2011年5月30日月曜日

従来型CRMとソーシャルCRMは一体何が異なるのか?



 従来のCRMとソーシャルCRMは何が違うのか? どういう背景からソーシャルCRMが求められているのか? この問いに明確に答えることは誰にとっても難しいと思う。CRMのゴッドファーザーと言われるPaul Greenbergの「Traditional CRM v. Social CRM: Is There a Difference?」をもとに、この問いを考えてみたい

 まずは従来のCRMの評価。CRMはビジネスのオペレーショナルな面とトランザクションの面ではビジネスの要求に応えてきたとプラスの評価。しかし、環境変化によってCRMに新しい側面が求められるようになってきたとの認識。

従来のCRMの機能、特徴
・カスタマーとの接点となる部署、セールス、マーケティング、カスタマーサポート中心
・セールス販売がドライバーとなり、セールスの自動化、見える化
・コンタクトマネジメント、パイプラインマネジメント

新しい変化
コミュニケーション革命が起こり、インタラクションの仕方が変わった。当然、ビジネスのインタラクションも変わった
統計1 自分が知らない人の意見の信用する割合 2003年22%→55%
統計2 ソーシャルネットワーク利用者66.8%>email利用者65.1%
→ソーシャルカスタマーの台頭

企業とカスタマーとのコンタクトチャネルが、一方向型のクローズなものから、オープンなネットワークが中心に→メッセージの一貫性よりも透明性と信頼性が重要に

ソーシャルCRMはこのような変化への対応

その結果
カスタマーを企業がマネージする考え方から、カスタマーのエンゲージメントをどう高めるかが重要になってきている

従来CRMとソーシャルCRMの比較
・ソーシャルCRMは従来のCRMの延長であり代替ではない。重要な要素は残している。ただし、カスタマーが主役になったことを認識が必要。
・CRMの目的はカスタマーとの関係のマネージメントからエンゲージメント構築に移っている(カスタマーを単なる販売対象だけでなく、コラボ、パートナーとしての位置づける)
・トランザクションがベース→インタラクションがベース
・新しいビジネスモデルが必要になった。従来の戦略はよりよい製品サービスを提供すること。CRMはセールス販売が起動となりトランザクションにフォーカスするもの。新しいビジネスモデルはインタラクションが起動となり、カスタマーサービスがソーシャルCRMの重要な柱となる。
・よりよい製品サービスをつくることから、サービス、ツール、カスタマー経験のアグリゲーターとなり、カスタマーは直接企業とコラボレーションしたり、イノベーションを協同する形となる。

私が考える今後のポイント
・企業とカスタマーとの関係がトランザクションベースからインタラクションベースに移行するにあたって、どういうデータ、情報をもとにCRMを組み立てるかが考え直す必要がある。購買履歴からインタラクション履歴、個別のカスタマーとのコンテクストを判別し意味あるインタラクションをリアルタイムにサポートするシステムが求められる。

・ カスタマーとの関係構築からエンゲージメントが重要となり、エンゲージメントをどう測定するのか?どうエンゲージメントを高めるのか?が重要となる。

・ これまでのCRM、マーケティングがよりターゲティングされた企業メッセージを送ることに主眼があったが、企業とカスタマーの両方に意味のある対話を生み出すことに移っていくか?という視点を取り入れる必要がある。この場合のメディアとしてはやはり一方向型のemailではなく、双方向性リアルタイムメディアが主流ツールになっていくのではないか?

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