2012年11月12日月曜日

公益資本主義の基準


  公益資本主義では3つの条件を想定している。①持続可能性、②公平性、③改良改善性である。

 1つの方向性は、これを具体的な評価基準(KPI)を想定し、公益資本主義の総合指数を作る方向である。

 そして、この指数の値で企業群を分割して、ROEROA、株価パフォーマンスを測定し、総合指数の値が高いほど、財務的数値と株価パフォーマンスが高いことを示すという方向である。この点が明確に示せると、投資家にとっても意味ある指標にすることができる。

 問題点は、具体的なKPIを設定していくと、業種性が強いものが多く、相対的な比較可能性をどこまで確保できるかという問題点がある。

 例えば、改良改善性のKPI1つに、売上高研究開発費を採用した場合、この値は業種、企業によって大きく異なる。バイオ、製薬メーカーは非常に高く、メーカーはそこそこ高く、小売業はほとんど0。これで、改良改善性は製薬メーカーが高く、小売業は低くなってしまう。

 公平性のKPI設定もまた難しいものである。何をもって公平かは国や文化、歴史的経緯などによって異なるもので、公平性は価値判断を伴うものなのである。従業員をレイオフし、コストカットに成功した場合、経営陣が高額報酬をとることは公平か、公平でないか? 日本では公平ではないという人が圧倒的に多いが、米国だとそれほどでもない。

 また、3つの基準をどう統合指数に変化するか、そのロジックも考える必要がある。それぞれ同じウェーとにすべきか? 加重を加えるべきか? 

 この統合指数は一体何を意味しているのだろうか? ROEとはどういう関係になっているのだろうか? 経済的価値の数値なのか? 社会的価値の値なのか? それらを統合した共通価値の指標として捉えることができるのかどうか?

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