原丈人さんは日本を代表するベンチャーキャピタリストだが、数年前から、これまでの資本主義の欠陥を指摘し、新しい公益資本主義を提唱している。公益資本主義の条件として以下の3つの条件を挙げている。
1つ目は、富の分配の公平性。企業CEOと労働者の賃金格差があまりに開きすぎるのはおかしいという観点である。
2つ目は、企業の継続性。様々な企業の危機に対応するだけの内部留保をしっかり持つ必要性があるという観点である。
3つ目は、改良改善性。イノベーションによる製品開発、品質向上、生産工程の改善を図る必要があるという観点である。
私はソーシャルイノベーションの重要性を強調する。資本主義3.0時代の企業の目的関数は、経済的価値のみならず社会的な価値を高めることになると考えている。
原丈人さんの主張はと私の主張は、どう整合的に整理されるのだろうか?
原さんはマクロ観点、私はミクロ観点からアプローチしている。
いわば、ミクロ、短期が実現されることで、マクロ、長期が実現されるという関係になる。
そのミクロとマクロ、短期と長期を結ぶカギは企業ソーシャルキャピタル、ステークホルダーからの信頼、好感度、関係性である。この企業ソーシャルキャピタルは成功をもたらす前提条件であるとともに、成功の結果になる。こういう変数をなんと定義したらいいのかわからないが、好循環を生み出すレバレッジポイントと言えるのだ。
企業ソーシャルキャピタルを高めることが、企業のソーシャルイノベーション、経済的価値と社会的価値を大幅に高めることを可能とする。その結果、ステークホルダー間は、短期的視点、対立、トレードオフから、長期的視点、協調、トレードオンに変わる。
その結果、マクロ的には、富の分配の公平性が実現され、内部留保も高まり、改良改善性も高まる、パレート最適性を実現できるのだ。
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