株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ代表パートナー。慶応大学大学院(KBS)卒。早稲田大学院環境エネルギー研究学科博士課程在籍中。証券アナリスト。持続可能な社会の実現のために、ソーシャルインパクトの評価測定、そしてソーシャルインパクトをお金にかえる仕組みを提案。ソーシャルインパクトの評価測定、インパクトファンドの運営等を事業としておこなう。Twittier:kumataku1
2011年5月12日木曜日
ウェブ検索の未来像?
上図はgigyaがウェブで自分が求める情報を見つける3つの方法を比較したもの。
Feedsはfacebookのニュースフィードのようなもの。
Traditonal Searchは典型的にはグーグル検索。
Social network searchは例えばFacebook検索で自分の欲しい情報やキーワードを入れて探すこと。
Intent(事前意図)は自分が求める情報や製品を事前にどれくらい思い描けているかを示す。製品の場合であれば購買意図が顕在化しているケース。
social influence(結果への影響度)は、結果と自分の意図との一致の度合い、どれだけ結果がパーソナライズ化されて、本人が求める情報を得られるかを示す。
図はボリュームを加えて整理し直したもの。
Feedsは事前の意図は低いが、影響度は高い。
Traditonal Searchは事前の意図は高いが、結果は自分のパーソナライズ化されたニーズにあってはなく影響度は低い。
それに対して、Social network searchは事前の意図も高く、結果も自分のパーソナライズ化されたニーズにあった結果を出すことが可能である。
セマンテックウェイブの考え方は、人とソーシャルオブジェクトの関係によって情報を整理した方が、より情報をパーソナルライズ化された情報に整理し直すことができることに基づいている。
既存の方法も、intentが高く、social influencet高い領域に、リアルタイム検索を取り入れるなど、ソーシャルネットワークと提携するなどして、改良を重ねている。
Social network searchの比率はまだ米国でも2.7%と低い。検索も主に人を検索することに使われている。しかしながら、今後はこの比率が高まっていくだろう。そうしたら、どういう世界が待ち受けているかが興味深い。
2011年5月11日水曜日
業界のソーシャル化進展度合いを測る
上図は、DeNAの決算説明会で示されたもの。
右側が現状、左側が今後のこと。
あらゆる業界がソーシャル化のインパクトを受ける中で、ゲーム業界はその筆頭。ソーシャル化を進める上でのヒントが詰まっている。
ポイント
・ソーシャル化の進展はカジュアルな層から入り込み、コアゲーム層に浸食していく経路をとる
・フリー(無料)がソーシャル化を浸透させる上で重要な武器となる
・お金を払っている人にとっとも、フリー(無料)で参加者の増加は価値の増加に結びつく
・媒体別、チャネル別にソーシャル化の影響が異なるので「マルチタッチポイント戦略」(携帯〜コンソール〜PC)をとり、顧客との接点、体験をデザインせよ
・携帯端末の高度化、スマートフォン化が進展する中で、ソーシャル化の比率が高まっていく
・目標は、コミュニティの健全化、コミュニティの価値全体を高めることの重点を置く。ネットワーク効果を最大限に引き出すべし。
・参加数の増加とともに、エンゲージメントにあわせてARUPを高めるには多様なコンテンツ、コミュニケーションを活用する。可能なら他社のコンテンツも活用すべし
皆様の業界にも、当てはめることができるアイデアはないでしょうか?
2011年5月10日火曜日
ソーシャルメディアマニフェスト!
ソーシャルメディアのマニフェストを草案してみました!
ソーシャルメディアマニフェスト(試案1.0)
・我々はソーシャルメディアカンパニーたらんとする。 ソーシャルメディアマニフェストをここに宣言する。日本ではまだ生まれたばかりのこの概念の、まさにフロンティアであり、そのパイオニアたらんと志している。
・我々は、マーケットキャピタルよりもソーシャルキャピタルの極大化を組織の目標に明確に掲げる。ソーシャルキャピタルは目には見えないが確実に存在し、我らの組織のビジョンを実現するための最も価値ある資産なのだ。
・我々は、ソーシャルメディアが可能とする情報の民主化、組織の透明性、オープンな組織文化を完全に支持する。より野心的に、 我々のビジョンは、産業の進化に貢献することなのだ。
・そのための最上の戦略は、与えることによって増え、貢献することにより高まるソーシャルキャピタルの存在を信じ、コミュニティメンバーに価値を提供し続けることなのだ。
・我々は、いや今や、すべての企業はメディアカンパニーなのだ。我々は、独自のソーシャルオブジェクトを生産し、これを通貨(Currency)として用いる。この通貨を鋳造するのに国の許可は必要ないのだ。
・現代は、企業と生活者は完全に対等な存在なのだ。それどころか、ソーシャル化が進む世界の中で、生活者の支持、インタラクション、共感を生み出すことができなければ、企業は生活者に価値を提供することは既にできないのだ。
・我々は、オンライン上での評価、コメント、インタラクションを常にリアルタイムに追跡する。これが、組織の航路を決める唯一の羅針盤だからだ。
・我々はコミュニティメンバーに提供するサービスは専門知識、アドヴァイス、分析、洞察、成功の秘訣、新しいビジネスモデルなど大半が無形のものである。このサービスの価格は、我らが決めるのではなく、メンバーが感じる価値に応じて喜んで払ってくれる価格に決めてもらうとしよう。我らは提供する価値以上に受け取ることは望まないのだ。
・今まで述べてきたことが全て本当であり未来の確かな潮流であることを証明するために、自らの事業で証明するとしよう。
2011年5月9日月曜日
ソーシャルメディアでよく使われる指標(NPS)の5つの問題点
上図は野村総研がソーシャルCRMについてまとめたもの。
先日、Salesforceは Radian6を$326M(3 億2600万ドル)で買収した。米国ではソーシャルCRM分野が熱い。従来のCRM分野に、ソーシャルな影響をどう取り込むか、どう統合していくかはこれからまだまだ研究余地があると思う。
ソーシャルメディアの費用対効果をどう測るかは米国マーケッターで最も悩みの多い分野である。ソーシャルメディアROIを算出する上で、顧客の生涯価値をどう測るかが最初に問題となる。
米国でよく使われている指標はNPS(ネットプロモータースコア)である。たった一つの質問「あなたはこの製品を友人や同僚に勧めますか」をして、この回答に1〜10の得点をつけて、9〜10点を付けた推奨者の割合から、6点以下の批判者の割合を引いてスコアーにする。
ただ、このNPS(ネットプロモータースコアー)にも問題がある。ソーシャルメディア時代以前に開発された手法であり、そのままソーシャル時代に持ってくるには無理があると思う。
5つの問題点
①顧客生涯価値を算出できるわけではない
②質問は薦める意図を聞いているだけであって、実際に薦めた、次に薦めた結果が購入に結びついているかの間には大きな乖離がある可能性が高い
③これまでこのNPSは日本ではうまく機能していない
④ソーシャルメディア時代のソーシャルな影響とは、親しい友人や同僚だけでなく、誰だか知らない人のコメント、レーテイングが他人の購買行動に結びついている点にあり、その影響をNPSがうまく取り込めているかどうかは疑問である
⑤顧客生涯価値(SLV)に顧客紹介価値(CLV:Customer referral value)をどう取り込むかが曖昧である
以上の5点が挙げられると思う。
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