2014年2月4日火曜日

広告代理店とSIR社の比較


大きな広告代理店と当社(ソーシャルインパクト・リサーチ社)を比較するのもおこがましいかもしれないが

広告代理店の資産は
媒体、クリエイティブ、クライアント、クライアントとのつながり、リーチ、アテンション、コンテンツ

当社の資産は
インパクト評価、社会的価値の算出、社会的価値を企業価値に転換する方法論、ビジネスモデル立案、ステークホルダーの価値、コンテクスト

この2つの資産をかけあわせると

広告代理店×ソーシャルインパクト・リサーチ→何を生み出すことができるか???

単純化すると、
コンテンツ×コンテクスより大きな意識・行動変容を生み出す可能性
というかけ算が成り立つ可能性がある。

現在はコンテンツの時代と言われるが、本当はコンテクストによって、人と人とのつながりによって、情報の取捨選択がおこなわれるので、コンテクストの重要性がより高まっているからだ。

CSVマトリクスによる分析



昨日、広告代理店の方との議論の中で、

  CSVマトリクス(縦軸:経済的価値、横軸:社会的価値)をプロットしたもので、例えば、ソーシャルゲーム系の会社はある時期、非常に高い事業価値を提供した、しかしながら、社会的価値は低いものだった。

そこにとどまっていては何故ダメなのですか?という質問があった。



現実をみてみよう。
 ソーシャルゲーム系の会社は一時は我が春を謳歌した。第2象限(高い経済的価値:低い社会的価値)。しかしながら、未成年の高額請求問題やコンプガチャの修正により、第3象限(低い経済的価値、社会的価値は改善)にリポジショニングを迫られることになった。

 つまり、高い経済的価値、低い社会的価値のセットは長期的には持続可能ではないのである。確率的には、社会的価値を改善しない限りは高い経済的価値を維持するのは難しくなる。

 今後、このCSVランキングを日本の時価総額上位100社ぐらいでレーテイングしてみたい。

2014年2月3日月曜日

インパクト評価は通貨になりうるか?


ソーシャルセクターでインパクト評価、例えばSROIによって、プロジェクトや事業の価値を客観的に示すことができるのではないかという期待感が高まりつつある。

いわば、インパクト評価が通貨になるのではないかという期待である。

通貨になる条件は、誰もが同じような価値として受け取ることができることである。その結果として、流通性が生まれる。

しかしながら、私はインパクト評価に対する過度の期待は大きな失望のもとになるのではないかと懸念する。

現状は、中途半端な、自己目的的なインパクト評価が横行し、数字が一人歩きし、 逆に、SROIやインパクト評価の信頼性が失われるリスクの方が高いように思われる。

プラス面
NPOや企業CSRの社会的価値評価が普及する

マイナス面
数字の1人歩き
逆に、SROIの信頼性が失われる

第三者評価によって客観性を担保しようとして、上から目線で価値の代理変数を設定しても、そのプロジェクト関係者からの共感は得られないだろう。

そのプロジェクトのインパクトは何か? 社会的な価値が本来何を意味するのかを、やはり関係者を含めて議論することからスタートするべきだろうと思う。


2014年1月31日金曜日

これまでのCSRの方向性:インパクト投資


今後、日本企業のCSRはどのように変わるべきか?

 私の持論はこれからのCSRはインパクト投資になるという考え。

 当然、投資であるから、投資資金を上回るリターンで回収されるべきで、投資対効果を測る必要性がある。ただし、ビジネスの投資と違う点は、社会への便益もリターンに含まれるという点だ。

大まかなフレームワークは以下のようになる。

CSVを目指そうと考える企業は多いが、目標をアウトカム、インパクトに設定し、効果測定をおこなえている企業はほとんどないのが現状だ。この点が大きな課題になるだろう。

質問形式に直すと、

  1. 自社のCSRは事業性と社会性はどの程度両立できていますか?
  2. CSRの目標設定はインプットやアウトプットではなく、社会への価値、アウトカム、インパクトレベルに設定されていますか?
  3. CSRの取り組む課題は社会のニーズと自社のコンピタンス、強みの両方を考慮して決めていますか?
  4. CSR活動で、お金以外の、人材、自社の強み、信用力、ネットワークなどをどの程度提供していますか?
  5. CSR予算の決定は、取り組む社会課題を考慮して、単年度ではなく、中長期的に決定されていますか? また、裁量的にCSRのテーマや予算を決めるのではなく、戦略的コミットメントがなされていますか?
  6. CSRの支出金額の規模は会社規模、利益の増減によって決めるのではなく、自社が生み出す社会的インパクトの大きさによって決めていますか?
  7. CSRの効果測定は事後的で曖昧に決めるのではなく、事前にインパクトレベルの目標設定とインパクト評価の瀬系をして、投資対効果を明確に測定していますか?
この7つの質問に答えることで、CSRをインパクト投資というパラダイムにシフトしていくことが可能となる。




2014年1月30日木曜日

ビジネスモデル VS ソーシャルビジネスモデル



 ビジネスモデルは1つの企業がどうやって利益を生み出すかを示たものである。経済的価値、株主にどれくらい利益を生み出せるかが評価基準となる。

 これに対して、ソーシャルビジネスモデルは、多数のステークホルダーが恊働して、どうやって価値(利益だけではない)を生み出すかを示すものである。この評価基準はトリプルボトムライン(経済的価値、社会的価値、環境価値)。このモデルには、関係するステークホルダー、その機能、価値の換算値、成果指標、価値を生み出すフロー図などが入る。

このソーシャルビジネスモデルは様々なものに応用可能である。これについてはまた今後説明したい。