ここ数ヶ月、ビジネスモデルやビジネスモデルイノベーション(BMI)に関する書籍や記事が急激に増えている。
まさに、時代の変化、環境の変化によって、日本企業の既存のビジネスモデルが成立しなくなり、ビジネスモデルのイノベーションが必要とされていることを反映している。
ビジネスモデルの定義は様々あるが、一言で言うと、儲かる仕組みのことである。私は、「あなたの事業は儲かるのか?」という問いに対して、質問者を納得させるストーリーを提供するもの、と定義している。
ビジネスが成立するには、収益がコストを上回ることが必要である。どのようにすればそれが達成できるかを、抽象レベルで、どのレベルの抽象化が実際のビジネスに役立つかを考えるのがビジネスモデル思考と言える。
さて、ビジネスモデルのフレームワークは、新しいビジネスを生み出すのにどのくらい役立つものなのか?
この問いには実は私は否定的だ。既存ビジネスを何故儲かっているかの分析にはビジネスモデルのフレームワークは役立つものだが、新しいビジネスを生み出す力は単独でビジネスモデルのツールを用いても、その効果は限定的ではないかと考えている。
また、ビジネスモデルの整理に役立つフレームワークと、ビジネスモデルを創造するフレームワークは異なるのではないか? と考えている。
例えば、ビジネスモデルキャンバスはビジネスモデルを整理するには非常に優れた方法論だが、いきなり、新規事業をこのビジネスモデルキャンバスからスタートしても、おそらくいいビジネスプランは作れないのではないか?
なぜなら、新しいビジネスの創造、アイデア創造には、拡散→収束のプロセスが必要になるからだ。ビジネスモデルキャンバスは、収束プロセスに属し、拡散プロセスが欠けている。
この拡散プロセスを補完するのが、アナロジー思考である。日本でも、KJ法、NM法、ブレインストーミング等が使われている。デザイン思考や現場の観察なども広い意味ではアナロジー思考に属するものだ。私はメタフォームという手法をよく使っている。
まとめると、新しいビジネスを考えるには思考の拡散と収束の2つのプロセスを螺旋的に組み合わせる必要があり、ビジネスモデル思考は後者(収束プロセス)に属すること。思考の拡散を促す思考方法で、ビジネスモデル思考を補完する必要があること、以上を認識しておく必要がある。
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