2012年11月13日火曜日

CSV経営をどう捉えるべきか?


 CSV(共有価値の創造)に関する論文を書こうとしていらっしゃる方がいらっしゃって、当社としても協力することにしました。我々もこの分野で新しいフレームワークを作りたいと考えていますから。

まず、Creating shared valueをハーバードビジネスレビューの訳者は「共通価値」と訳しているのですが、これは共有価値が正しいでしょう。共通価値なら英語でsharedを使わないでcommonを使ったはずですから。この最初の第一歩から、日本で共有価値は誤解されてしまっています。

そもそも、CSVが何故面白いのか? 注目されるのか?を考えてみたいと思います。

 もともとは企業にとって社会貢献というのが自社の活動の免罪符のように使われてきました。これに対して、ポーターはそれではダメだ、CSVは自社の本業にプラスにする、競争優位を獲得するためにCSR、社会貢献活動を位置づけ直すのだと、はっきりと強くメッセージを発した点です。この辺りは、第一人者のポーターだからこそ許されると言えなくもありません。

 では、具合的にどういう方法論、フレームワークかというと、これはポーターも含めて模索段階と言えるでしょう。


 そもそも、共有価値(経済的価値+社会的価値)をどのように評価、測定するかが明確になっているわけでもありません。最近、FSGが出した、Measuring social impactとうレポートが出ましたが、測定の方法をいろいろと比較はしているのですが、以前としてポーターがどうやって共通価値を測定するかの具体的な方法論は明確にはなっていません。

 もう一方、この共通価値を理解する上では、企業が外部性を内部化する必要性が急速に強まったというトレンドを頭に入れておく必要があると思います。外部性というのは言葉を言い換えると、利害関係者の社会的価値になります。この文脈から、サステナビリティ領域にも非常に関係が深くなります。

  これまで負のコストとして無視してきた外部性を、いかに宝の山にしていくかという点が企業に求められており、ここにソーシャルイノベーションが求められます

 ポーターの競争優位理論は、5フォース分析、バリューチェーンなどの道具立てによって支えられてきました。では、共通価値はどうかというと、一つはCollective Impactという道具がコンセプト的には出てきました。社会課題を解決するには様々なプレーヤー(企業、NPO/NGO、国、市民)が協力しなければいけませんね、というある意味で当たり前の考え方です。

今後、
どうやって、最終結果である共通価値を測定するのか?
どのような領域で共通価値を高めることが可能なのか?
共通価値を実現する、共通価値を高めるためにはどう管理すべきなのか?
等が研究されるでしょう。

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