2010年9月4日土曜日

ソーシャルファイナンスの定義は?

ソーシャルファイナンスの定義は?

 今日(もう昨日だが)は、ソーシャルファイナンスの講演会に出席した。ソーシャルファイナンスを定義するのはなかなか難しい。ある本には、「金銭的収益と同時に社会的収益もしくは社会的配当を追求する機関によって提供される金融活動」と定義されている。

 例えば、最近日本でも盛んになっている「途上国向けのマイクロファイナンス」。金利を年10%以上とるケースも多く、日本と比べて高い金利と成長性が目当てのリターン目的の投資も多い。金銭的収益目的が主目的であればソーシャルファイナンスと言えないのではないかという見方もできる。

 講演者の方は、ソーシャルファイナンスを「悪いことに投融資しない、よいことに積極的に投融資する」という定義で捉えていた。では、ソーシャルレンダリングのmaneoは上記の定義ではソーシャルファイナンスに入らない。maneoでよくあるフランチャージの開業資金は悪いことともよいこととも言えないだろう。

 仲介機関の役割を排し、個と個のダイレクトの投融資をソーシャルファイナンスの定義することもできる。

 いずれにしても、ソーシャルファイナンスを投資目的や価値判断(社会にとっていい投融資かどうか)で定義づけると、曖昧性や恣意性が高くなり、納得感や統一感のある定義とはならないだろう。

2010年9月2日木曜日

ソーシャルメディア時代にネットPRはどうなるか?

(株)ニューズ・ツー・ユーのネットPRセミナーに参加。同社はニュースリリースのネット配信代行会社である。

 ニュースリリースとプレスリリースどう違うか? 前者が全ての人に向けたニュース配信であるのに対して、後者は報道関係者向けに向けた情報配信である。ニュースリリースはネットによって配信コストが劇的に下がったことを受けて普及した配信形態である。
 ただし、どちらも会社側から発信されたものであり、情報の発信側からみた側からみた配信時点での事実であり、読み手からみた事実ではない。

 ソーシャルメディアの普及により、集合的な第三者の意見、口コミの重要性が高まりつつあることを踏まえると、ニュースリリースでいかに読み手側からみた情報の信頼度はあげていくかが課題だろう。

 もう一つの視点としては、ソーシャルメディアとどう組み合わせていくか? ソーシャルメディアは情報の配信側がその情報をコントロールできないのに対して、ニュースリリースはほぼコントロール可能となる。この2つをどう組み合わせることが、自社の情報の信頼度をあげるか、ひいてはブランド価値を高められるかという視点が重要になる。

 ニュースリリースは、期待される接触者数は少なくもリリースの数でかせぐ、そしてそのストック効果を考えると、SEO的な観点からみた場合の価値は大きいし、また企業のコントロール欲求の強さを考えると、ニュースリリースの重要性は今後もそれなりにはあるだろうと思う。

ニュースリリースが読まれる時期はコントロールできないので、逆に後から読まれぼろが出るということも当然起きてくる。

ソーシャル × ソーシャル:ソーシャルメディアを社会的起業家がどう使うべきか?

 今日は、日本財団CANPAN事務局の山田泰久さんの講演会に出席した。テーマは、「ソーシャルメディアを社会的起業家がどう使うべきか?」という話で、私の関心のずばりど真ん中。

 情報収集、情報発信でツイッターを活用しても、最終的にどうアクションにつなげるかという視点をもつべき。そもそもの目標、ミッションにどうつながるかという成果志向的な視点が重要である。日本財団のような支援側からすると、NPOで情報公開しているのが当たり前で、情報公開していないのは何か不都合なことがあるのではと疑われる時代になってきているとのことでした。そうであれば、なおさら積極的にソーシャルメディアを使うべきですね。

 最後のフリードリヒ・フォン・シラーの詩を紹介して下さいました。
この詩を読んで感じたことは、自分の生み出すコンテンツ、情報財は自分だけで作ったものではなく、多くの人からインスパイアーして頂いたことをたくさん含んでいるわけで、それに自分の権利を主張するのはどこかおかしいのかなということでした。

 欧米のように、ソーシャルメディアを使ったファンドレイズにはまだ結びついてはいませんが、支援者、ファンの獲得、自分たちの目指すミッションとその意義を広めるなど、既にÑPO、社会的企業に不可欠なルーツになっていると思います。欠けているのはそれをどう最終的なミッション実現につながるかという戦略地図だと思います。

