2011年11月10日木曜日

ドラッカーのマーケティング定義はソーシャル時代も有効?




マーケティングのフレームワークに、製品カテゴリーを、2つの軸(高関与/低関与、ロジック/エモーション)でわけ、4つの領域に分類する考え方がある。

この分類方法も、ソーシャルメディア時代にはふさわしくなくなっている。

製品カテゴリーだけでは分類するのが難しくなっているからだ。

ソーシャル時代には、製品のカテゴリーに、顧客とのインタラクションがつけ加わるからである。

製品カテゴリーでどの領域に入るかを考えるよりも

顧客とのインタラクションをどうやったら高めることができ、自社の製品を高関与のエモーショナルな領域に持ち込むことができるかが、うまくいくマーケティングの決め手になるだろう。

ソーシャルメディア時代のマーケティングの定義は、
顧客の創造から、生活者との価値の共創へと変わってきたからである。ドラッカーがマーケティングを不要にすると定義したが、この定義はソーシャルメディア時代も有効である。

2011年11月9日水曜日

ソーシャルメディア時代のソーシャルキャピタル論

ソーシャルメディア時代に入り、ソーシャルキャピタルも新たな定義づけが必要になっているのではないかと考えています。

これまでのソーシャルキャピタルは形態的には2つに分けています。


一つは「結束型ソーシャルキャピタル」、自分の周りに密接な関係を築いて、閉鎖的な集団の持つ協調力を発揮する形です。

もう一つは「橋渡し型ソーシャルキャピタル」です。こちらは、むやみに周囲と結束するのではなく、自分を媒介に人々をつなげる役割を果たすものです。

この2つのソーシャルキャピタルはともに、リアルな接触というものが暗黙に想定されているように思います。


明らかに、ソーシャルキャピタル、人と人とのつながりが生まれるのは、情報、コミュニケーションの流れがそこにあるからですね、

さかのぼると、
リアルな接触→①情報、コミュニケーションが生まれる→②人と人の結びつき→③関係性が生まれる→④信頼(相互信頼、片務的信頼)という流れではないでしょうか?

今、ソーシャルメディア時代は、情報の流れは必ずしも双方的ではなく、片務的な情報の流れが圧倒的に多くなっていると思います。

これまでのソーシャルキャピタル論は、いわばリアルな関係を暗黙に想定していたので、関係の形だけで、情報の流れの方向性は関係要素に入れる必要はなかった、ことに気づきました。

しかしながら、現代は、ソーシャルキャピタルの構造をみる際に、情報の流れの方向が重要となっている、、

例えば、TwitterでBさんはAさんのフォロワーになっている場合、
情報の流れはA→Bであって、逆の方向性はない。信頼も、BさんはAさんを信頼しているかもしれないが、逆はない。Google+でも同じです。

これまでのソーシャルキャピタル論に、情報の方向性を入れることによって、ソーシャルメディア時代に適したソーシャルキャピタル論を展開できるのではないかと思います!

そうすることで、企業ソーシャルキャピタルをどう高めていくか、考えやすくなると思います。

2011年11月8日火曜日

ソーシャルメディアがソーシャルキャピタルをどう変えたか?

ソーシャルメディア普及によって、ソーシャルキャピタルはどう変わったのか?
①構造、②機能、③投資回収、④可視化という観点から考えてみたい。

ソーシャルメディア以前
①構造:ボンドキャピタル中心(地縁、血縁のリアルな密な関係が中心)
②機能:困った時の互助的役割
③投資回収:長期間でソーシャルキャピタル(信頼)を蓄積し長期で回収する形
④可視化:×

ソーシャルメディア以降
①構造:ブリッジキャピタル中心(興味関心のネットワーク、コミュニティが中心へ)
②機能:情報シェアリング、求める情報を受動的に入手
③投資回収:短期間で投資回収が可能に
④可視化:○

ブリッジキャピタルのハブ的役割を果たすインフルエンサー(影響者)、キュレーターの価値、役割が増大。ソーシャルキャピタルの可視化によって、レバレッジがかかる、、

企業ソーシャルキャピタルをどう測るか?①


ソーシャルキャピタルという概念とソーシャルメディアをどう結びつけられるか、考えてみたい。

証明したい命題は、
企業は、企業ソーシャルキャピタルを高めることで、企業がソーシャルメディアをうまく活用できる、というものだ。

そのためには、企業ソーシャルキャピタルをどの指標で測定するか、ベンチマークできるが問題となる。

これまで、社会学、経済学、政治学など様々なな領域でソーシャルキャピタルの研究は数多く行われているが、ソーシャルメディアと結びつけた研究はまだほとんどない。ソーシャルメディアの普及自体がここ数年の話だからだ。

