2012年11月7日水曜日

ソーシャルインパクトボンドの本質


  英国に続き、米国においてもソーシャルインパクトボンド(SIB)の発行が予定されている。残念ながら、日本ではまだSIBは発行されたことはない。私は、ここ数年で日本でもSIBが広まっていくのではないかと予想している。

 SIBの本質は一体何だろうか? 

多くの論者は、社会的成果と投資家のリターンを結びつけたことを挙げているが、私はこの点がSIBの本質ではないのではないかと考えている。

私は、SIBの本質は、(社会リターンという)外部性を、(投資家にとっての経済リターンに)内部化する交換・変換するメカニズムにあると考えている。

 例えば、あるプロジェクトに投資するとします。そのプロジェクトは、経済的リターンをX%生み出します。そして、それと同時に、様々な利害関係者に社会的リターンY%も生み出しているとする。

これまでは、投資家は経済的リターンX%だけを分配されてきた。そして、Y%は通常の金融商品では無視されてきたのです。このY%を例えば金銭価値Z%に交換してくれる団体があれば、投資家は、X%+Z%を分配することが可能となるわけです。

 つまり、投資家は、これまでは、投資家が無視してきた外部性、すなわち社会的リターンを内部化することが可能となるのである。

 そのためには、プロジェクトに生じる社会的リターンを経済リターンに交換してくれる交換主体が必要になります。これが、政府だったり、財団であるわけです。

交換によって、ある意味の比較優位が成立することになる。

 このことで、社会的には、経済リターンでは成立しえなかったプロジェクトが、社会的リターンを考慮すると、民間ベースでも成立可能になる可能性を押し広げることになります。

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