2010年8月31日火曜日

ソーシャルメディアポリシー:日本オラクルのソーシャルメディア活用

 日経の「日本オラクルのソーシャルメディア活用」の記事を読んだ。ソーシャルメディアは日本でもB2CからB2Bに急速に広まりつつある。「コミュニケーションツール」という位置づけから、徐々に「経営変革ツール」としての位置づけを持ち始めている点が興味深い。

参考になりそうな点をまとめると、

•ソーシャルメディアポリシーは発表したのは法務部門だが、作成には広報、マーケティング、IR、法務の各部門が協力している。
•ソーシャルメディアポリシー設定以外にも、社内トレーニングをかなり重視。ソーシャルメディアとは何かという基本から、「炎上」の例の解説、ブログとTwitterの使い方の違いなどを説明。
•ブロガートレーニングということで、積極的に社員が発信していく体制をサポートしている。これらのトレーニングは業務の生産性を高めるという位置づけから業務時間内で実施されている。

 今後は、IT業界然り、あらゆる産業で有益なコンテンツを発信できることが競争優位の源泉になりそうだ。

2010年8月30日月曜日

ソーシャルメディア時代にブランド価値を高めるサイトとは?

 日本ブランド戦略研究所は、「日本の有力企業の232社のWebサイトの価値」を発表した(2010/8/30)。1位はパナソニックで812億円。2位はホンダで661億円、以下、NTTドコモが655億円、全日本空輸が582億円となった。

 パナソニックが日本のWebサイト価値のトップという結果にまず違和感を感じないでもない。AlexaでパナソニックのWeb解析してみると、日本のアクセスランキングで966位、ユーザー当りのPVは2.8、直帰率43%、ユーザーの滞在時間1.7分という結果。サイト遷移、コンテンツの内容にまだ改善の余地があるように思われる。

 今やWebサイトが企業価値に影響を与えているのは間違いない。しかしながら、どのくらいかと具体的に問われるとなかなか明確な答を出すのが難しい。

 上記の方法論は、「情報を伝達し行動を促したか?」から①情報価値を出し、「商品の購入を促したか」から②売上価値を出し、①と②の合計値としてWebサイト価値を計算する方法論をとっている。詳細は説明されていないのでわからないが、接触が結局は販売に結びついてWebサイトの価値貢献と考えるならば情報価値は売上価値に含まれるのではないかという疑問ももつ。

 今後、企業に注目されるのはソーシャルメディアの使い方である。Webサイトの中でツイッターなどのソーシャルメディアをどう使っていくか? 外部のソーシャルメディアとどう連携していくべきか? ソーシャルメディア時代で個々のWeb サイトの価値、パワーはどうなっていくのか? などが注目される。今後、ソーシャルメディア時代にブランド価値を高めるサイトはどうあるべきかを改めて考え直す必要があるだろう。

2010年8月29日日曜日

ソーシャルメディアポリシー:NPOもソーシャルメディアポリシー公開へ

 8月24日、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンがソーシャルメディアポリシーをウェブで公開した。「ソーシャルメディアポリシーの利用目的」、「ソーシャルメディア参加および情報発信にあたっての心構え」と「利用者の皆様へ」という構成になっている。内容自体は斬新な内容が含まれるわけではないが、NPOがソーシャルメディアを支援者に対して情報を伝達手段する重要なチャネルと認識する方向性は望ましい方向である。

 NPOの成功(持続)は、明確なミッションを掲げること、そして、そのミッションの重要性を人々に伝えることで支援者(ボアンティア、寄付者等)を増やしていくことで可能となる。NPOには共感力が必要なのである。しかしながら、日本ではNPOが社会とのコミュニケーションをとるのが下手である、失敗していると指摘するNPO関係者が多い。

 ソーシャルメディアは人と人の思いをつなげる有効な手段であり、これがNPO、ソーシャルエンタープライズと極めて相性がいい。欧米では、ソーシャルメディアが思いを伝える情報伝達手段としてだけでなく、お金の流れ(寄付プラットフォーム)としても、特にFacebookは既に大きな役割を果たしている。

 今後、NPO、ソーシャルエンタープライズが社会に対して大きなインパクトを与えていく(大きくなることが目的ではない)上で、ソーシャルメディアを有効に使えるかどうかが重要な条件となっていくだろう。