新年から、日経でソーシャルインパクトボンド(SIB)が取り上げられていたので、今年は日本でもSIBを実現させようという動きが出てくるだろう。
では、具体的にSIBの発行の実現要件を考えてみたい。
まず、参考にすべきなのは、私がプレゼンで使った以下の図表である。
この図表の要点は、SIBは公的サービスの節減分に対して成果達成コスト、介入コストが少ないほど効果があるという点である。これがSIBが予防サービスに用いられる理由でもある。
説明してみよう。
政府は何らかの社会的課題を解決するために介入をしており、その政府コストがかかっている。例えば若者就労支援を考えてみる。
仮にその若者が失業保険をもらっているとすると、約200万円の直接的な政府支出がかかる。これは直接コストだが、若者就労サポートセンター等の間接的な維持コストなどもかかってくる。
単純化のために、政府コストは200万円としよう。
この介入コストをSIBを発行して調達しようとする。
SIBの発行要件
要件1:
政府コストはSIB発行によって低くなること
政府コストはSIB発行によって低くなること
要件2:
介入コスト(初期投資)と投資家へのリターンの合計値(又はその期待値)は、SIB発行による節約分の範囲内に収まること
介入コスト(初期投資)と投資家へのリターンの合計値(又はその期待値)は、SIB発行による節約分の範囲内に収まること
要件3:
投資家にとっては介入コストへの投資、その投資からのリターン(利子)は期待ベースでリスクを上回るリターンを提供すること
投資家にとっては介入コストへの投資、その投資からのリターン(利子)は期待ベースでリスクを上回るリターンを提供すること
SROIの観点から考えてみる。
SROIは以下のように定義できる。
SROI=(経済的便益+社会的便益)/投資金額
介入コストは、分母の投資金額にあたる。
政府の節約分は分子の社会的便益にあたる。他にも、失業者が職を得ることによる心理的満足、次年度以降も雇用維持された場合の経済便益等も考えられる。
単純に考えると、このSROIが高いほどSIB発行要件を満たすので発行しやすくなる。
数値を当てはめてみよう。
現在、若者の失業者のコストが失業保険費の直接コストのみで200万円としよう。
介入コスト=50万円
投資家のリターン=5万円
SIB後の政府コスト=50万円
とすると、SROI=3倍になる。
以上の想定では、投資家は10%のリターンを得る。
後、重要なことは、
要件4:
SIBを支払うアウトカム成果の評価測定ができること。
後、見逃されやすいが、
要件5:
SIBのアウトカム成果の評価は投資家への利払いの前になされなければならない。
SIBを支払うアウトカム成果の評価測定ができること。
後、見逃されやすいが、
要件5:
SIBのアウトカム成果の評価は投資家への利払いの前になされなければならない。
以上の5点が、単純化したSIB発行の要件と言えるだろう。
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