2012年11月11日日曜日

公益資本主義の前提(1)



 公益資本主義を考えている際に、いくつか気づいたことがある。

 公益資本主義が必要であると主張する前提となる事実(データ)は必ずしも明確、明瞭なものではない。

 まず、用いられているデータは古いものか、ほとんど全てが米国からのデータであり、日本の最新データを用いたものはない。ジェームズブルナー博士がどっかからかとってきたものがベースになっている。それをもって、日本に公益資本主義が必要とされているというロジックを構築するのはやや無理があるように思えなくもない。

以下が用いられているデータとその要点
  1. 株式発行の推移 新規発行から自社株買いを引いた純増→マイナスになっている
  2. CEO報酬の推移→拡大している
  3. 国民税引収入総額に上位1%が占めるシェア→拡大している(つまり、格差が広がっている)
  4. 米国経済の法人利益に占める金融業の割合→拡大している
 これらのデータ、事実(らしきもの)を組み合わせることで、経済がゼロサムになっていることを示そうとしているようだ。
 
ゼロサム自体はコンセプチュアルな概念なので、現実がそのような状態に陥っていると証明するのが難しい。よって、上記のようなデータを組み合わせる示し方をしたのだろう。

 果たして、上記のデータを持ってきたとしても、日本で同じ傾向がみられるのかどうかはわからない。

 日本は米国とは違い、ファンドなどの金融株主の力は強くないし、市場でも限界的なプレーヤーでしかない。アクティビストの代表格であるスティール・パートナーズも日本の株式市場には全く愛想を尽かして、日本市場からは事実上撤退してしまった。

 米国の状況、ファンドの力が強い、そのため、ゼロサムに陥っている。プラスサムにするたために、公益資本主義が必要というロジックを組み立てるのはやや無理がある。この点を踏まえて、どう修正すべきなのかを考えてみたい。

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