株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ代表パートナー。慶応大学大学院(KBS)卒。早稲田大学院環境エネルギー研究学科博士課程在籍中。証券アナリスト。持続可能な社会の実現のために、ソーシャルインパクトの評価測定、そしてソーシャルインパクトをお金にかえる仕組みを提案。ソーシャルインパクトの評価測定、インパクトファンドの運営等を事業としておこなう。Twittier:kumataku1
2011年12月7日水曜日
SROIの分析レポートが出ましたね
マイクロソフトの「若者就労支援プロジェクト」に関わる評価調査報告書が公表された。この中で、(株)公共経営・社会戦略研究所がSROI分析をおこなっている。日本の実例でSROI分析がなされるのは珍しいので、貴重なレポートである。
分析の結論は、
このプロジェクトのSROIを単年度5.6倍、5年間累計で21.28倍なので、非常に効果的なプログラムと結論づけている。
話はそんなに難しい話ではない。
①マイクロソフトが若者の無業者に対して、NPOサポートステーションを介して、ワード、エクセル等の教育をおこなう
②その結果、就業率がアップ。そのアップした部分を社会的な便益と考えて、その人がもらう給料で金銭価値換算をする
③マイクロソフトの受託費用約11百万円と比較した、価値の増加を倍率を示す=SROI、という流れだ。
SROIは価値分析として経済的な価値と社会的な価値の総計を捉える点が特徴であるが、就労支援の効果を初年度の就業者の年収で換算しているが、これは経済的な価値に近いものだ。
税金の使い道という観点からは、単に倍率が高いこと、プログラムの効果が高いこと=積極的に展開すべきとは言えない。つまり、その効果の便益がどこに及ぶかが問題なのだ。便益の最大の受益者である本人である場合、他のステークホルダーに対して対して便益が及ばない場合、それは本人が自己負担すべきではないかという意見もありうるからである。
また、SROIの倍率が高い原因が、どこから生じているのかがわからなければ、それは改善に有効なツールとも言えないだろう。
いずれにしてもいいケースなので、じっくり研究してみたい。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