利用する際に参考となる秘訣が示される。

5番目は「Tips from the industry」。広告代理店Razorfishのソーシャルメディア業界に関する知見が紹介される。この冊子には教育的目的もあるのだ。

6番目は「Getting started」でまずやってみようと従業員を励ます。

7番目は「Kodak Tactics」。コダックのソーシャルメディア戦略図が示される。ここは面白い。コダックは自社をコンテンツを創造〜流通〜エンゲージを高める〜効果を測定するという「編集者」のように捉えている。この自社をコンテンツ編集者として捉える視点は重要である。だからこそ、ソーシャルメディアの活用が重要となるわけだ。

8番目で待ちにまった(?)10項目からなる「Social media policies」が示される。これをまとめる際に、マーケティング部門、情報システム部門、リーガル部門、コーポレートコミュニケーション部門との協力によって作成されたことが示されている。ソーシャルメディアポリシーを作る際に様々な部署との連携、意思統一は重要な視点だ。

9番目は自社内の様々な取り組みの例が示されている。10番はトラブルが起こった際の対処の仕方を質問形式で答え、11番目は自社のソーシャルメディアのアドレスが示されている。

いかがでしょうか? ソーシャルメディアポリシーを単に他社を真似して作るのでは十分ではなく、きっちりとした認識をもち、位置づけ、考え方を作りあげる必要性と価値がわかるではないでしょうか?

2010年8月20日金曜日

ソーシャルメディアを活用できる会社は儲かる!

経営のパラダイムシフトが続く。企業側がユーザーニーズを分かっている(と信じられる時代)から、企業側がユーザーニーズを分かっていないと考える時代へ。確実性の時代から不確実性の時代への転換である。

当然分かっていないなら、マインドセットとして謙虚さと、そのユーザーニーズを吸い上げる仕組みが必要となる。それがソーシャルメディアの有効な使い方であり価値である。

ソーシャルメディアを有効に活用できている企業群とそうでない企業では経営指標でも既に明らかな差が生じている。有効に活用できている会社としては、SNS大手3社(グリー、mixi、DeNA)、カカクコム、クックパッド、サイバーエージェント、エムスリー、ドワンゴなどが挙げられる。

これらの企業の平均増収率は34%、営業利益率は35%に達する。これらの企業はこれから起こる未来の予兆である。これからの企業は、①ソーシャルメディアを自社の経営にどう有効に使うのか? ②その結果、どれくらいの経営成果をあげることができるのか、を両面からまず考える必要がある。

2010年8月19日木曜日

米国企業が日本のソーシャル系企業を欲しがる4つの理由

米国企業が日本のソーシャル系企業を欲しがる4つの理由

ソーシャルゲームの米Zyngaがウノウを買収したり、米グルーポンがクーパッド買収によって日本市場に参入したりと、日本のIT業界もなかなか面白くなってきた。

米国企業が日本企業の買収に動く背景にはいくつかの理由がある。

1つ目は、日本の市場が有望であること。ソーシャルゲームにおいてDeNAやグリーの数値をみたら、日本のソーシャルゲーム市場の有望性は疑うべくもない。

2つ目は、日本のプレーヤーがまだソーシャルの活用の仕方がわかっていないこと。米国企業は、彼らのソーシャルの使い方、ノウハウをそのまま日本にもってくれば成功すると考えている。いわゆるタイムマシーン経営である。

3つ目は、このタイミング。今のタイミングで参入すれば日本市場でかなりのシェアをとれるのではないかと目算できること。リスクリターンで考えて十分採算があうというソロバンである。

4つ目は、モバイルにおいては日本が進んでいる面もあり、米国企業もその面のノウハウを取得したいというものである。GPSロケーションサービスなどは米国でもまだ実験的であり、ウノウの買収にはこの点も働き、高い買収価額に結びついたものと思われる。

以上4点が、米国企業が日本企業の買収に動く理由として考えられる。

この動きはこれで打ち止めか? 以上の4点が構造要因として働くので、今後2〜3年はこの動きが進むのではないか? 特に、Facebookが日本で普及すると米国企業からみた、日本市場の有望度が高まり、日本企業の買収価値はさらに高くなっていくことも考えられる。

ソーシャルでもやっぱりビジネスモデル

今日はクライアントと商談。現在、VCがアーリーステージで投資する分野はソーシャルゲームとソーシャルコマースの分野である。ソーシャルコマースはグルーポン型サービスに代表され、毎日のように参入企業が増える激戦区。ついに、本家グルーポンも日本に買収で参入を発表(2010年8月17日)

ツイッターを使って何かしたい。それも、単に一時的なキャンペーンではなく、もっと持続的な競争優位、仕組みとしての強みにつなげたいという企業からの相談が増えてきた。

その時、問題となるのがやはりビジネスモデルである。

「食べログ」は後発ながら、先発の「ぐるなび」をあっという間に抜き去った。CGMコンテンツでユーザーの圧倒的な味方という立ち位置に勇気をもって挑んだ点が大きい。飲食業者からお金をもらっているから、クライアントの評価やレーテイングをするのはなかなか難しいと普通は考えるが・・・・。

ぐるなびも遅ればせながらピクメディアと提携しフラッシュマーケティングに参入を発表した(2010年8月5日)

