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多くの社会的な課題は、コストと価値を混同することで解決が妨げられているケースが非常に多い。
価値とコストとは全く違う。これを混同することが多くの人間の間違い、悲劇、誤った意思決定につながっている。
コストとは何か? 何かを手に入れる時に支払うお金のことである。これに対して、価値とは何か? 価値とは、お金を支払うことによって手に入れるもの(果実)である。
意思決定には、コストにみあうだけの価値を生み出しているのかどうかをみる必要があり、例えば、「価値/コスト」のような投資対効果をみる必要がある。
例えば、現在、生活保護バッッシングが続いている。毎年、生活保護関連コストがあがる中、不正受給に該当するものも増えており、何か対策をたてないとどんどんコストがあがることに対する懸念が生じている。しかしながら、これらは全てコストの話なのである。
コスト情報だけでは正しい意思決定はできない。価値もあわせてみる必要がある。
不正受給は、先ほどの「価値/コスト」指標を考えてみると、
生活保護の不正受給は、分子に追加コストとして加算されるのに対して、分母の効果はゼロに近い。つまり、「価値/コスト」指標は、
「(価値+0)/(コスト+不正受給コスト)」と修正される。
上記の式をみてわかるように、不正受給を見逃すことは、この政策の投資効果を劇的に下げる。分母はコストが加算されるのに分子の効果は0だからだ。しかし、もともとの価値/コストの比率自体が変わったわけではない。
現在のように、雇用状況が厳しい状況では生活保護の分子の価値はあがっていると予想される。したがって、それを不正受給があるからといって、いっしょくたんに生活保護費を圧縮すると、政策効果自体も減じてしまう。
だから、不正受給があるからといって、直ちに、生活保護費を下げようとするのは誤りなのである。
政策論的には、いかに投資対効果を高めることができるか? もしくは、他にどのような施策が政策目的を実現できるのか? などを事実、数値に基づいて考えることが必要である。
(株)ソーシャルインパクト・リサーチが開発した、ソーシャルインパクト指数®は、ソーシャルビジネスの価値を定量化するために開発された。実は、社会的プロジェクトの価値計算にも適用でき、政策間同士の効果比較をより的確におこなうことができる。
是非、政治家、政策担当者の方々は導入を検討されたい。