今後、従来型CRMをソーシャルCRMに進化さえる上で、カスタマーにソーシャルな影響(Social Influence)がどう影響を与えるいるのかを考えること。また、ソーシャルな影響(Social Influence)が、自社の戦略、オペレーション、組織にどう影響を与えるかを考えることが必要かなと思います。
Fabui Cipriani
カスタマーとの関わりを購買という範囲からだけ捉えるのは企業側の見方に過ぎません。カスタマーからの見方をすると、購買はカスタマーの活動の一部に過ぎません。購買以外のプロセスにもソーシャルな影響が大きな影響を与えつつあることも明らかです。
この点を踏まえると、購買を起点としてカスタマーの情報、データをインプットとしてきたCRMの弱点が浮き彫りになるのではないかと思います。
カスタマー視点の購買プロセス
① ニーズが固まる段階→②購買決定(サーチ、選択、決定)→③経験する(買う→支払う→受け取る→使う)→④自分の評価、印象をシェアする
ソーシャルな影響
①ニーズが固まる段階
経験を共有することにより、人々はお互いにつながり影響しあう関係になっている。オンラインレビューは友達の推薦よりも信頼される。
②購買決定(サーチ、選択、決定)
・カスタマーは、テキスト、写真、ビデオ、デジタルコンテンツなど様々なサーチが可能となっている。ロングーテールのニーズが生まれやすくなる。
・サーチされた情報はタグ、カテゴリー、リンクで整理される。
・見込み客はたくさんの意見をオンラインで受け取り、購買決定に利用する。
③経験する(買う→支払う→受け取る→使う)
・価格比較サイトでの比較に加えて、グルーポンなどのグーループバイイングの競争的な価格とも比較される。
・カスタマーサポートはソーシャルメディアで提供される。ユーザーを集めたバーチャルコミュニティなどでもサポートされる。
④自分の評価、印象をシェアする
・自分の経験や他人のブログなどの記述などから、満足度を決定する。
・自分の経験をソーシャルネットでシェアする。満足、不満足の評価が他人の購買に影響を与える。
CRMを業務プロセス、オペレーションという視点に加えて、カスタマーに豊かな経験、体験をどうデザインするかという視点を加える必要があるのではないかと思います。そのためには、戦略、オペレーション、組織をどう変える必要があるのかという視点です。
株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ代表パートナー。慶応大学大学院(KBS)卒。早稲田大学院環境エネルギー研究学科博士課程在籍中。証券アナリスト。持続可能な社会の実現のために、ソーシャルインパクトの評価測定、そしてソーシャルインパクトをお金にかえる仕組みを提案。ソーシャルインパクトの評価測定、インパクトファンドの運営等を事業としておこなう。Twittier:kumataku1
2011年6月3日金曜日
2011年6月2日木曜日
ソーシャルメディア時代の新しいプラシングモデルが必要?
マスメディア、ネット広告で使われる様々なプライシングモデルがある。
従来メディアのプライシングモデルをそのまま使うことは他のメディアとの効果性の比較ではわかりやすいというメリットがあるが、逆にいうと、十分にメディアによる目的の違いを取り込めないデメリットも生じる。
例えば、
CPM(Cost Per Impression)。露出に対してのお金を支払うモデル。ブランディングのためにはいいが、ソーシャルメデキィアは単なるブランディングのためではない、もっと深いものだと言われる。
CPC(Cost Per Click)グーグル広告では典型だが、これをFacebookでそのまま使うのがいいのかどうか? スケールも現在はだいぶ違う。商品、会社によって調整できるメリットはある。ただし、ソーシャルメディアが関係を深めることを目的にする点を十分には取り込めない。
CPA(Cost Per Action)ある決められた行為に対して支払うプライシングモデル。コンバージョンと関係構築は異なるものだ。
Dacid Verkowitzは
CPSA (Cost Per Social Action)という新たなソーシャルメディアのプライシングモデルに提案している。
明確に新しい関係を構築するソーシャルな行為に対してプラシングするという考え方である。例えば、口コミ紹介、新しいフォロワーの獲得、現在の関係を深めるような行為(コメント、反応、レーティング、likeの数など)
このプラシングモデルのメリットとしては、
お金を払う広告主が何に対してお金を払っているかが明確になる点、と同時に
何に対してはお金を支払わないか(露出、コンバージョンなど)も同時に明確になる点である。
今後、様々なソーシャルメディアのプライシングモデルが工夫されていくのでしょう。この部分はソーシャルメディアの目的を明確にすることにもつながるので興味深いテーマと言えます。
2011年6月1日水曜日
ソーシャルCRMへの5つの進化
