株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ代表パートナー。慶応大学大学院(KBS)卒。早稲田大学院環境エネルギー研究学科博士課程在籍中。証券アナリスト。持続可能な社会の実現のために、ソーシャルインパクトの評価測定、そしてソーシャルインパクトをお金にかえる仕組みを提案。ソーシャルインパクトの評価測定、インパクトファンドの運営等を事業としておこなう。Twittier:kumataku1
2011年3月27日日曜日
ソーシャルメディア時代の「外部性を内部化する戦略」とは?
ハーバードビジネスレビュー4月号に「21世紀の経営にもとめられること 外部化を内部化する時代」という論文が載っている。正直、なぜ〈ソーシャルメディア特集〉にこの論文が入るのか位置づけがよくわからなかった。英語の論文は、Leadership in the Age of Transparency.訳者が題名もかなり意訳している。
どう概念を結びつけるか?が悩ましい。外部性、内部化、ソーシャルメディア、透明性の時代、リーダーシップ。
まず外部性という概念。経済学でよく使われるのが環境汚染など負の外部性の話。外部性が生じると市場メカニズムでは最適性を確保できない(市場の失敗)ので、法律、規制などで対処する。ただし、規制も、規制の失敗が生じるが・・・
透明性の時代になり、外部(負の外部性が生じる)でおこなったことを組織はそのままにしておくことができなくなる。責任ある組織はその外部性を内部化(組織内の倫理、対応)によって対処しようとする。ドラッカーも〈意図したかしないかにかかわらず、我々はみずからが及ぼす影響に対して責任がある〉と喝破している。今の日本にまさにタイムリーな話ですね。
では、負の外部性ではなく、正の外部性が生じたらどうなるか?を思考実験してみる。
負の外部性が生じる場合→市場メカニズムでは過剰生産→規制、法律で対処
正の外部性が生じる場合→市場メカニズムでは過小生産→・・・
発想を転換してソーシャルメディアのプロジェクトがうまくいくとはどういうことか想像してみよう。
製品の口コミがたくさんされて、組織がお金をかけなくても認知が高まり、たくさんの集客できて、売上がどんどん増える・・・
これはまさに、需要面において正の外部性が生じていると考えることができるだろう。
ユーチューブ動画〈混ざるかな〉でiPhoneなど様々なものを自社製ミキサーで粉々にする動画で有名になったブレンドテック社は3年間で7倍の売上になった。これも、正の外部性が生じたケースと言えよう。
つまり、うまくいくソーシャルメディアのプロジェクトは、
①正の外部性が生じる+②その外部性を内部(組織)に取り入れることができる、①+②と定義できるだろう。
顧客という外部(市場)を組織という内部にどう取り入れるか、これが外部性を内部化するということである。
正の外部性を生じるさせる方法は、
共感(コンテンツ共有)
共創(場の共有)
共有(アーキテクチャー共有)などの方法が考えられる。
上記の関係をみても、負の外部性と正の外部性は全く正反対。負の外部性を生じさせ、それを内部化しない原発、東京電力という組織と、正の外部性を生じさせそれを内部化するソーシャルメディアとは正に相反する関係にある。この2つの相性が最悪なのは決して偶然ではない
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