2012年10月15日月曜日

マイケルポーターのCSV戦略の結末は如何に?

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  マイケルポーターのCSV戦略が注目されるにつれて、経営学者は以下のような問題を提起する。

「果たして、マイケルポーターのCSV戦略によって、企業の持続性競争優位は強化されるかどうか?」「社会的価値を高めることは企業にとって目的なのか? それとも、利益を増やすための手段に過ぎないのか?」

 ポーターのCSV戦略は「経済的価値と社会的価値を統合していく戦略」と定義される。単純化すると、これまで企業は「株主価値の最大化」、経済的価値のみを目的関数としてきたが、株主以外のステークホルダーに与える影響、つまり社会的価値も、企業の目的関数に含めることを意味する。これは、一言で言うと、「外部性を内部化する」ということだ。

 当然、このCSV戦略は、制約条件を増やすことになるので、企業にとって外部性の内部化は直接的にコストを増やすことになることも多く、利益に対しては当初は直接的にはマイナスのことが多いだろう。

企業が直面するデシジョンツリーを想定してみよう。


その外部性の内部化によるコスト増、制約増にどう対応できるかは大きくは3つのケースに分けられる。

ケース1) 
うまくビジネスモデルイノベーションでその制約を上回るパフォーマンスを達成できるケース(ユニリーバ、P&G、コカコーラ、Novo Nordisk等ごく一部の成功例)

ケース2)
 当初のマイナスを企業努力によってほぼ回復できるケース

ケース3) 
当初のマイナスを回復できないケース

 ここで当初の問題設定に戻ると、結論は会社によるということになる。ただし、現在のところ、CSV戦略の成功例は、ユニリーバ、P&G、コカコーラ、Novo Nordisk等ごく一部だけだ。 

 外部性を内部化しないことによる評判のマイナスが大きいと考える企業ほど、外部性を内部化する戦略をとる確率が高まるだろう。

 注意すべき点は、外部性を内部化するかどうかは企業の意思によって決まるデシジョン、ビジネスモデルイノベーションが成功するかどうかと、企業ソーシャルキャピタルを失うかどうかは企業の意思では決めることができない確率であることである。


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