2011年10月12日水曜日

ソーシャルメディアマーケティングをコストではなく投資とみるべき3つの根拠

マーケティング前提条件の変化
マーケティング費用はコストではなく投資である

 これまでマーケティングに関わる費用はコストとして捉えられることが多かった。売上高に対する比率で予算が決められ、売上高との対比によって事後的に管理される。つまり、これまでのマーケティングの前提はマーケティングの費用とその効果は年度中で完結し、対比できるという前提である。

 しかしながら、ソーシャルメディア時代になり、マーケティング費用をコストと捉えるよりも投資として捉える方がしっくりくるようになっている。いや、それどころか、ソーシャルメディアのマーケティングは投資として見なければまともな意思決定ができなくなっているのだ。

ソーシャルメディアマーケティングに関わる費用はコストよりも投資である。
その理由は3点が挙げられる。

 第一に、その費用の回収は1期間よりももっと長い期間での回収が必要となる。つまり、1期間の売上対比で効果を計ることが難しくなっている。費用はすぐに発生するが、その効果は長期にわたるのである。

 第二に、どのくらいその費用を回収できるかの不確実性が高くなっている。
Facebookのファンを増やしたり、Twitterでフォロアーを増やしたとしても、そこからどれくらいの売上をあげられるかは分かりづらい。このようなソーシャルメディアの指数をどのように売上や利益などの財務的な指標に転換する「方程式」をもっているかどうかが企業に問われるのだ。また、企業によってその投資効果は大きな違いがある。同じ費用をかけたとしても、その効果は企業によって大きく異なる。

 第三に、実は投資効果は顧客がどういうエンゲージメントの段階にあるかによって大きく異なる。

 例えばソーシャルメディアのマーケティングを行い、Facebookファンになってもらったとする。しかし、ファンになってもらっただけでは売上には結びつかず、今後様々な情報やコンテンツを発信して、エンゲージメントを高めることによって、将来的に売上に結びつくかどうかが決まる。その効果は、そのキャンペーンで完結するわけではなく、今後もファンとして維持できる限り生まれる可能性がある。



 図表で示すように、エンゲージメントの段階から、信頼の段階、そしてアクションに結びつくことで、マーケティングの果実を刈り取ることができるのだ。

 エンゲージメントの段階、次に信頼の段階、そしてその次にアクションの段階である。財務的な数値は信頼からアクションに結びついたもののみが効果としてカウントされる。効果の数字に現れなくても、エンゲージメントを作る、エンゲージメントから信頼の階段を作るなど、コンテクストを深めることには実は大きな意味と将来価値があるのだ。

 この顧客の段階を見極めて、顧客が次の段階に移行できる梯子をうまくかけれるかが、実はソーシャルメディアマーケティングの本当の肝にあたる。ソーシャルメディアROIを計る場合にも、この点を理解しないと、正しくROIを計ることはできない。

以上の結果として、ソーシャルメディアのマーケティングを投資として活かせる企業と活かせない企業の差が大きく差が開くことになる。

 ソーシャルメディアのマーケティング効果を長期的に活かせない企業にとっては費用になる。ソーシャルメディアのマーケティングを費用としてしか捉えない会社は過小投資という間違いを犯す可能性が高いと言える。これに対して、その効果を長期的に活かすことができる企業にとっては投資となり、その果実を長期的に刈り取ることが可能となる。

この違いは、ソーシャルメディアに関する費用をコストと捉えるか、投資と捉えるか、そのフレームによる違いが大きく影響することを企業は理解すべきである。

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