2011年3月21日月曜日

ソーシャルメディア時代のリスクマネジメント(東電の日本最大級の3つの失敗から学べ)

福島原発ではリアルタイムの危機が依然として続いている。企業の危機管理として大変参考になるケースだと思うので、まとめておきたい。



基本的に、危機管理は利害関係者とのコミュニケーションなので、誰に、何を、どのように伝えるかが基本となる。定常時以上に、質の高いコミュニケーションが要求されるのだ。今回の東電では3つの過ちで、この基本がないがしろにされた。


3つの過ち
1 利害関係者をしっかりと特定できていない過ち(誰に)
2 何が利害関係者に価値ある情報か認識できていない過ち(何を)
3 利害関係者に様々なコミュニケーション手段を確保してない過ち(どのように)

1 利害関係者をしっかりと特定できていない過ち

その危機が及ぼす影響、関心の範囲を考えて、利害関係者を特定しておくべきである。日頃から危機に備えて鳥瞰マップを作成しておくべきである。

福島原発付近の住民、日本国民、日本に住む外国籍の住民、政府、保安院、海外メディア、電力を供給する企業、自衛隊、警察・・・

今回
・福岡原発付近の住民に十分な情報提供がなく、被ばくのリスクの説明もなく、不満を募らせている
・海外メディアに対して英語に情報提供が遅れたため、CNN,BBCがその役割を代替している
・ 日本に住む外国籍の住民に対しても情報提供すべきだったが、それがなされなかった。各国は退去、避難指示を独自の判断に基づいて行っている
・ 自衛隊も東電の説明が不足、最後には政府が丸投げすると不満を持っている


2 何が利害関係者に価値ある情報か認識できていない過ち

利害関係者は、意思決定のための情報、自分がどうすればいいかの判断のもととなる情報をもとめているのであって、確定した事実を知りたいわけではない(それでは遅すぎるケースがある)。この部分は政府(枝野官房長官)の誤解もあり、状況を混乱させた(裁判の場合は事実ベースが重要だが、危機の場合は意思決定に役立つ情報が価値ある情報となる)
放射能被ばくの可能性、その危険度などをわかりやすく示すべきである。

3 利害関係者に様々なコミュニケーション手段を確保していない過ち

危機には、速報性を正確性よりも重視すべきで、リアルタイムの情報提供がなされるべきである。ソーシャルメディアをもっと活用すべきである。質問に対して誠実、かつオープンに答えるべきである。対話、ダイアログを重視する姿勢が必要である。東電はようやくTwitterをスタート(遅すぎる!)そのくせ、計画停電はHPで公表する傲慢さ!今の時代は企業にこれまでとは比較にならない「ハイパーな透明性」が求められる時代である。ウソ、情報操作していると思われ、コンテクスト作りに失敗すると、コミュニケーションの質は著しく低下する。

企業はリスクマネジメントにおいて、東電が犯した日本最大級の失敗(3つの過ち)から学ぶことができるはずだ。

2 件のコメント:

  1. なるほど。
    解りやすく整理されてます。

    三浦 基

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  2. 後付では何とでも言える。利害関係なんぞ刻々と変わるもの。

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