2012年9月28日金曜日

ROEを高めることの「社会的コスト」


 ROEの問題点を考えている過程で、ROEを高めることによる「社会的なコスト」という考え方にたどり着きました。これは、現代ファイナンス理論では無視されてきた部分でもあり、今日の資本主義を改めて考える上で重要な概念になるのではないかと考えています。

 例えば、企業は負債レバレッジを高めることでROEを簡単に高めることができます。負債を増やすメリットは負債による節税効果が働くことです。反対に、負債レバレッジを高めるデメリットは、直接的、間接的な倒産コストを高めることです。例えば、倒産コストが高まった場合、メンテナンスやサービスの質が低下することで、顧客がデメリットが生じることがあります。

 現代ファイナンス理論では、この2つのメリットとデメリットを比較して、ぎりぎりまで負債比率を高めることが企業価値を最大化すると教えています。

しかしながら、負債による節税効は株主がフルにそのメリットを享受できます。これに対して、コスト負担は一部を株主が負担するだけです。つまり、実は、ここに外部性が生じているのです。

 つまり、ROEを高めるために負債比率を高めることで、株主以外が負担する「社会的なコスト」の発生があります。まず、負債による節税効果は、政府の税金が減ることによる社会的コストが生じています。また、倒産コストは株主が一部を負担しますが、他のステークホルダーが負担するコストもあります。

簡略化すると、
株主にとっては、以下のような損のない賭けゲームになります。

ケース1 負債を高める→ROEを高めることに成功→成功した場合は株主が全てのメリットを得る
ケース2 負債を高める→失敗し倒産する→失敗したコストの一部を株主が負担

この社会的コストが実は無視できない大きなコストになっている場合、ROEを高めることが、リターンは自分が独り占めし、コストを他のステークホルダーに付け回すという構造になります。


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