2010年8月28日土曜日

コーズマーケティングの萌芽

 昨日は、NPO/NGOの募金・寄付サイトの社長さんにお会い頂いた。いわゆる「クリック募金」である。消費者の気持ちを受けて企業側が募金を負担する仕組み。日本という寄付文化がない中ではインターネットが始まり一番最初に取り組む寄付ビジネスとしてはいい仕組みだったのではないでしょうか? ここ1年くらい様々な会社、プレーヤーがこの募金・寄付ビジネスに参入してきています。ビジネスセンスがある人からすると、社会起業関連ビジネスの中でもこの事業が魅力的に映るようです(私も1社アドヴァイザーに入っています)。
 
 実際、英国のJustGivingは2001年に創立され、累計で825億円の寄付を仲介し、その手数料で5%(日本は10%)とっていますから、それはそれは儲かるビジネスになっています。いくらですか? 粗利で41億円ですよ。

 私はソーシャル化によって、モノを買う(マーケティング)とお金の流れ(ファンドレージング)がどう変わるのかに個人的に興味を持っています。クリック募金は気持ち的には消費者から社会起業・NPOの流れですが、実際のお金的は企業から社会起業・NPOへのお金の流れになります。この点が面白いところですね。

もう一方で、ソーシャルメディアの普及により、口コミ、共感が広がりやすいなっています。社会起業家が自分の思いをソーシャルメディアでうまく伝えることで、世の中の共感を呼び込み、サポーターを増やし、寄付が増えてビジネスがうまく循環する仕組みを作る。この部分には私はビジネス性とともに社会的意義を強く感じています。

日本のコーズマーケティング、欧米に比べるとまだまだでないでしょうか?
社会起業の遅れとソーシャルメディアの遅れのダブルパンチですから。

ソーシャルメディアの活用法として、コーズマーケティングの仕掛けを今後共同でトライしていくつもりです。日本で最初のコーズマーケティングの成功例を作ること、これが私の夢の一つです。

ソーシャルメディアの効果測定はコンサルの最強ルーツ?

1日1ブログ続けるために書きます。正式にはもう1日たっちゃたけど。

•Ustream特別番組「日本企業はソーシャルメディアに取り組むべきか」を堪能した。こういう番組が無料なのはうれしい。フリーミアムで、後で高額のコンサル料を払わないように注意はしましょう(笑)

•対談の中で印象に残っているのは、「目標を決めて、効果測定の指標をしっかり定義してからソーシャルメディアを始めましょう」という見解。もっともなのだが、実際にソーシャルメディアにかかる投資って何? どれくらいかかるの? 投資をやる時のROIのI(投資)は、大きな媒体費用はかからないので、人的費用、機会費用ぐらいでそれほど大きな投資が必要ない。であれば、まずはやってみよう、少しでもリターンがあればいいではないか。既存メディアの効率が落ちてきているのが明らかな中でソーシャルメディアはコントロールが難しいから敬遠する、躊躇するという神経は私には理解不能だ。

•効果測定は必要ですよ、御社やってますか? やってないでしょ。実際何を指標とするかはすごく難しいんです。コンサルタントに任せてください。というように、ソーシャルメディアの効果測定がコンサル商売の切り口になっていないでもない。

•後、気になったのが「ソーシャルメディアを有効に活用するには、消費者に愛される会社になりましょう。」というスローガン。対偶は真なりだから、消費者に愛されない会社はソーシャルメディアを有効に活用することができない。このテーゼも真となる。どれだけ強い主張かは対偶を考えてみるとわかる。自分の会社のことを胸に手をあてて考えてみましょう(笑)。ドキドキするね。いい旦那になるには奥さんをココロから愛しましょうというのに近いかな?

2010年8月26日木曜日

ソーシャルメディアで再生ビジネス?

