株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ代表パートナー。慶応大学大学院(KBS)卒。早稲田大学院環境エネルギー研究学科博士課程在籍中。証券アナリスト。持続可能な社会の実現のために、ソーシャルインパクトの評価測定、そしてソーシャルインパクトをお金にかえる仕組みを提案。ソーシャルインパクトの評価測定、インパクトファンドの運営等を事業としておこなう。Twittier:kumataku1
2011年5月2日月曜日
ソーシャルメディアROI 3つのアドヴァイス
米国マーケッターの間では、ソーシャルメディアのリターンをどう計測するのか?、ソーシャルメディアROIがホットトピックスになっている。Katie D. PaineのMeasure What Matters や Olivier Blanchardの Social Media ROIが相次いで出版され、ソーシャルメディア業界の知性が今この分野に注がれている。
第1のアドヴァイスは、ROIのRを明確にすることが挙げられる。
・何を達成しようとしているのか?
・どのようなリターンを求めているのか?
・どのような状態になったら成功と言えるのか、その定義を明確にする?
・また、何をどのように測定していくのか? そのロジックはどうなっているのか?
第2のアドヴァイスは、
ROIとバリューが違うということをはっきり認識することである。
実はこの部分は大半の人が誤解している。マーケティング畑の人はほとんど誤解している点だ。また、この部分の認識が異なることが、議論がかみあわない原因になっている。
ソーシャルメディア活用により、様々なステークホルダーに、様々なバリュー、ベネフィットが生じるがそれがすべてROIに換算されるわけではないのだ。
ROIの特等は、
(期間)期間が示される
(計算単位)金銭的価値に置き換えられるものだけが計算される
(範囲)会社という範囲内に生じたバリューの計算
(計算基準)ポテンシャル部分、条件付き確率は計算に入らない
という4つの特徴があるからだ。
逆に言うと、
(期間)全期間
(計算単位)金銭的価値+非金銭的価値
(範囲) 会社のみならず、社会全体のインパクト
(計算基準)ポテンシャル部分、条件付き確率をBS換算
以上のように修正すれば、ソーシャルメディアに生じたインパクトをより包括的に把握することができるだろう。
ソーシャルメディアで好感度があがってFBファンが増えたことが、直接ROIの上昇につながるわけではない。あくまでその時点でのポテンシャルがあがったということで、それは先行指標であり、かつそれがROIにつながるかどうかはその後に効果的な施策をうつことができるかという条件付き確率を伴うものなのだ。
ソーシャルメディアが生み出した効果(口コミ、好感度、ファン数)はある1時点の無形資産なのだ。お金を費やすことなく無形資産を有むことができるということは、(資産面→+リターン↑)→(ROI、ROAなどのファイナンシャルリターン↑)につながる非常に価値ある資産となりうる。
第3のアドヴァイス
ソーシャルメディアの効果は計りにくい。計ることができないものは無視するのはまったく愚かなのだ。
愛の大きさは計れるか? ダイヤモンドの値段が愛の大きさ?(そうかもしれないし、そうでないかもしれない、贈る側の痛みを換算する上で、少なくも年収の修正はした方がいいかもしれない。) 計れなければないというわけではないのだ。星の王子様ではないが本当に大切なものは目に見えない。ソーシャルメディアの場合は、目に見えにくいバリューをどう掘り当てていくのか、それを見極める知恵が本当の価値ある資産かもしれない。
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