ソーシャルCRMの進化プロセスをFabio Ciprianiの議論をもとに整理して考えてみる。
大きくは5つの要因がソーシャルCRMへの進化を支える。
要因1 カスタマーの進化、ソーシャルコンシューマーの登場
カスタマー同士のつながりが生まれ、カスタマー同士のコラボレーションが生まれる。たくさんのコネクションがカスタマーとコミュニティの理解を深める。伝統的CRMではターゲティングされたメッセージが価値を生んだが、ソーシャルCRMでは対話が価値の源泉となる。
要因2 タッチポイントの進化
企業内部に蓄積されたカスタマー情報に加えて、企業はソーシャルネット上のカスタマーのプロフィールやコミュニティにおける行動履歴などの情報に頼らなければならなくなった! 後者の情報は企業がコントロールすることはできない。
要因3 ビジネスプロセスにおける進化
従来CRMは、顧客のターゲティング→顧客獲得→顧客保持→顧客開拓のプロセスからなる。対して、ソーシャルCRMは、カスタマーの視点からのビジネスプロセスを捉える必要性が高まる。購買はプロセスの一部となり、ニーズを確認→決定→経験→シェアリングというプロセスに変わる。プロセス中心の見方から対話中心の見方への転換が必要となる。
要因4 組織マインドセットの進化
ソーシャルツールで結ばれ全ての従業員と最終顧客を結ぶことからイノベーションが生まれる。カスタマーがイノベーションサイクルの中心に位置するようになる。
要因5 テクノジーの進化
従来CRMが内部のビジネスプロセスを自動化とサポートすることにフォーカスしてきたが、ソーシャルCRMでは組織の内外のコミュニティをつくりあげることにフォーカスが移る。従来CRMのプロセスサポート機能に加えて、対話サポートツール、モニタリングツールがソーシャルCRMを支える構造になる。
ソーシャルカスタマー、ソーシャルコンシューマーの登場だけはダメで、企業の見方をカスタマー中心に転換できるかどうかがソーシャルCRMの進化を支えると思います。
大きくは5つの要因がソーシャルCRMへの進化を支える。
要因1 カスタマーの進化、ソーシャルコンシューマーの登場
カスタマー同士のつながりが生まれ、カスタマー同士のコラボレーションが生まれる。たくさんのコネクションがカスタマーとコミュニティの理解を深める。伝統的CRMではターゲティングされたメッセージが価値を生んだが、ソーシャルCRMでは対話が価値の源泉となる。
要因2 タッチポイントの進化
企業内部に蓄積されたカスタマー情報に加えて、企業はソーシャルネット上のカスタマーのプロフィールやコミュニティにおける行動履歴などの情報に頼らなければならなくなった! 後者の情報は企業がコントロールすることはできない。
要因3 ビジネスプロセスにおける進化
従来CRMは、顧客のターゲティング→顧客獲得→顧客保持→顧客開拓のプロセスからなる。対して、ソーシャルCRMは、カスタマーの視点からのビジネスプロセスを捉える必要性が高まる。購買はプロセスの一部となり、ニーズを確認→決定→経験→シェアリングというプロセスに変わる。プロセス中心の見方から対話中心の見方への転換が必要となる。
要因4 組織マインドセットの進化
ソーシャルツールで結ばれ全ての従業員と最終顧客を結ぶことからイノベーションが生まれる。カスタマーがイノベーションサイクルの中心に位置するようになる。
要因5 テクノジーの進化
従来CRMが内部のビジネスプロセスを自動化とサポートすることにフォーカスしてきたが、ソーシャルCRMでは組織の内外のコミュニティをつくりあげることにフォーカスが移る。従来CRMのプロセスサポート機能に加えて、対話サポートツール、モニタリングツールがソーシャルCRMを支える構造になる。
ソーシャルカスタマー、ソーシャルコンシューマーの登場だけはダメで、企業の見方をカスタマー中心に転換できるかどうかがソーシャルCRMの進化を支えると思います。
2011年5月31日火曜日
ソーシャルCRMの定義?
greenberg
以下は、CRMの第一人者Paul GreenbergのソーシャルCRMの定義。
"CRM is a philosophy & a business strategy, supported by a technology platform, business rules, workflow, processes & social characteristics, designed to engage the customer in a collaborative conversation in order to provide mutually beneficial value in a trusted & transparent business environment. It's the company's response to the customer's ownership of the conversation."
