公益資本主義の基準は3つの条件、「持続性」、「公益性」、「改良改善性」がある。公平性は価値観に基づく要素があるため、主観性が入りやすく公平性を測る基準をつくるのが難しい。
今回は、東芝をケーススタディに考えてみる。ステークホルダーは、取引先、従業員、株主、債権者、政府行政、社会、環境、経営陣を想定している。
東芝のステークホルダーの分配額は2010年度、2011年度で経済的付加価値の分配は以下の図表のように変化した。果たして、このようなステークホルダーの分配は公平性が保たれていると言えるだろうか? どう判断評価することができるだろうか?
ステークホルダーの経済的付加価値の分配を分析する上で重要な点が3点。
①ステークホルダーの分配の公平性を見る上では、その前提となる経営環境、経営状態のコンテクストの理解が必要となること
当然、売上、利益、キャッシュフローが伸びている経営状態が良い時と、経営状態が悪い時ではステークホルダーの分配のルール、分配の仕方に違いが生じる。この点を踏まえて、公平性の評価をする必要がある。
②ステークホルダーの分配には、自動的に決まる要素が強いステークホルダーと、経営の意図が反映しやすいステークホルダーがある。
例えば、自動的に決まる要素が強いのは、政府への支払い、債権者などである。政府の税金は当期利益、課税所得が決まるとほぼ自動的に決まる分配である。また、債権者の支払いも、債券発行額、利払い契約によってほぼ自動的に決まる。比較的自由度が高いのは、経営陣に対する報酬と株主への支払い、社会貢献である。
③結果に影響を与えることができるステークホルダーほど、成果に責任をもつべき(リスクをとるべき)である。
例えば、次のような順位を想定することができる。
株主 経営陣 >従業員 >取引先 > 債権者、政府
株主 経営陣 >従業員 >取引先 > 債権者、政府
売上、利益、キャッシュフローが伸びている時に、どのステークホルダーがその上昇分を一番多くの割合で獲得しているかという点や、経営状態の悪い時に、その痛みをどのようにわけているのかで、公平性を評価することができる。
これらを3〜5年間程度みることで、それぞれの分配がどう変化したかをみると、ステークホルダー間でパワーがどのようにシフトしたかを評価することができる。
③の評価基準を入れることで、分配の公平性を判断することができるようになる。今回の東芝のケースは、経営が急激に悪化したのに、他のステークホルダーの分配が減る、止まる中で、株主への分配がほぼ倍増と大幅に伸びており、公平性が極めて低いと評価することができる。
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