公益資本主義の指標作りをしていることもあり、
「株式市場に公益性があるかどうか?」は私にとっては重要テーマである。
ある企業A社が儲けは非常に大きいが、社会的にはマイナスとなる負の外部性をもつ事業をおこなっていたとしよう。
投資家はこのA社に投資するか? それともしないか?
普通は、投資家は、儲けの大きい企業、プロジェクトに投資するだろう。ROEや時価総額をベンチマーク、評価軸に投資する投資家にとっては、公益性は考慮することができず、A社は非常にいい会社であり、投資するのが得になる。
どのようなケースで、A社のような企業への投資が抑制するメカニズムが生まれるか?
株式市場に公益性が考慮されるルートとしては、4つ考えられる。
1つ目は新しい公益性を考慮した評価指標で投資家が投資するケースである。ソーシャルインパクト・リサーチ社も、投資家の意思決定の基準を変えられないかということで、新しい指標、ソーシャルインパクト指数を作った。
2つ目は、投資家の評判効果である。A社のような企業に投資していたことが、投資家としての品格を疑われ、評判を落とすケースがある。
3つ目は、規制である。公益性を損なう社会の認識が広がる→規制がかけられる→A社の収益性が落ちる見通し→投資家が離れる、とういう流れがある。
ソーシャルゲームは非常に儲かるということで投資家が殺到して株価もあがったが、コンプチャ問題など社会問題化、規制強化の観測が出ると、ソーシャルゲームの株価は大幅に下落した。例えばグリーの株価は半年で約48%下落した。
ただし、公益性の認識が広まる時間、規制のタイムラグなどを考えると、中長期的には、負の外部性を抑制する規制がなされたとしても、その前に売れ抜けてしまえば、投資家はまる儲けになる可能性は高い。投資家の平均投資期間の短さを考えても、フリーライダーは十分に可能だ。
4つ目は、企業の所有と経営の分離が進んでいるが、これを再統合する手もある。この方がフリーライダーは抑制される。ただこれは重要な問題を提起する。今後、ますます公益性を考慮する投資がますます求められると、企業は上場をしないで非上場にいることが望ましいかもしれないということ意味する。事実、その流れは一部で既に生まれているのだ。
経営側から投資側への統合は、非上場化によるバイアウトだ。
投資側から経営側に統合する手としてはクラウドファンディングのようなP2P型ファイナンスがある。志あるお金を直接、企業、プロジェクトに投資することによって、公益性を考慮した投資の道が開かれる。
ちなみに、今の私は、新しい評価指標に基づいた投資が中長期的には儲けにつながることを実証することによって、公益性に基づく投資を促進できるというスタンスをとっている。この結果については後日報告していきたい。
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