訳すと、
ソーシャルCRMは哲学であり、かつビジネスの戦略です。それは、テクノロジープラットフォーム、ビジネスルール、ワークフロー、プロセス、さらに社会的な特徴によって支えられています。その目的は、透明性の高いビジネス環境において、企業とカスタマーの相互に利益がある価値を提供するために、企業が対話によってカスタマーとの関係性を深めるものです。ソーシャルCRMは、ソーシャルメディア時代においる、カスタマーが対話を支配する環境の中での企業の反応です。
ごつごつした定義ですが、
一番短い定義は、
"The company's response to the customer's control of the conversation."
になります。つまりは、ソーシャルCRMはカスタマーが変わったことへの対応ということです。
まず、コミュニケーション革命によって、カスタマーのインタラクションの仕方が根本的に変化した。企業はその変化に対応しなけばならなくなった。カスタマーの期待が変わった。彼らが誰の言葉を信用するかが変わった。購買行動が変わった。彼らがいかにコミュニケーションするかが変わった。そして、成功条件が変わった。ソーシャルCRMはこういう根本的な変化に対応するものと言えます。
この結果、企業には、新しいマインドセット、新しいビジネスモデル、カルチャーが必要となる。
Paul Greenbergによると、このソーシャルCRMの全体戦略に成功したと言えるのはP&Gぐらいだと述べています。
日本ではどうでしょうか?
2011年5月30日月曜日
従来型CRMとソーシャルCRMは一体何が異なるのか?
従来のCRMとソーシャルCRMは何が違うのか? どういう背景からソーシャルCRMが求められているのか? この問いに明確に答えることは誰にとっても難しいと思う。CRMのゴッドファーザーと言われるPaul Greenbergの「Traditional CRM v. Social CRM: Is There a Difference?」をもとに、この問いを考えてみたい
まずは従来のCRMの評価。CRMはビジネスのオペレーショナルな面とトランザクションの面ではビジネスの要求に応えてきたとプラスの評価。しかし、環境変化によってCRMに新しい側面が求められるようになってきたとの認識。
従来のCRMの機能、特徴
・カスタマーとの接点となる部署、セールス、マーケティング、カスタマーサポート中心
・セールス販売がドライバーとなり、セールスの自動化、見える化
・コンタクトマネジメント、パイプラインマネジメント
新しい変化
コミュニケーション革命が起こり、インタラクションの仕方が変わった。当然、ビジネスのインタラクションも変わった
統計1 自分が知らない人の意見の信用する割合 2003年22%→55%
統計2 ソーシャルネットワーク利用者66.8%>email利用者65.1%
→ソーシャルカスタマーの台頭
企業とカスタマーとのコンタクトチャネルが、一方向型のクローズなものから、オープンなネットワークが中心に→メッセージの一貫性よりも透明性と信頼性が重要に
ソーシャルCRMはこのような変化への対応
その結果
カスタマーを企業がマネージする考え方から、カスタマーのエンゲージメントをどう高めるかが重要になってきている
従来CRMとソーシャルCRMの比較
・ソーシャルCRMは従来のCRMの延長であり代替ではない。重要な要素は残している。ただし、カスタマーが主役になったことを認識が必要。
・CRMの目的はカスタマーとの関係のマネージメントからエンゲージメント構築に移っている(カスタマーを単なる販売対象だけでなく、コラボ、パートナーとしての位置づける)
・トランザクションがベース→インタラクションがベース
・新しいビジネスモデルが必要になった。従来の戦略はよりよい製品サービスを提供すること。CRMはセールス販売が起動となりトランザクションにフォーカスするもの。新しいビジネスモデルはインタラクションが起動となり、カスタマーサービスがソーシャルCRMの重要な柱となる。
・よりよい製品サービスをつくることから、サービス、ツール、カスタマー経験のアグリゲーターとなり、カスタマーは直接企業とコラボレーションしたり、イノベーションを協同する形となる。
私が考える今後のポイント
・企業とカスタマーとの関係がトランザクションベースからインタラクションベースに移行するにあたって、どういうデータ、情報をもとにCRMを組み立てるかが考え直す必要がある。購買履歴からインタラクション履歴、個別のカスタマーとのコンテクストを判別し意味あるインタラクションをリアルタイムにサポートするシステムが求められる。
・ カスタマーとの関係構築からエンゲージメントが重要となり、エンゲージメントをどう測定するのか?どうエンゲージメントを高めるのか?が重要となる。
・ これまでのCRM、マーケティングがよりターゲティングされた企業メッセージを送ることに主眼があったが、企業とカスタマーの両方に意味のある対話を生み出すことに移っていくか?という視点を取り入れる必要がある。この場合のメディアとしてはやはり一方向型のemailではなく、双方向性リアルタイムメディアが主流ツールになっていくのではないか?
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