 連日のように、グルーポン型サービスへの参入が続いている。本家グルーポンの創業2年で売上300億円、利益40億円という驚異的な業績をみると、参入が続くのも納得する。これだけ参入が多いと後発で参入してきて採算があるのかは疑問ではある。

 日本でも、これまでもグルーポン型サービスに近いサービスはいくつか存在した。ネットプライスのギャザリングはかなり近い。ラストミニット・ドット・コムも間際商品を大幅デイスカウント販売するという点では近い面があった。

 現在ではどうか? ネットプライスはギャザリング会員数の伸び悩み、商品単価の下落から、業績的には苦しくなった。先日、ネットプライスもグルーポン型サービス参入した。ラストミニット・ドット・コムは三菱商事者やVCがバックアップしていたが2006年9月でサービス閉鎖に追い込まれた(私も戦犯の1人?)。

 従来の考えの延長ではうまくいかないビジネスモデルが突然うまくいく。何が大きく変わったかというと、やはりソーシャルメディアの環境である。ソーシャルメディアの口コミ効果の増幅力である。グルーポン型サービスも1年前にうまくいったかどうかは?。

 考えられるアイデアとしては、これまでのネットサービスでうまくいかなかったビジネスモデルをソーシャルメディアをうまく活かすことで再生する再生ビジネスである。

2010年8月25日水曜日

ソーシャルコマースの未来

 昨日は、(株)メンバーズ主催で(株)ループス・コミュニケーションズの斉藤社長の講演会に出席。現時点での自分なりのソーシャルコマースの考えをまとめておきたいと思う。2〜3年後から読み返すと面白い(たぶん笑っちゃう)と思う。

•斉藤社長の問いかけは「ソーシャルの力で、コマースの何が変わるのか?」。私は「コマースという人間の購買という基本的な欲求がソーシャルでどう促進させられるか」逆からの視点も考えてみたい。例えば、販売の基本は衝動買いをどう誘発するか。ソーシャルがこの衝動買いをどう誘発する仕組みを提供できるかが重要。

•コトラーが提示するマーケティング3.0のパラダイムではマーケティングの目的は「世界をよりよい場所にすること」。グルーポン型のソーシャルコマースが果たしてこの目的にそったものかは今後問われるだろう。価値を作り出しているか、単なる価値の移転か?

•斉藤社長はソーシャルコマースよって商売原点回帰がはかられ、江戸時代の三河屋のように顧客と商売人の対話が重要となると述べる。現代のソーシャルコマースの本質は売り手と買い手よりも、買い手同士のインタラクション・対話が購買を決定し、買い手の購買価値に結びついていることだと思う。このまとめ方には異論あり。

•何をもってソーシャルコマースかの定義がされていないから、斉藤社長の「ソーシャルコマースの6つの分類」もすっきり感はなし。単なる機能(ボタンをつける)の話とビジネスモデルの話が混合されている。

•私なりのまとめは、①モノを売るのではなく感動を売る時代へ、②代理店(機能?)不要の時代へ、③広告マーケティングの大部分は企業から消費者にバトンタッチ、④買いたいものを検索する時代から、買いたいものが自然に集まる時代へ。この数年でソーシャルグラフを巡る熱い戦いがSNSとコマースサイト、国内外で繰り広げられる。

                               以上

2010年8月24日火曜日

ソーシャルメディアポリシー:なぜウェブで公開すべきなのか?

 ソーシャルメディアポリシーはウェブで公開されるケースが多い。では、なぜ公開すべきなのか? 

 社内規則等は公開されない。仮にそれをウェブで公開しても誰も読まないだろう。それに対して、ソーシャルメディアポリシーはウェブで公開される。その理由はソーシャルメディアポリシーには2つの顔(内と外)があり、公開することのプラスがあるからだ。

 ソーシャルメディアポリシーは、①従業員(外注先などを含むケースもあり)に対する顔と、②顧客(潜在顧客を含む)社会に対する顔がある。①のためだけならばあえてウェブで公開する必要はない。②の機能を考えた場合は公開するプラスが生じる。公開することで、顧客からすると、どういうスタンスでソーシャルメディアを使っているかがわかり、会社と顧客との間でコンテクストを共有することができ、コミュニケーションがしやすくなる。

