2011年4月23日土曜日

ソーシャルメディア不況のメカニズムについて


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今回はインタビュー形式でお送りします。

(質問)ソーシャルメディア普及が不況をもたらすと主張されていいますね。どういうきっかけでそのようなお考えをもつようになったのですか?

(熊沢)2001年にインターネット不況を予言した本が出版されたんです。インターネット普及によって景気循環もなくなったんじゃないかという楽観論がまかり通っていましたから、大変に注目されました。結果はどうだったか? 予想通り、ドットコムバブルが崩壊して、VCも大損して、IT不況が起こったんです。ただ、物語は半分しか真実ではありませんでした。ネットベンチャーでその後、大きく成長した企業もたくさん出てきたからです。日本でも、楽天、サイバーエージェント、ネット証券なども大きく成長しましたね。

現在、ソーシャルメディア普及によってバラ色の未来を予想する人も多いんですが、結果からすると、同じように、ソーシャルメディアが契機となった一時的な不況が起こる可能性は高いとみています。

(質問)それは、どのようなメカニズムなんでしょうか?

(熊沢)新しいテクノロジーの普及は単に技術の世界だけではなく、社会とか、文化とか、働き方とか、価値観まで、いろいろな分野に影響を与えるんです。その影響がある意味での資源の不均衡を必ずもたらすんです。その不均衡が不況の直接的な原因になります。

(質問)もう少し具体的にはどういうことでしょうか?

(熊沢)現在、ソーシャルメディア普及がもたらしたソーシャル化があらゆる産業に影響を与えつつあります。ある商品を買う際に他人の評価やコメントを参考にしたり、自分の友達のつぶやきを購買の参考にしたり。この情報の民主化は相対的には生活者や消費者へのパワーシフトをもたらしています。企業に比べて圧倒的に消費者生活者が有利に賢くなっています。大企業でも1消費者に振り回されちゃうんです。

例えば、ゲーム産業で任天堂などのパッケージゲームが全然売れなくなっています。みんなソーシャルゲームで遊ぶからです。お財布の奪い合いというよりも、パッケージで遊ぶ時間がなくなるんです。そうすると、一時的にこれまでの企業の生産性が著しくて低下して、企業の業績が悪化します。この1年で任天堂の時価総額も1兆円なくなったんです。これが一企業レベルでなく産業レベルでおこっているんです。短期的にはソーシャル化が既存企業の業績悪化、リストラにつながっているんです。既存のゲームパブリッシャーもソーシャルシフオを始めましたが、資源を吸収できるのはもう少し先の話ですから。

(質問)どうしたらいいでしょうか?

(熊沢)企業はソーシャルメディアを部分的に自分たちのビジネスにあわせようとするんです。でも、大部分のケースではそれはうまくいかないんです。部分最適にすぎませんから。ですから、メディアに自分たちのビジネスをあわせる、大胆な変革が必要になるんです。そうしてはじめて全体最適が達成できるんです。そのためには、リアルタイムベースのマインドセット、組織運営が学ぶ必要があると思います。

本日はお忙しいところありがとうございました。

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