明治大学、公社研の塚本先生の英国視察報告会に参加した。特にソーシャルインパクトボンド(SIB)を重点とした視察報告。
ソーシャルインパクトボンド(SIB)は英国で2010年3月に発行された、社会貢献と投資家のリターンの両立を目指す新しい形の金融商品である。最初のSIBはピーターボロウ刑務所の出所者の再犯率の低下に適用された。しかし、SIB発行はこれまでのところこの1件にとどまっている。
ポイントしては以下の4点。
①
果たしてSIBは英国においてうまく機能しているのか?
うまくいっているかどうかの基準は、利払い、元本返済がきちんとなされているのか? 本当に再犯率の低下につながっているのか? トータルの政府コストの削減につながっているのか?
②今後、英国ではSIBはどのくらいの普及が見込まれるのか?
インパクトインベストメントは盛り上がってきているが、SIBはその一部でしかない。今後、SIBはどういう分野に適用され、ソーシャルインパクトインベストメントの中でどのくらいの位置づけを占める可能性があるのか?
③また、日本にSIBを持ち込むことは可能なのか? 法制上の問題はないのか?
社会課題の解決には長い時間が必要である。対して、日本の財政予算は単年度主義である。社会課題の解決を目指すSIBは長期になる。この点が、SIBを日本で持ち込む場合のネックにならないか?
④SIBが普及しない理由としてリスクの高さを挙げられていたが本当か?
SIBが普及しない、広まらない理由して原本が0になる可能性、そのリスクの高さを挙げる意見もあった。しかし、全ての債券は0になるリスクはあるし、リスクリターンを変える方法はいくらでもある。英国のSIBはハイリスクハイリターン型であったが、ニューヨーク市のSIBはグルームバーグ財団が保証に入ることでリスクが抑えられている。
むしろ、リスクリターン、もしくはこれまでの経済的リターンではない社会的リターンを組み合わせることで、投資家を引きつける商品になりうるかどうかが焦点だろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