2012年10月9日火曜日

競争優位のCSR戦略の実現の道は遠い?

 ポーターのHBRに掲載された「競争優位のCSR戦略」の論文を読みかえしてみた。この論文は2006年度マッキンゼー賞受賞論文であり、かなり前の論文になる。

 主旨は、受動的CSRから戦略的CSRの転換を説いた、CSR業界にエポックとなった論文である。CSRを企業の競争優位獲得の手段と位置づけた点がポーターらしいユニークな視点である。

 この論文が、その後にポーターがHBRに提示した論文、「共通価値の戦略 経済的価値と社会的価値を同時に実現する」の前段階にあたるものである。

 しかしながら、残念ながら、この論文も含めて、ポーターの主旨がよく理解されているとは言えないのではないだろうか?

簡単にまとめると以下の図のようになる。 

        図表 受動的CSR VS 戦略的CSR

 振り返ってみると、日本企業で、この受動的CSRから戦略的CSRのシフトできた企業はどの程度あるだろうか?

このシフトをするには企業には何が必要か? 

一つは、CSRの見える化、CSRの投資対効果の算出ではないかと考える。CSRの投資対効果を数値化できない限りは、経営陣の交代、景気が悪化によって、すぐにCSRの方向性が変わったり、支出が削減される恐れがあり、戦略的CSRとはなり得ないからである。

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