ソーシャルメディアを最大限に活用するには最終ユーザーの満足を高めるためにどうすべきかをもう一度改めて問い直すことが必要である。最終ユーザーの満足から逆にビジネスモデルを作り上げるリーバースエンジニアリングの思考が求められる。

2010年8月18日水曜日

「ゲイリーの稼ぎ方 ソーシャルメディア時代の生き方・考え方」書評コメント

 仕事柄、ソーシャルメディア関連の本にはかなり目を通すが、私の一番のお薦めは、「ゲイリーの稼ぎ方」。単純だけど奥が深い・・・最強の戦略書。この2〜3年のこれからの日本の変化を考えると一番役立つ本と断言できる。

内容は単純な3つの公式からなる
①ソーシャルメディア=ビジネス
②パーソナル=ビジネス=自分ブランド←自分らしさ
③コンテンツ→口コミ→コミュニティ→金のなる木

あらゆる人と人との会計で成り立つ全ての産業がソーシャル化の影響を受ける。ほとんど全ての産業だ。また、この時代にはパーソナルもビジネスもなく、自分があるだけ。自分らしさを貫く方が成功する。人に有益なコンテンツを作ると、口コミで広まり、コミュニティを作ることができると金のなる木になる。

日本ではこの最強の戦略で刈り取れるビジネスがいくらでもある。

2010年8月17日火曜日

ソーシャルゲーム業界の戦争勃発、まだ勝負はついてはいない

7月末のユーザー数で、グリーは2125万人、mixi2102万人、DeNA2048万人と、グリーがSNS最大のユーザー数となった。ソーシャルゲームのオープン化では出遅れたグリーが急速に追い上げた形となった。通常はプラットフォーム間の競争はデファクト化の論理が働くので先行有利となるはずだが、現実はそうなっていない。それはなぜか?

理由は2つある。
1つ目の理由は、もともとのプラットフォーマーのユーザー層の違い(年齢層、ゲーム好き層の多さ)。この点で、グリーとDeNAはmixiと比較して有利であった。

2つの理由はまだ実はプラットフォーム間の勝負はついていない。ソーシャルゲームのプラットフォーマーには2つの顔がある。プラットフォーム運営会社としての顔と内製ゲーム制作者(SAP)としての顔。現在はまだソーシャルゲームの黎明期でありSAPとしての顔がDeNA、グリーで大きくなっている。今後、ソーシャルゲームが拡大するとよりプラットフォーマーとしての顔がより重要になっていくはずである。SAPの競争優位期間はプラットフォーマーの競争優位期間と比べて短命である。

というわけで、プラットフォーマーで有望なSAPの囲い込み戦争が勃発している模様。

2010年8月16日月曜日

つぶやき進化論〜「140字」がGoogleを超える! 感想コメント

感想とコメント

元の題名はSocialnomics。筆者はこの言葉で、「普通の人が主役の経済がやってきた。その変化の基盤となっているのがソーシャルメディア。ソーシャルメディアはみんなのためにある」ということを言い表している。全く新しい世界規模のリファーラルシステムによって、ムダな広告や仲介業者が排除される。情報は膨大でも整理しやすいから大丈夫な時代となった。

ここからは私の意見だが、

グーグルを用いてベストを追求する時代から、Facebookを用いてベターを追求する時代へのシフトが進んでいる。

イメージで言うと、日本全国で最も売れている本の上位5冊を探すのがグーグル型。自分の友人が自分に推薦する上位5冊を探すのがFacebook型。どちらが自分にとって意味のある情報となりますでしょうか?

また、その情報を自ら探すのではなく、情報が自然に集まってくる形が今後の姿。これこそがパラダイムシフトになると思います。

2010年8月15日日曜日

ソーシャルメディアポリシーの採点:富士フィルムがソーシャルメディアポリシーを公開

富士フィルムがソーシャルメディアポリシー(SMP)を公開した。

ソーシャルメディアポリシー(SMP)とは、従業員などがソーシャルメディアを利用する際の考え方や守るべきルールなどガイドラインを示したものである。

富士フィルムのソーシャルメディアポリシー(SMP)は基本的に非常にシンプルな構成になっている。ソーシャルメディアとは何かを定義し、 富士フイルムグループの「企業行動憲章」と「行動規範」を追加することで従業員のガイドラインとし、さらに、公式な発表・見解はソーシャルメディアではなくウェブサイトで行うと利用ユーザーに注意を喚起している。

従来オフラインで用いられているグループの「企業行動憲章」と「行動規範」をオンライン(ソーシャルメディア)でも行動ガイドラインとするのは一つの見識ではある。

私は3つの観点からソーシャルメディアポリシー(SMP)を採点する。
① 従業員の行動のガイドラインが明確化するか?
② お客さん(潜在顧客も含めて)からみてもその行動ガイドラインは納得性が高く明確なものであるか? 
③ 従業員のソーシャルメディア活動をエンパワーするものであるか?

以上の観点からすると、残念ながら、富士フィルムがソーシャルメディアポリシー(SMP)5点中2点程度。この低評価は通常のオフラインの基準をオンライン(ソーシャルメディア)にそのまま持ってきた構成によるものである。この理由を今後ソーシャルメディアポリシーを公開する会社は考えてもらいたい。