原丈人さんは公益資本主義を3つの条件、即ち「富の分配の効率性」、「企業の継続性」、「改良改善性」で定義している。この3つの条件は、マクロ的な観点の捉え方である。私が主張する、ソーシャルイノベーション、即ち、企業の目的関数を「経済的便益と社会的便益の両方にすること」はミクロ的な観点からの捉え方である。
富の分配の効率性と企業ソーシャルイノベーション
原さんは大企業CEOと一般社員の賃金格差を例に挙げている。これはステークホルダー間の分配の公平性、効率性に関する議論である。企業のソーシャルイノベーションにより、経済的便益と社会的便益が高まること、すなわちステークホルダーの分配可能なパイを増やすことにより、富の分配の効率性は高まることが予想される。
「企業の継続性」と企業ソーシャルイノベーション
内部留保の増やすことはROEを下げるので株主には短期的にはマイナスであるが、他のステークホルダーにはプラスになりうる。企業のソーシャルイノベーションにより、経済的便益と社会的便益を高めることは、広い意味で企業の継続性、サステナビリティを高める。ただし、短期的に損を被る株主を納得させるには、短期の損が長期的には得になるという期待や、ステークホルダーからの信頼が必要となる。
「改良改善性」と企業ソーシャルイノベーション
改良改善による製品開発、品質向上、生産工程の改善、さらには「安心安全を維持する要素など」を含む。これは、まさに企業ソーシャルイノベーションそのものである。株主に対する経済的便益を追求するとともに、他のステークホルダーの社会的便益も同時に高めることがソーシャルイノベーションだからである。
観点を変えると、
企業が目的関数をソーシャルイノベーション、経済的便益と社会的便益をともに高めることは、公益資本主義の必要条件であり、原さんの主張される、3つの条件は、十分条件と考えることができます。
したがって、私の企業ソーシャルキャピタルをもとにしたソーシャルイノベーションの大きい会社を、さらに、原さんの3つの公益資本主義の条件で選択することで、公益資本主義の企業群を選定できると思います。
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