共通価値のプライシング
HBR(2012年8月)で「共通価値のプライシング」という論文があり、興味をそそられて読んでみた。設定テーマは面白いが、私からするとポイントを外している。
共通価値とは、マイケルポーターが主張する、経済的価値と社会的価値の両方を高めることを意味している。
ポイントは、経済的価値の最大化であるならば、従来の経済学が教えているように、限界収益と限界用が一致するポイントで価格を決定するのが最適価格になる。では、経済価値だけでなく社会的価値を考慮すると、そのプライシングはどう変わるのか? ということである。
この問題は、最高頭脳の人間をしてもそんなに簡単に解けるものではないが、いくつか考えてみよう。
最近、ケアプロの川添社長の話を聞く機会があった。500円というプライシングは正しいのか? おそらく経済的価値だけを考えると正しくはないだろう。しかしながら、ケアプロが提供する価値として、経済的価値と社会的価値を考えるならばどうだろうか?
経済的価値:事業収入(500円×健診を受けた人数)
社会的価値:予防価値+医療費削減価値
後者の社会的価値を高めるには、なるべく多くの人に健診を受けてもうらう必要があり、その意味で500円という安価なプライシングは社会的価値を考慮したプラシングになっている、と言える。
v他にも、ピークロードプライシングも一面では社会的価値を考慮したプライシングと言えるであろう。プークロードプライシングは、需要のピーク時には価格を高くして需要を抑え、そうでない時には価格は安くして需要を促す二重価格体系のことである。電力などの公益事業の分野に多くみられる。
ソーシャルゲーム等のフリーミアムのプラシングはどうか? 通常のユーザーを無料として、アイテム等の購入を有料にするプライシング方法である。これも、通常のユーザーが無料で参加することで、他のユーザーに対する正の外部性を発生されることを狙ったものである。たくさんの人との交流価値を取り込むために無料にしているのである。
利用者ごとにプライスを変える差別価格も、社会的価値の取り込みに有効なケースがある。フローレンスは一人親支援ということで通常の価格を下げて、かつその費用を寄付を募っている。薬の価格を途上国と先進国でプライスを変える例もある。
今後、まだまだこの共有価値を最大化するためのプライシングは研究の余地がある。
ポイントは、その価格で誰のどのような最適行動を促したいのかがポイントになる。
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