東洋経済が毎年おこなってきた「環境報告書賞・サステナビリティ報告書賞」が今年から「休止」となった。環境やサステナビリティの取り組みをアンケート調査で評価するのに無理があることは最初からわかりきっている。
今回は サステナビリティをどう評価すべきかを考えてみたい。
そもそもサステナビリティとは何か?
サステナビリティは「将来の世代が自らのニーズを充足する能力を損なうことなく、現在のニーズを満たすような発展」と定義される。簡単に言えば、今もハッピー、将来もハッピーな発展、成長を実現することである。
図で示すと以下のようになる(植田教授資料より引用)。
上図はサステナブル(持続可能な状態)と考えられるが、下図は減耗分だけ資産ストックの総量と制度が減少しており、持続可能な状態ではない。この状態がずっと続くと資産ストックはなくなってしまい、何も生み出すことができなくなるからだ。
ソーシャルインパクトリサーチでは、営業利益と企業ソーシャルキャピタルという2つの軸で、企業のサステナビリティ(持続可能性)を評価する手法を開発している。これが、上記の説明では、現世代のニーズと資産ストックにそれぞれ対応するものである。
実は、このサステナビリティはソーシャルイノベーション力と読みかえることもできる。今や、サステナブルな成長をすることは容易なことでなく、そのためにソーシャルイノベーションが必要とされるからだ。P&Gのサステナブル報告書でもこの点が鋭く指摘されているので参考にされたい。http://jp.pg.com/sustainability/message.jsp
下図は、VOLANSの資料だが、時代とともに、コンプライアンスからCSRへ、そして、今やCSRからソーシャルイノベーションに移行していることを示している。
ソーシャルインパクトリサーチでは、企業ソーシャルキャピタルの増分(△)と営業利益の増分(△)の比率を「ソーシャルイノベーション指数」と定義している。この指標は、ステークホルダーからの信頼から利益を生み出す力を示しており、まさにソーシャルイノベーション力の代理指標となりうるからだ。
サステナビリティの取り組みやソーシャルイノベーションをアンケートで測ろうとする恣意的な調査は意味がなく、納得感も得られない、ナンセンスなものなので、今すぐ早く止めた方がいい。もっと、客観的な評価手法、指標が既に開発されているからだ。
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