2010年9月7日火曜日

日本経済のソーシャル化、信頼ネットワーク

信頼資本財団が面白い試みをしている。熊野理事長の考え方はラディカルで刺激的だ。ソーシャルの本質を理解する上で非常に役立つ。

 社会的企業に対して無担保・無利子で300万円を上限に融資する。その際に、融資を受ける人は「信頼責任制」といって自分の知り合いを3人紹介する。この人たちは融資を返済する法律的な義務は負わない。あくまで、「信頼できる人の輪作り」と「信頼の可視化」を目的としたものなのである。また、融資を受ける人は知恵の提供を義務づけられ、データーベース化され原則公開される。

 数値化も言語化もできない無形の信頼という価値が、有形の貨幣価値を生み出すもとになるというのが考え方のベースである。

 ただし、融資期間は25ヶ月。信頼が貨幣価値に転換していく期間としては短かすぎる嫌いはある。また、初期投資を必要とするビジネスにも融資なのでそぐわない面もある。
しかしながら、社会的企業への融資の第一歩の試みとしては評価できよう。

 信頼が貨幣価値を生み出すベース。日本経済という貨幣価値の転換物が不調に陥っていることは、逆にみると、日本の様々な関係の信頼関係が傷ついていることを意味している。会社と従業員の信頼関係、投資家と会社の信頼関係、会社とその取引先の信頼関係など。

 日本経済(貨幣的価値を高める)が再生するには目に見えない信頼というネットワークをもう一度結び直す必要があるのだろう。逆説的だが、信頼は利己的行動ではなく利他的な行動によって生み出されるということがヒントとなる。

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