ソニーが低迷しているのは、革新的な製品開発ができなくなったためと論ずる人が多いが、企業ソーシャルキャピタルの分析からはまた違った側面が浮き上がってくる。
ソニーの低迷の真の原因は、製品開発力の低下よりも、企業ソーシャルキャピタルが枯渇したため。
この12年間で、ソニーの企業ソーシャルキャピタルは株主資本対比で351%から▲49%と大幅に低下、長期的ダウントレンドはまだ続き、歯止めがまだかかっていない状態。
企業ソーシャルキャピタルの減少幅が特に大きかったのは、2001年度、2008年度、2011年度の3年。また、2009年度はソニーの企業ソーシャルキャピタルは枯渇した。同時期は、メディア変革期にあたっており、ソニーの企業価値の源泉であるメディアをうまく活用できなかった、新しい波に乗り損ねたため価値を大幅に失った。
企業ソーシャルキャピタル減少につれて、利益増減が大きくなり、企業が不安定化。企業ソーシャルキャピタルが低下した結果成長率も大幅に鈍化した。
企業ソーシャルキャピタルが低下した結果、広告効率が悪くなった。信頼、ブランド、革新的イメージ、ソニーらしさという輝きを失った代償はあまりに大きすぎる。
今後のポイント
特に、価値への影響が大きい新しいメディアの中でソニーをどう位置づけるかが重要となる。新しいメディア、スマートフォンに対して、どういう新しい価値を提供できるのか? 個々の製品、アプリケーションレベルを超えた、社会的イノベーションを狙うようなプラットフォームビジネスを展開できるかがソニーの再生のカギとなろう。
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