 ソーシャルメディアポリシーは顧客様に読んで頂くことが前提となる。積極的に自分の会社のソーシャルメディアポリシーをアピールする絶好の機会であり、この機会をムダにするのはもったいない。だから、長ったらしい行動憲章などをソーシャルメディアポリシーに含めるのはいかがかと思う。

2010年8月23日月曜日

ソシャル化によって新しい金融が誕生

 今回は、ファイナンス業界が「ソーシャル化」によってどう変化しているのか、その流れについて考えみたい。

ソーシャル化によってお金の流れに劇的な変化が生じ始めている。

DeNA、グリーなどのソーシャルネットワーク上の疑似通貨、コミュニティマネーの爆発的な成長。いずれはリアル通貨との交換価値を持つかもしれない。

maneoなどのソーシャルレンディングサービス。ネット上で貸し手と借り手をダイレクトにつなげる画期的な仕組み。従来の非効率な金融システムをバイパスする流れ。

ハノイの震災時にフェースブックなどソーシャルメディアを使うことで、従来では考えられないほど金額の寄付が瞬時に集まった。

日本では寄付は文化的に難しいといわれながらも、イーココロ!やJustGiving Jpananなど次々に寄付ネットワークを立ち上げる動きが進んでいる。この寄付ネットワークが新しい社会起業家を支える仕組みとして機能し始めている。

もともと、金融機関は資金余剰主体から資金不足主体にお金を流す(資金仲介)が一つの重要な役割である。お金とともにリスクのトランスファー機能も有する。これとともに、情報生産機能、情報仲介企業も金融機関の重要な役割だが、この情報機能がソーシャル化の影響を大きく受けている。

新しい金融は、借り手の定型的なデータだけでなく、定性的なデータ、お金が必要な背景、事業に対する思いなどもリアルに伝えられるようになった。そうすると、借り手側は貸し手の共感をどう得るかが重要になってくる。

要は、これまでの無機的な金融が、ソーシャル化によって、より人間らしく、人と人とを瞬時に結びつけるシステムとして機能し始めたと言えるかもしれない。

2010年8月22日日曜日

ソーシャルメディアポリシー:千葉市のソーシャルメディアポリシー。守り一辺倒で攻めの姿勢に欠ける

 千葉市がソーシャルメディアポリシーを策定し公開した。自治体がソーシャルメディアポリシーを策定し、公表するのは日本ではまだ珍しい。今後、このようなケースはさらに増えていくものと思われる。

一般にソーシャルメディアポリシーの必要性は、ソーシャルメディアの普及度合いとソーシャルメディアが与えうるインパクトの大きさによる。自治体の場合は職員が千葉市民の個人秘密情報を取り扱うことになるため、ソーシャルメディアのインパクトが大きくソーシャルメディアポリシーの必要性が高まったと判断したものと思われる。
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千葉市のソーシャルメディアポリシーの個々の項目を分析してみると、リスクマネジメント的な項目が大部分を占めている。

ソーシャルメディアポリシーは、策定の目的とともに、やってはいけないことなどのリスクマネジメント的な項目と積極的にやってほしいこと項目からなるのが通例だ。千葉市のソーシャルメディアポリシーはいけないこと、リスクマネジメントを中心に構成されていることがわかる。

各団体がつくるソーシャルメディアポリシーには置かれている環境、その団体の個性、そして団体の意図が反映するものとなっている。この点からも、単に他社の優れた ソーシャルメディアポリシーを参考に真似するだけでなく、各社、各団体が置かれた環境のもと、組織の位置づけを考えながら、カスタマイズ化されたソーシャルメディアポリシーを作ることが必要となる。

自治体という性格上、リスクマネジメント的観点から「守り」のソーシャルメディアポリシー策定がなされたことは理解できる一方で、千葉市民に対してより積極的にソーシャルメディアを使い、優れたサービス、社会に価値を提供していくのだという積極的な「攻め」の姿勢も盛り込みたかった。その点が自治体で初めてのソーシャルメディアポリシー公開ということを考えると残念である。