ソーシャルキャピタルにはブリッジ型とボンド型があるが、特にソーシャルメディアはブリッジ型のソーシャルキャピタルを高めるのに有効と思われる。また、この2つのソーシャルキャピタルは相互補完的なものだが、ある一部は代替的な要素もあると考えている。

ソーシャルキャピタルに関する代表的な論文をいくつか読んでみた。
日本総合研究所が、地域、コミュニティのソーシャルキャピタルを指数化しているものがある。
以上のデータを地域毎にアンケートで集計して可視化した。
一般的な信頼/旅先での信頼/近所づきあいの程度/近所づきあいのある人数/職場外でのつきあい頻度/親戚とのつきあい頻度/スポーツ等への参加/地縁活動への参加/市民活動への参加

この発想、アプローチは、企業ソーシャルキャピタルの評価測定にも応用できるものと思われる。これらのデータは、関係の濃淡と深さの二次元に分類できる。これを敷衍すると、企業ソーシャルキャピタルも、対象の広さ(タッチポイント)と深さ(エンゲージメント)の2軸で分類できるのではないかと思う。

2011年11月7日月曜日

ソーシャルインパクトの評価、計測についての考察

 
 日本でも社会的な課題の深刻化、複雑化するにつれて、社会的な課題の解決をビジネスの手法で解決する、いわゆる社会的企業が脚光を浴びている。近年、このような社会的企業の社会へのインパクトをどのように評価、測定するかに大きな関心が高まっている。

 これまでに、ソーシャルインパクトの評価法は米国REDFで開発されたSROI(Social Return On Investment、社会的投資収益)アプローチがある。また、英国では非営利系シンクタンクNEF(New Enonomics Foundation)が米国REDFで開発されたSROIを進展させ、2009年内閣府から「SROIガイドブック」を公表し、一部のNPOや自治体での導入が進められている。

 このようなSROIアプローチはこれまで見過ごされてきた、社会への貢献価値、社会へのリターンを明示化、数値化したという点で画期的であった。

 しかしながら、現状ではこのSROIアプローチは、日本のNPOや社会的企業で継続的には使われるに至っていない。

 SROIの欠点としては、①静態的なモデルであること、②将来を含めたポテンシャル評価に取り入れるかが曖昧なこと、③アウトカムを金銭的な価値に換算することが難しいケースがあること、また④ハードルレートは明示されず、どの水準のSROIならいいかの判断が難しく、意思決定に用いることが難しいという点も挙げられる。

したがって、SROIはその数値結果そのものよりも、利害関係者へのコミュニケーションツールとして、計画段階での対話ツールとして使われるケースが多い。

 このような従来型SROIアプローチの欠点を補うために、新しい社会的なインパクトの測定法「ソーシャルインパクト指数© (Social Impact Indicator©, SII)」の開発を試みた。

このソーシャルインパクト指数©は、5つの指標《①社会的課題の深刻さ、②投資対効果(修正SROI)、③地域・産業への波状効果、④スピード、⑤経営基盤・持続性》から構成されており、従来SROIアプローチの欠点を補うことが可能となっている。

 このソーシャルインパクト指数©を活用することで、異なるソーシャルビジネスを比較したり、価値の変化を算定したり、将来のポテンシャルを評価することが可能となる。

 このソーシャルインパクト指数©は誰にどのように役立つものだろうか? 
行政はこの指数を使うことで異なるソーシャルビジネスの優劣を比較したり、どのくらいの資金を税金で投入するのが合理的なのかを判断しやすくなる。また、企業は自社のCSR活動の費用対効果を検証する、もしくはどの団体と連携することで社会への貢献価値を高めることができるかを判断できる。

 今後、このようなソーシャルインパクトの可視化はますます重要となっていくと予想される。

 営利企業においても、本業を通じて社会にどのようなインパクトを与えているのかの説明責任がますます高まっていくと予想されるからだ。

また、ソーシャルインパクトの評価がNPOやソーシャルベンチャー等への寄付や投資の判断材料となるだろう。

行政も、ソーシャルインパクト指数を使うことで、Pay For performance(成果に基づいて税金を支払う契約形態)の道を開く契機となるからだ。